みんな、何かへの反抗だったんですよ。
許せない相手への威嚇であり、目に映る全ての者が気にくわないからこそのファッションだった。でも今は違うんですよ。ファッションだけは残っていて、そういう『気概』みたいなものはなくなってしまった
許せない相手への威嚇であり、目に映る全ての者が気にくわないからこそのファッションだった。でも今は違うんですよ。ファッションだけは残っていて、そういう『気概』みたいなものはなくなってしまった
2/7(金) 18:54配信
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「なぜ令和に街からヤンキーが消えたのか?」現役教師の告白。イマドキ高校生たちの「服装以上に深い闇」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/c6/f2869c4d07ad535b76ac045735ca8e1b.jpg)
FORZA STYLE
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街中で、いかにも「ワルい」といった雰囲気の若者を見なくなったのは、気のせいだろうか。コンビニの前にたむろして、地べたにいわゆる「ヤンキー座り」という座り方で奇声を上げたりしている若者を、そういえばここ十年ほどもう見ない。
令和に「ヤンキー」というものは絶滅してしまったのだろうか。
「ヤンキー」というのはそもそも「不良っぽい若者」のことをさしており、語源をたどれば南北戦争当時のアメリカ南部で、北軍の兵士や北部諸州人に対する蔑称として用いられていたものとなる。のちに「ヤンキー」は、アメリカ人全体を指す言葉となったのだが、日本での用いられ方は、それらとはやや違っている。
日本の「ヤンキー」発祥の地は大阪難波にある「アメリカ村」と呼ばれる地域だ。
1970年代から80年代にかけ、アメリカ村で買った派手なアロハシャツや太いズボンを履いて、繁華街をウロウロする若者を「ヤンキー」と呼ぶようになった。それがいつしかファッションに関係なく「不良」に該当する少年少女全般を「ヤンキー」と呼ぶようになり、西日本を中心に全国に広まった。
「不良」の行為としては、喧嘩、サボり、喫煙、恐喝、制服の改造にはじまる数々の校則違反、深夜徘徊などが上げられていたが、今の若者たちはそういう「不良」行為はあまり行わないのだろうか。
現役の高校教師3人に話を聞いた。
「『ワルい』の内容が変わってきているのかもしれませんね。あと、ワルいかどうかよりもダサいかどうかを気にしているのかなあ。ヤンキーそのものに興味はあって、映画やドラマで見たものを真似てみたりはしていますけど……。何かが違うんですよね」
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そう話すのは、自身が「すこーしだけワルかった」という康弘さん(仮名)59歳だ。
たしかに、「今日から俺は」や「ごくせん」などヤンキーたちが活躍するコンテンツの人気は根強い。今の高校生たちは、それらをどうとらえているのだろうか。
「われわれの時は……なんて言うと『老害』とか言われそうですけど。きちんと抗いたいものがありましたからねえ。地面に引きずるほどに長いスカートも、耳に開けた穴も、リーゼントも、たばこも、みんな、何かへの反抗だったんですよ。
許せない相手への威嚇であり、目に映る全ての者が気にくわないからこそのファッションだった。でも今は違うんですよ。ファッションだけは残っていて、そういう『気概』みたいなものはなくなってしまった」
康弘さんは、ややセンチメンタルにそうつぶやいた。
「ヤンキーなんて、とっくの昔に消滅していますよ。ファッションだけは残ったって感じじゃないですか?」
そう話すのは、ほのかさん(仮名)28歳。
彼女自身、「ヤンキー」という言葉に馴染みがない世代だが、ヤンキー的なファッションに身を包む生徒たちの対応に手を焼いているという。
「決して多いわけではないんですが、目立ってしまうので。上からも注意されやすいし、地域の人たちからも『何だあれは?』みたいな声が上がりやすいんです」
彼女のクラスには、3人組のヤンキーファッション推奨組がいて、毎日のように制服にド派手なアレンジを加えて登校してくる。
A君は、学ランに金の刺繍で文字が入ったものを着用しており、髪は金に近い茶髪だ。耳には3つほど穴が開いており、そこに太い黒い輪を通している。
Bさんは、制服のスカートの下に紫に金色の縦線が入ったジャージを着ている。髪の毛の先はピンクと赤の中間のような色だ。
Cさんは、ツインテールで毛の先がブルーとグリーンの中間。しかもスカートの丈はくるぶし丈。耳にはピアスの穴が三つほどあいている。
「クラスでも結構浮いています。他の子たちはお化粧をするにしても、こっそりというかナチュラルなんです。彼らはナチュラルからはかけ離れているし、正直言っておしゃれなのかどうかもわかりません」
「ただ、服装以外は全く問題がないので、注意しづらくて。遅刻も欠席もほとんどないし、授業態度も悪くない。成績も、Bさんは目指している大学が明確なので、どちらかといえばよいほうです。ただどうしても、ヤンキー的なおしゃれはやめてくれません。
一度話し合ってはみたんですが、彼らの話は筋が通っているので、だんだん私自身が、何に反対しているのかがわからなくなってしまいました」
困り果てるほのかさんに対してA君は、
「これは自己表現の一つだから、無理に止めようとすることはおかしいと思う」
と告げたそうだ。
素行に問題がなく、ファッションだけが「ヤンキー風」な生徒への対応に迷うほのかさん。しかし、本当に問題を起こしうるのは、彼らとは別のタイプの生徒たちだった。【関連記事はこちら】令和にヤンキーは絶滅したのか?現役教師が語る、生徒たちの「ヤンキー以上に深い闇」で詳報する。
取材/文 八幡那 由多
そう話すのは、ほのかさん(仮名)28歳。
彼女自身、「ヤンキー」という言葉に馴染みがない世代だが、ヤンキー的なファッションに身を包む生徒たちの対応に手を焼いているという。
「決して多いわけではないんですが、目立ってしまうので。上からも注意されやすいし、地域の人たちからも『何だあれは?』みたいな声が上がりやすいんです」
彼女のクラスには、3人組のヤンキーファッション推奨組がいて、毎日のように制服にド派手なアレンジを加えて登校してくる。
A君は、学ランに金の刺繍で文字が入ったものを着用しており、髪は金に近い茶髪だ。耳には3つほど穴が開いており、そこに太い黒い輪を通している。
Bさんは、制服のスカートの下に紫に金色の縦線が入ったジャージを着ている。髪の毛の先はピンクと赤の中間のような色だ。
Cさんは、ツインテールで毛の先がブルーとグリーンの中間。しかもスカートの丈はくるぶし丈。耳にはピアスの穴が三つほどあいている。
「クラスでも結構浮いています。他の子たちはお化粧をするにしても、こっそりというかナチュラルなんです。彼らはナチュラルからはかけ離れているし、正直言っておしゃれなのかどうかもわかりません」
「ただ、服装以外は全く問題がないので、注意しづらくて。遅刻も欠席もほとんどないし、授業態度も悪くない。成績も、Bさんは目指している大学が明確なので、どちらかといえばよいほうです。ただどうしても、ヤンキー的なおしゃれはやめてくれません。
一度話し合ってはみたんですが、彼らの話は筋が通っているので、だんだん私自身が、何に反対しているのかがわからなくなってしまいました」
困り果てるほのかさんに対してA君は、
「これは自己表現の一つだから、無理に止めようとすることはおかしいと思う」
と告げたそうだ。
素行に問題がなく、ファッションだけが「ヤンキー風」な生徒への対応に迷うほのかさん。しかし、本当に問題を起こしうるのは、彼らとは別のタイプの生徒たちだった。【関連記事はこちら】令和にヤンキーは絶滅したのか?現役教師が語る、生徒たちの「ヤンキー以上に深い闇」で詳報する。
取材/文 八幡那 由多