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練炭自殺の現場にマンションを建てたらやっぱりヤバかった 大島てるが語る“あるオーナーの悲劇”――2019年 BEST5

2024年10月10日 03時03分29秒 | 不動産と住環境のこと
過去に文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。社会部門の第2位は、こちら!(初公開日 2019年8月10日)。

練炭自殺の現場にマンションを建てたらやっぱりヤバかった 大島てるが語る“あるオーナーの悲劇”――2019年 BEST5
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 私は平成17年(2005年)から、事故物件の情報提供サイト「 大島てる 」を運営しているのですが、こうした仕事をしていると、ときには事故物件のオーナーから「サイトでの掲載を取り下げろ」と強く抗議されることもあります。数年前、都内某所のあるマンションのオーナーからも、何度かそうした抗議がありました。しかし、その一件は後に予想もしていなかった結末を迎え、不幸な形で“解決”してしまうことになるのです――。(全2回の1回目/ #2 に続く) なぜ私は「大島てる」を立ち上げたのか?
 
 そもそも、私が「大島てる」を立ち上げたのは、不動産業において「告知義務」を果たさない業者が少なくないからでした。告知義務とは、宅建業法で定められた義務の一つで、借り主(買い主)にとって心理的瑕疵となる事項がその物件にある場合、貸し主(売り主)は必ずそれを事前に告知しなければならない、とされているものです。

  たとえば、前の入居者がそこで自殺していたり、あるいはその部屋が殺人事件の現場になっていたとしたら、業者は契約が成立する前に、必ずその旨を伝えなければなりません。しかし、なかにはそうした事実を隠して部屋を貸し出したり、売り出したりする酷い業者がいるのです。私が「大島てる」というサイトを作ったのも、そのような被害を防ぎたい、との思いからでした。そのため、たとえ事故物件のオーナーから抗議が来たとしても、掲載を取り下げることはまずありません。
有料駐車場で起きた練炭自殺
 
 しかし、今回ご紹介する都内某所の物件は、少々特殊な経緯を辿っていました。マンションが建設される前、そこには有料の駐車場があったのです。マンションを建てるつもりで土地を手にした所有者が、建設工事が始まるまでの間、そこを駐車場にして日銭を稼ぐ、といったことは特段珍しくはありません。むしろ、土地の有効活用の例としてはよくある話でしょう。ただ、そのオーナーが不運だったのは、土地を遊ばせまいと駐車場にして貸し出している間……そこに停められていた車の中で、練炭自殺が起きてしまったことでした。


私のサイトには、事故物件の所在地だけではなく、その外観写真も掲載されています。「ここがその事故物件である」ということを明示するため、スタッフと手分けして写真を撮っているのですが、その駐車場にはたまたま、私が直接足を運ぶことになりました。

 私は、サイトに掲載する事故物件の写真は、あえて晴れた日の明るい時間帯に撮るよう心がけています。しかし、そのときは情報を得てからすぐに現場に向かったものの、着いた頃にはもう夜になっていて、一応写真は撮りましたが、これは改めて撮り直さないといけないな、というような仕上がりでした。ただ、もう一度その駐車場を訪れる時間がなかなか作れず、ようやく再訪できたときには、そこにはもう、新しいマンションが建っていたのです。 マンションのオーナーから内容証明が届く
 
 先程も述べましたが、マンションを建てる前に、その土地を駐車場として貸し出しておく、というのはよくある話です。私も新しいマンションを見上げながら「それはそうだよな」と納得しましたが、それでも「この私有地で自殺があった」という事実は変わらないので、そのマンションの外観を撮影し、サイトに掲載したのです。

 すると後日、マンションのオーナーから「写真の掲載をやめてほしい」と抗議がありました。弁護士を通じて、「この新しいマンションで自殺があったと勘違いされてしまうではないか」という趣旨の内容証明が送られてきたのです。正直なところ、そのオーナーの言い分にもわかるところはありました。ただ、私としては、「直前にこの場所で自殺があった、そんな歴史を持つマンションである」ということを、入居を検討する人たちに伝えたかったわけです。だからこそ、抗議に応じて掲載をやめるわけにはいきませんでした。

  しかし、その後も相手側からのクレームは続きました。そのうちに「訴えるぞ」という強い抗議も届くようになりました。もしかしたら、今回は掲載を取り下げたほうがいいのではないか……。それは、そんな風に悩み始めた頃のことでした。何気なく点けていたテレビに突如、そのマンションの姿がパッと映ったのです。


今度は小さな子供が……
 
「あれ? このマンションは……」と思った瞬間、私はニュース番組に釘付けになりました。まさに抗議を受けていたそのマンションにおいて、小さな子供が突然心肺停止に陥り、そのまま帰らぬ人となった――。テレビは、そんな痛ましいニュースを伝えていました。

  駐車場時代の自殺から何年も経たないうちに、まったく同じ場所で、2人目の死者が出てしまった……。報道によると、後に司法解剖を行っても、その子の死因は不明に終わったそうです。それ以降、オーナーからの抗議はピタリと止まりました。
 事故物件がまったくないエリアで、なぜか連鎖した「死」
 
 この一件で不思議なのは、そのマンションの周りには、こうした事故物件がまったくない、ということです。周辺に事故物件が一切ないのに、その土地、その座標では、時を置かずに2人も死者が出てしまった。このことをどう解釈すればよいのか……私にはわかりません。

 しかし、2回であれば、それは単なる偶然として片付けることも可能かもしれません。ただ、これが3回、4回と続いていくと、そこには“何かがある”と言わざるを得ません。

  次は、私が「事故物件の聖地」と呼んでいるアパートをご紹介しましょう。それは今回取り上げたマンションから直線距離でおよそ10キロメートル、川を挟んでちょうど反対側に位置する3階建ての住宅です。そこでは全く違う死に方で、4人もの人が――。



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突如、菩提寺が中国寺に…!檀家からは「仏罰が下る」の声…!日本の寺と神社を中国人富裕層が「爆買い」する「驚きの理由」

2024年08月01日 03時06分06秒 | 不動産と住環境のこと

突如、菩提寺が中国寺に…!檀家からは「仏罰が下る」の声…!日本の寺と神社を中国人富裕層が「爆買い」する「驚きの理由」 (msn.com) 



「宗教法人ほどおいしいビジネスはない」。取材に応じた中国人資産家は悪びれもせず語った。日本人が知らぬ間に水面下で進行している中国人による「神社仏閣買収」……。その驚きの実態を明かす。
6/13/2024

勝手に墓を移された
江戸時代初期に創建された大阪市住吉区の名刹「薬師寺」。約400年の歴史を誇り、地域住民に親しまれてきたこの寺が突如として“買収”されたのは、約4年前のことだった。


薬師寺に先祖代々の墓があった元檀家の男性(90代)はこう憤る。
「ある日、近所の人から『お前のとこの墓がなくなっとるで』と言われて慌てて見に行ったら、墓が寺の境内から市道脇に移されていたんです。本堂も解体されていて……。


Photo by gettyimages
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© 現代ビジネス
事情を聞くと、『どうやら薬師寺の住職が不動産会社に売却したらしい』と。そして、邪魔なお堂と墓を勝手に移したらしいですわ。そんなこと許されるんかと思いましたが、問い合わせをしても『法律上は問題ない』と言われるだけだから、泣き寝入りするしかなかった」


やがて本堂があった場所には建売住宅が建った。この男性はしばらくの間、市道脇の墓にお参りをしていたが、先祖を気の毒に思って別の墓地を探して移ったという。男性はため息をつきながら、ポツリと語った。


「薬師寺にお堂はないけど、『宗教法人格』は今も残っているらしい。税金対策でしょう。こんなことしたら、いつか仏罰が下ると思いますよ」


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近年、この薬師寺のように、寺や神社といった宗教法人が売買されるケースが急増している。インターネット上にはいくつもの「売買仲介業者」が存在し、〈人気の京都で売りが出ました〉〈重要文化財付き〉といった煽り文句で盛んに買い手が募集されている。


宗教法人を所有するメリットについて、元国税庁職員で税理士の松嶋洋氏が語る。


「お布施をもらうなど、『宗教活動』における収入は非課税です。礼拝堂など宗教施設の固定資産税もかかりません。駐車場経営や不動産の貸し付けといった宗教活動以外の収益事業は課税対象ですが、その収益についても税率は優遇されます。


また、宗教法人の収益事業を廃止してその事業の固定資産を売却する際、相当年数(10年程度)保有した資産であれば、売却益が非課税になるケースもある。悪用しようと思えば、課税をされずに転売することができるのです」


一般的にはあまり知られていないが、宗教法人は宗教家などに限らず、誰でも購入できる。宗教活動をしているかどうかの判断は主に各自治体によって行われるが、その調査も極めてゆるい。東京都内のある市役所職員によると、「極端に言えば、『それっぽい雰囲気』さえあれば宗教活動として認められる」ことがほとんどだという。
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中国人富裕層の「狙い」
だが最近は、彼らに加え新たな勢力による宗教法人買収も増えてきた。中国人富裕層である。


アプリ上で商取引が可能な中国人向けSNS「小紅書」には、売り出し中の日本の神社仏閣がズラリ。〈兵庫県●●市の寺、売り出し中〉〈人気エリアの箱根の寺!〉といった文言とともに、30ー40軒が紹介されている。前述した薬師寺が転売される際にも、中国人資産家からの問い合わせがあったという。


そもそも、宗教法人の売買はどのような仕組みで行われているのか。6年ほど前から大阪市内で仲介業をしている、宗教法人ブローカーの山本隆雄氏が解説する。


「神社仏閣が売りに出されるのは、二つのケースがあります。所有している住職や神主が借金などでカネに困っているか、後継者がいないか。近年は特に後者のケースが増えているため、売買も盛んになりました。



ただ、あらゆる宗教法人が簡単に売却できるかと言うとそうではありません。所有者の判断で売却できるのは、『単立』の宗教法人だけ。巨大な宗教団体は『包括宗教法人』と呼ばれ、その傘下の寺や神社は上部組織の許可なく独断で売りに出すことはできない。一方、単立は文字通り独立しているので、各自の判断で売却できるのです」


全国には約18万の宗教法人があるが、そのうち単立は約7000だ。売却価格は「法人格」だけで3000万ー5000万円、土地や上物付きだと1億円を超えることもザラ。山本氏の場合は、5%の仲介手数料を取っているという。


「マネロンがしたい」と平然と言ってくる顧客も少なくないが、「中国人富裕層」にはさらに、こんな特徴もある。


「今では問い合わせの3割が中国人からです。脱税やマネロン目的だけでなく、彼らはビジネスのために買いたがっている。だから田舎のボロボロの寺よりも、中国人がイメージする『歴史ある日本の神社仏閣』を欲しがる。



中国人富裕層はカネがあるのに必ず値切ってくる。『中国人には売りたくない』と言う売り手も多いので私のところでは成約に至ったことはありませんが、本当にカネに困っている寺は売ってしまっているでしょうね」


本誌は今回、実際に購入を検討しているという中国人富裕層にも取材をすることができた。


北京や上海で複数の飲食店を経営して財を成した後、10年ほど前に家族で日本に移住、現在は東京でコンサル業を営んでいる王秀英氏(仮名・40代)。仲介業者を通し、すでに全国各地で10軒以上の寺を内見したという。5月上旬、千葉県松戸市内の寺を訪ねた王さんに同行した。


後編記事『「帰化申請」が通りやすい…!中国人富裕層に同行取材してわかった「日本の寺」を爆買いする「驚愕の理由」』へ続く。


「週刊現代」2024年6月8・15日合併号より













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完成間近の国立市のマンション解体へ 

2024年06月08日 09時05分35秒 | 不動産と住環境のこと


完成間近の国立市のマンション解体へ 「富士山と重なる」と景観懸念
6/7(金) 19:15配信






朝日新聞デジタル
完成間近に解体が発表された10階建てマンション=2024年6月7日午後4時56分、東京都国立市、吉村駿撮影


 東京都国立市で引き渡しを来月に控えたマンションが急きょ、解体されることになった。このマンションをめぐっては、地元住民から、富士山の眺望や周辺住宅の日照に影響が出るという懸念が繰り返し示されていた。


【写真】JR国立駅前から撮影した富士見通り。富士山と解体が決まったマンション(奥)が重なっている=2023年12月


 このマンションは国立市中2丁目の「グランドメゾン国立富士見通り」(10階建て、総戸数18戸)。JR中央線国立駅から徒歩約10分の立地で、「国立富士見通りに10年ぶりの分譲マンション」をうたっていた。


 事業者の積水ハウスは取材に、解体の理由について「景観も含め周辺への影響の検討が不十分だったため」とし、「購入者に説明し、近隣住民へも説明に回っている」と話した。


 市によると、今月4日に同社が市に事業の廃止届を出したという。


 これまでこのマンション建設をめぐり、景観をめぐる議論があった。


■11階建て→10階建てに変更も…


 2021年6月に開かれた学識経験者や市民らでつくるまちづくり審議会で、JR中央線国立駅から南西に伸びる「富士見通り」やその周辺から見える富士山にマンションが重なることで景観が損なわれるという懸念が出た。これに対し、事業者側はマンションを11階建てから10階建てに変更する、とした。


 同審議会は22年7月に出した答申で、こうした事業者側の意見について、「一定程度の対応があったと考えられる」と評価。一方で「周辺の住宅地への連続性という観点からすると、さらなるボリューム感の低減と工夫が望まれる」と指摘した。



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実家の解体費用「500万円」をめぐり家族が絶縁…放置した空き家が引き起こす「ヤバい事態」

2024年05月07日 22時05分11秒 | 不動産と住環境のこと

実家の解体費用「500万円」をめぐり家族が絶縁…放置した空き家が引き起こす「ヤバい事態」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース 




実家の解体費用「500万円」をめぐり家族が絶縁…放置した空き家が引き起こす「ヤバい事態」
5/18(木) 7:03配信
14コメント14件
Photo by iStock

 親が亡くなり、人が住まなくなった実家がいつのまにか「時限爆弾」になっているかもしれない。法改正で特例措置が使えなくなり、いつのまにか重い税金がのしかかる。さらには売却・解体もできなくなる可能性まで。前編記事「74歳男性が絶句…相続した実家を売ろうとして、不動産屋から言われた「衝撃の一言」」に引き続き紹介する。

 【写真】夫の死後、5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の知らせ

実家を売却できなくなった

Photo by iStock
 
一方、相続が発生する前の段階から、実家が「空き家」になってしまうケースもある。最も多いのは、介護施設に移る時に、「いつか自宅に戻りたい」と思って家を放置するパターンだ。  

千葉県在住の徳永康さん(57歳・仮名)は語る。  

「4年前に父が高齢者施設に入居したんです。ただ、山梨県の実家はそのままにしていました」  

ところが昨年、徳永さんの元に驚きの連絡があった。なんと実家が放火されたというのだ。 

 「実家に行くと、1階の窓枠が黒く焦げているのが確認できました。ボヤで済んだから良かったものの、隣家に延焼していたら大変な事態になっていました」(徳永さん)  実家を放置した3年の間に、庭には不気味な黄色い花をつけたセイタカアワダチソウが、家を呑み込む勢いで生い茂っていた。裏口の窓に見覚えのないヒビが入っているのにも気づいたという。不動産コンサルタントの齋藤智明氏は語る。 

 「ボロボロになった家ほど放火犯や窃盗犯に狙われやすい、ということが知られています。実際、犯罪学では『割れ窓理論』というものがある。これは『壊れた窓を放置すると、やがて他の窓も壊され、治安が悪化する』という理論です。空き家も放置することで荒れていき、犯罪の温床になったり、周囲の治安を悪化させたりする危険性があります」 

 持ち続けるだけ損をするなら、実家を手放してしまおう。徳永さんはそう考えた。だが、時すでに遅し、だった。 

 「家を売却しようと思っても、父が認知症になっており、どうしようもないのです。成年後見人を付けるという手もありますが、躊躇しています。制度の利用を始めれば、後見人になった弁護士などに毎月数万円を報酬として払わないといけない。家がまとまった金額で売れるとは思えないし、かといって実家を放置すればまた近所に迷惑をかけてしまう。八方塞がりですよ」 

 こう嘆く徳永さんは今も、2~3ヵ月に一度は片道3時間以上かけて山梨まで通っているという。



解体費用が500万円に
Photo by gettyimages(画像はイメージです)

 実家を空っぽにしている期間が長ければ長いほど、問題は複雑になる。

  〈管理建物の適正管理について〉]  福岡県に住む原博也さん(72歳・仮名)のもとに、こう題する通知が届いたのは昨年夏のことだった。「重要」と書かれたピンク色の封筒には、ツタに覆われたボロボロの物件の写真が10枚ほど入れられていた。 

 「そこに写っていたのは、変わり果てた実家の姿でした。母が亡くなったのは15年前、私たちきょうだいは昔から仲が悪く、東京の外れにある小さい実家以外たいした遺産もなかったので、相続をうやむやのまま放置していました。しかし実家の周辺の住民から自治体に苦情が入り、戸籍を辿って私のところまで連絡が来たようです」(原さん) 

 書類には〈このままの状態が続けば、廃棄物の不法投棄や害虫等の発生、雑草が土地境界を越えて周辺の生活環境が損なわれることになります〉という文言も。無視するわけにもいかず、原さんは慌てて飛行機を予約し、実家に向かった。

  15年間放置された家は、悲惨な有り様だった。家の敷地には高さ10m超えのスギの木が生え、緑の葉が塀からはみ出している。屋根も瓦が剥がれた部分があり、雨漏りで腐ったのか、2階の床が一部抜け落ちていた。 

 「不動産業者からは建物は壊すしかないと言われたのですが、解体の見積もりを取って驚きました。500万円もかかるというのです」(原さん)


処分に失敗した実家は「時限爆弾」
Photo by iStock

 あまり知られていないが、長年放置された物件は解体費用も段違いに高くなるのだ。東京都足立区で空き家問題に取り組む宅地建物取引士の葛生貴昭氏が解説する。 

 「昔は全部壊して埋め立て地に運んでいたのですが、今はゴミとして分別することになっています。窓ひとつとっても、アルミやガラスなど細かく分けなければならない。荒れてしまった家は、解体で出るゴミの仕分けに手間と時間がかかるため、費用が嵩んでしまうのです」 

 解体費用の負担は、新たな争いの火種となった。折半で決着はついたものの、きょうだいはこれで完全に絶縁状態になってしまったという。  

放置された期間が30年を超えると、外壁も崩落しはじめます。台風によって家屋自体が崩壊するのを目にしたことがあります」(葛生氏)  

処分に失敗した実家は、「時限爆弾」のようなもので、いつか必ず爆発する日が来る。 

 大損する前に、必ず早めに手を打っておきたい。まず、実家を相続したら1年以内に不動産屋に相談をしよう。  

「地元の不動産業者2~3社に『いくらぐらいなら売れそうか』と聞いてみましょう。自治体が運営する空き家バンクを利用するという手もありますが、結局は買い手がつくかどうかですから、売れ残る可能性もある。  


売却が難しそうなら、隣近所に声をかけてみてください。

『駐車場にしたいから、更地なら買う』といったケースもあり、100万~200万円程度の解体費用を払って安く譲ったとしても、家を持ち続けて固定資産税を払い続けるより得になるケースが多いのです」(前出・齋藤氏)


最後の手段

Photo by gettyimages

 相続ではなく、施設への入居などで実家が空いてしまう場合もあるだろう。この時点で売却してもいいが、難しい場合は賃貸に出すという選択肢もある。  


「東京、埼玉、神奈川、千葉の都市部の物件なら、NPO法人空き家・空地管理センターが提供する『AKARI(あかり)』の利用が検討できます。事業者の費用負担で内装の改修工事を行い、5年~10年程度借上げて転貸を行う仕組みで、管理の手間と賃貸のリスクを軽減できます」(NPO法人空き家・空地管理センター理事の伊藤雅一氏)  相談窓口は、0120-336-366(9時~17時)だ。

  とはいえ、いずれは実家を相続することになる。売れればいいが、現実的にはどうしても買い手がつかない物件も存在する。 

 手放しようがない不動産について、国も対策に乗り出している。4月27日に開始したばかりの「相続土地国庫帰属制度」は、土地の所有権を手放せる斬新な制度だ。 

 「一方で、まだまだ新制度を利用するにはハードルが高いのも事実です。建物を解体して更地にしたり、境界線を確定したりする必要があるうえに、負担金も払わなければなりません。それも市街地の宅地なら100㎡で約55万円、200㎡で約80万円と高額です」(税理士・山本和義氏)  

新制度は、あくまで「最後の手段」だと考えておいたほうが良さそうだ。むしろ専門業者を頼るほうが、早く確実に土地を手放せる可能性がある。 

 「買い手がつきにくい物件を預かり、隣地とくっつけて太陽光発電や工場用地として売却する専門業者があるので、そこを頼るという手もあります。ただし、『土地を預かる』といってカネだけもらい、土地を放置する悪徳業者もいるので注意が必要です。ネットを含め評判をチェックしたり、引き取った後の活用法や実績を確認したりして、適切な業者なのか、判断しましょう」(前出・齋藤氏) 

とにかく実家は早く手放すこと。重税や、思わぬ出費に見舞われてから悔やんでも、後の祭りだ。 

 「週刊現代」2023年5月20日号より


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なぜ「空き家数日本一」の東京の「空き家」が宝の山なのか?

2024年04月27日 06時05分17秒 | 不動産と住環境のこと


経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。

1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

4/29/2022

空き家増加は新規参入者にとってチャンス到来

空き家全体の過半数を占めるのは賃貸住宅だ。

今、空き家が増加していることについて、住宅・不動産業界関係者でなくても知っている人は多い。2013年に発表された「住宅・土地統計調査」(総務省統計局)は、空き家が800万戸を超えたということで世間を賑わせた。2年後の2015年、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行。市町村は、倒壊しそうな空き家の所有者に対して、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言、または指導、勧告、命令ができ、応じない場合は強制執行もできるようにした。

それでもなお、空き家は増え続け、2018年の調査では846万戸に達している。 こんな話を聞くと、それほどまでに家は余って いるのかと思う人は多いだろう。そこで押さえておきたいのは、空き家の実態だ。「空き家の種類別割合の推移」を見てほしい。空き家というと、前述したような法律まで施行されたことから、多くの人は放置されたボロボロの戸建てをイメージするだろう。だが、空き家全体の過半数を占めるのは、賃貸住宅だ。 



賃貸住宅の空き家率は18%ほどで、10戸のアパートであれば2戸空いているような状態だ。もちろん空き家率は平均値なので、満室の賃貸住宅があれば、半分以上空いている賃貸住宅もある。 半分以上空いているような賃貸住宅には、家主が経営を諦めているケースが多い。最初からあまり力を入れていないケースと、打つ手がなくて結果的に放置しているケースだ。

本来は建ててはいけない賃貸需要のないエリアの賃貸住宅であれば対象外だが、もしそうではなく、賃貸需要が見込めるのであれば、チャンスだ。よく空室だらけの賃貸住宅は、買った後が大変と避けている人を見受ける。

だが、「人の行く裏に道あり花の山」という株の諺にあるように、そんな賃貸住宅だからこそ安く買うことができ、宝物に変える可能性を秘めているのだ。

 一方、戸建ての空き家は、2018年の調査結果では、5年前の前回調査と比較すると賃貸住宅よりも増加していた。そのため、賃貸住宅の空き家は前回調査よりも実数は増えているものの、比率については若干ではあるが、減っていたのだ。 

空き家には空き家になるだけの理由がある。 大きく分けて3つ。

1つ目は住むのに不便な場所にあること、
2つ目は相続した人がすでに家を 持っているため利用しないケース、
3つ目は権利関係が複雑で放置されている場合だ。


本当の「空き家大国」は東京都という現実>都内に80万個の空き家が

1つ目は地方都市のケースが多いだろう。人口減少が進み、公共インフラも不十分な状況になると、そこに住む理由がなくなってしまうからだ。 

2つ目は、大都市圏でも起こり得るケースで、両親との同居という選択をしなかった場合、子供たちはそれぞれ別の住まいを構えるため、両親が亡くなった後、空き家になった実家の処理に困り、放置してしまう。場所によっては第三者に貸すという方法もあるが、リフォームなどをしないと貸せる状態にはならず、投資コストを考えると二の足を踏むケースだ。もちろん、売却する道もあるが、生まれ育った実家を売却することに抵抗があったり、実際売りに出しても買い手が現れなかったり、という状況にあるようだ。

 3つ目は、相続でもめて共有になってしまって売却ができなかったり、借地で地主と折り合いが つかず、そのままになっていたりというケースである。 活用も売却もなかなか進まない空き家は、所有者にとってはいわばお荷物。

だが、家主業を始めようという人にとっては、この戸建ての空き家も宝物となる可能性がある。「戸建て賃貸」として貸し出すことを考えれば、工夫次第で「お金のなる木」に変えることができるからだ。

 実際、築年数の古い郊外の戸建てを購入し、家主業だけで余裕のある生活ができる人は、私の身近だけでも少なからずいる。彼らはこんな場所に賃貸需要があるのか、と思うような場所の戸建てを購入し、入居者を募集して契約し家賃収入を得ている。 詳細は後述するが、例えば、首都圏であれば千葉県の外房エリアで、都心まで出るには電車で1時間半ほどかかるような場所。だが、そんなエリアでも、趣味がサーフィンという 20 代、 30 代の人が入居者として見込めるという。当然、家賃は都心近郊よりも安いが、取得額も安いので収益性が高くなるケースは割とある。

 空き家すべてを宝物に変えることができるわけではないが、賃貸需要があるエリアにも空き家はあるようだ。 

ここで意外な調査結果を紹介しよう。先に紹介した「平成30年住宅・土地統計調査」に空き家率の高い都道府県ランキングと、低い都道府県ランキングが紹介されている。空き家率が最も高いのは山梨県で21・3%、2位が和歌山県で3位が長野県。空き家率が最も低いのは、埼玉県と沖縄県が同率で10・2%、3位が東京だった。

 だが、この空き家率に惑わされてはいけない。 都道府県別空き家数を見てほしい。

全国で最も空き家数が多いのは、
なんと東京だ。

空き家率が最も高い山梨が9万戸なのに対し、
東京は80万戸もある。

本当の「空き家大国」は東京なのだ。東京に空き家という名の宝物が眠っているといえるだろう。 

東京に限らず、
住宅総数の多い神奈川県には8万戸、
千葉県38万戸、
埼玉県34万戸、

大阪府70万戸、愛知県39万戸と、多くの空き家がある。
空き家には大いにチャンスがあるといえるだろう。

憧れの「サラリーマン大家」の魅力とは

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

家主業の魅力は、大きく分けて4つある。 

1つ目は、本業と両立しやすく、確実に収入を増やせる事業である点だ。家主業は、基本的に不動産会社に管理業務を委託することができる。委託すると、入居者との契約や家賃の集金、入退去時の立ち会い、原状回復の手配、入居者からの建物の不具合や他のトラブルに関しての問い合わせまで対応してもらえる。そのため、緊急事態が起こらない限り、サラリーマンの就労時間への影響は少ない。


 しかも、働き方改革の一環で、2018年に厚生労働省の「モデル就業規則」から副業禁止が削除され、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が提示されたことで、「副業解禁」の企業が増えた。会社に隠すことなく、サラリーマンも副業として始めやすい環境になりつつある。なお、書くまでもないだろうが、サラリーマンの就労時間外では、管理会社への連絡、空室対策、市場動向の情報収集など家主業を営む時間は必要である。

 2つ目は、資金さえきちんと準備しておけば、金融機関からも融資を受けやすく事業として始めやすい点だ。ここで重要なのは、自己資金を準備しておくことである。


 投資用シェアハウス「かぼちゃの馬車」は、自己資金ゼロでも不動産が購入できるというのが謳い文句だったが、サブリース会社が倒産した結果、借金返済で苦労している家主が増えたことから、金融機関が一斉に融資の厳格化を進めている。

しかし、この金融機関の姿勢について、10年以上前から始めている人の中には「厳格化」ではなく、「正常化しただけ」という声が少なくない。これまで、自己資金ゼロでも融資をしてきたこと自体が異常だったからだ。

たとえ、融資の審査が緩かった時代に、自己資金ゼロで不動産を取得し賃貸経営を始められたとしても、返済比率が高いために危ない橋を渡るような状況の人は少なくない。 

最近では、自己資金として、購入予定の物件価格の最低2割、基本3割を用意することを融資条件として提示されるケースが増えている。自己資金が用意できなければ、始められない。だが、自己資金さえ用意できれば不足分を借金して購入でき、自己資金以上のリターンが期待できる。いわゆる「レバレッジ」が利かせやすい点は、メリットとして大きいだろう。 

3つ目は、基本的には毎日あくせく働かなくても、毎月家賃が入ってくる点だ。満室であれば、ほとんど何もやらなくても家賃が安定して入ってくる。ただし、入居率が低いと毎月口座に家賃が振り込まれる金額が少ないばかりか、借り入れ返済への資金が不足するという事態になりかねない。満室で運営するためには経営努力が必要なのだ。

 最後に4つ目は、不動産会社という存在のおかげで、生涯現役で稼ぐことができる点だ。

魅力の 1つ目でも紹介したように、委託すれば不動産会社が日常業務を担ってくれるので、家主が自ら動いて対応しなくてもいい。大半の業務をアウトソーシングできる事業なのだ。たとえ高齢になり、判断能力に問題が生じる事態になったとしても、「不動産信託契約 ※」を事前に締結していれば、家賃収入を受け取る状況を維持できる。

賃貸経営は良きビジネスパートナーを見つけられるかどうかが、成功できるかどうかに大きく影響する。 

なお、資産運用として、よく株式投資と比較されるが、本連載では、家主業を不動産投資として捉えてはいない。むしろ、「投資」として捉えることにリスクがあると認識している。

金融機関は投資にはお金を貸さない。不動産投資にお金を貸すのではなく、不動産賃貸事業に貸すことを頭に入れておかなくてはいけない。 

※不動産信託契約は、委託者が所有する物件の所有権を信託契約に基づき信託会社(信託銀行など)に移転。信託会社は信託契約に定められた管理・処分を行う。

信託の契約内容が賃貸物件の管理の場合、信託会社は自らまたは第三者によってその物件の賃貸管理を実施。一定の時期にその間の租税公課、共益費、管理費用や手数料などを差し引いた利益を受益者(委託者であることが多い)に配当する。 

永井ゆかり 「家主と地主」編集長

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