「がんの罹患リスクを大幅に減らす」と医療従事者が注目…免疫力を高め、消化管を修復する"健康スープ"とは (msn.com)
「がんの罹患リスクを大幅に減らす」と医療従事者が注目…免疫力を高め、消化管を修復する"健康スープ"とは
ケリー・ターナー の意見
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2 時間
© PRESIDENT Online
ケリー・ターナー の意見
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全米で23万部のベストセラー本を著したがん研究者ケリー・ターナーは、がんが劇的に寛解した1500以上の症例を分析。世界中の数百人ものがんサバイバーたちにインタビューした結果、奇跡的な回復を遂げた患者たちには、ある共通点があることがわかった。そのうちの一つが、「食事を根本的に変えること」だった。がんの罹患リスクを大幅に減らし、がん患者の生存率を上げる食事法とは――。
※本稿は、ケリー・ターナー『がんが自然に治る10の習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
劇的な寛解をもたらす食事療法とは
今日の統合的がん医療の世界で、「がん患者にとってどのような食事がベストなのか」ほど激しい論争を巻き起こしているものはありません。一方は、野菜、果物、穀物が治癒に必要なすべての栄養素を供給すると主張する植物由来の支持者たちで、もう一方は、今流行(はや)りの、ケトン食を提唱する人たちです。これは、もともとてんかんの治療のために開発された高脂肪、炭水化物制限の食事法ですが、最近では、がんやアルツハイマー患者を助けるために用いている統合医療従事者の間で注目を集めています。
このような議論があるため、どの食事法が自分にとって最適なのかを見極めるのが難しくなっています。これまでの研究で、植物性由来、ケトン食、地中海食などの食事が健康に大きな効果をもたらすことがわかっています。
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しかし、それぞれの食事にいくつかの欠点があることを示す証拠もあります。つまり、すべての人に最適な食事法は存在しない――万能な解決策はないのです。とくに最近がんなどの病気と診断された人にとっては、あまり聞きたくない話かもしれません。
しかし、上の3つの食事療法をすべて実践している人に、劇的な寛解がもたらされていることを忘れないでください。寛解者は、どの食事療法が自分に合っているかを判断する際に、3つの基準に頼る傾向があります。
彼らは、①検査の結果(たとえば、血液検査、食物の過敏性テストなど)、②新しい食事を試している間の症状の軽減、そして③その食事療法の利点(エネルギーの増加、健康的な体重など)に注目しています。
最終的に、これらの3つの食事療法に共通しているのは、砂糖、精製された穀物、加工食品の摂取を減らしながら、有機野菜をそのまま食べているという点です。このような食生活の変化は、炎症を抑え、免疫システムを強化し、がん細胞をより効果的に除去するのに役立つことが研究によって示されています。
私たちは自分が食べたものでできている
健康全般における食事の重要性を考えると、食事と栄養に関する知識は、すべての医師が身につけていることが望まれます。結局のところ、食事は、障害や早死にをもたらす喫煙や高血圧、肥満、運動不足などすべての危険要因を簡単に打ち負かします。残念ながら、食事や生活習慣に関連する慢性疾患の罹患(りかん)率が上昇し続けているにもかかわらず、医学部で栄養教育に費やされる平均時間は過去20年間で減少しています。
インディアナ大学医学部が実施した新しい研究によると、医学生と医師は、現在医学部でおこなわれている栄養教育が非常に不十分であることに同意しているとわかりました。このことは、医師が食事の治癒力を信じていないのではなく、単にそれについてよく知らないということを示しています。
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これは残念なことです。私たちは自分が食べたものでできていることは、研究によって何度も実証されているからです。科学的に見ると、食べ物の細胞は分解され、私たちの身体の細胞が適切に機能するために必要な燃料に変わります。もし私たちが「悪い燃料」を入れたら、私たちの身体は最適に機能することができません。「いい燃料」を入れれば、自分の健康状態を根本的に変えることができるのです。
食事はがんを治すのに絶対不可欠
劇的寛解を果たした人たちは、食生活を根本的に変え、それががんや命にかかわる病気を治すのに絶対に不可欠だと信じています。食事療法の内容はさまざまですが(ヴィーガン、ケトン食、パレオなど)、劇的寛解者の大半は、以下の重要な食事の変更を実践しています。これらについては、私の前著『がんが自然に治る生き方』の中で詳しく述べています。
・砂糖、肉、乳製品、精製された食品の摂取を大幅に減らす、または完全になくす
・野菜の摂取量を大幅に増やす(ときには果物も)
・有機食品を選ぶ
・ろ過された水を飲む
覚えておいてほしいのは、食生活の変更は、慣れ親しんだ食事や伝統的な家庭のレシピを失ったり、まったく新しい食事方法を学ぶのに必要な時間、身体イメージや体重減少の問題など、精神的にストレスがかかる場合があることです。あなたは一夜にしてすぐに行動に移して、大きな変化を起こすことができるタイプの人かもしれませんが、そうでない人は、多くの劇的寛解者が時間をかけて小さな変化を起こしたことを知っておいてください。
いずれにせよ、その効果を考えると、時間と労力をかけて食生活を改善する価値はあります。
食生活を変えるとがんのリスクを減らせる
タフツ大学の研究チームは、最近、がんの原因として食事だけを取り上げています。
研究者らは、20歳以上の成人の浸潤がんの5%は「最適ではない食事」が原因である一方で、
がんの診断の4~6%はアルコール摂取、
7~8%は体重過多、2~3%は運動不足によるものだと発見しました。
「最適ではない」とは、野菜や果物、全粒穀物の摂取量が少なすぎ、高度に加工された肉、赤身の肉、砂糖入り飲料の摂取量が多すぎる食事です。
これらの要因のうち、加工肉の摂取量が多いことと全粒穀物の摂取量が少ないこと(すなわち、食物繊維不足)が、がんの新規診断の多さに関連する二つの要因でした。大腸は食事の変化に非常に敏感なため、この研究で食事に関連するがん症例のうち大腸がんの割合が最も高く(38%)、次いで口、咽頭、喉頭(いずれも消化管の一部)のがんが多かったのは驚くべきことではないでしょう。
しかし、食生活を変えることでがんになるリスクを減らせるという希望もあります。たとえば、50~79歳の閉経後の女性4万8000人以上を対象とした研究では、もともと太りすぎまたは肥満の女性に対して、総脂肪摂取量を減らし、野菜、果物、穀物の摂取量を増やすと、すい臓がんと診断されるリスクが29%減少することがわかりました。
太りすぎはがんになるリスクを高めることがわかっていますが、栄養失調や体重減少、痩せすぎという相反する問題は、化学療法や放射線療法の危険な副作用です。がん患者は栄養豊富な食品で身体を満たすことが不可欠ですが、どの食事法がベストかについての一致した見解はまだありません。
最も健康にいい食事とは
では、健康的な食事とは具体的にはどのようなものでしょうか。ジャーナリストのマイケル・ポーランは、何百もの食事に関する研究を検証したあと、「食事を摂りましょう。ほどほどに、おもに植物を」という有名な言葉にまとめました。
彼が検討した研究では、加工されていない食品をそのままのかたちで食べ、食事の大半が野菜で、毎日の摂取カロリーを低く抑えた場合に最も効果を得ることができたといいます。世界がん研究基金やアメリカがん研究所、アメリカがん協会も同様の結論に達し、最近、主要な食事療法の研究を見直し、がんを回避したい人はおもに植物由来の食事を摂り、赤身の肉や加工肉、アルコールを制限するように推奨しています。
また、欧米の研究チームは、8万5000人以上の被験者を対象とした90以上の研究を分析し、健康的な食事を遵守することで、とくに大腸がん、乳がん、肺がんのリスクが大幅に低減する可能性があると結論付けています。研究者たちは、健康的な食事にはおもに野菜や果物が含まれ、西洋の食品(脂肪分、塩分、糖分、精製、動物性食品)は少量だと判断しました。その逆もまた真だと言えます。不健康な食事パターン(おもに西洋の食品で構成されたもの)は、がんのリスク上昇と関連していることがわかりました。
最新の研究では、そもそも健康的な食事はがん、とくに大腸がんにかかるリスクを減らすことが示されています。
研究者グループは、Healthy Eating Index-2010、地中海食、Alternative Healthy Eating Index-2010、Dietary Approaches to Stop Hypertension(DASH diet)など、さまざまな食事スコアに関する研究を見直しました。彼らの研究では、45~75歳の20万人近い被験者が分析され、すべての人種/民族グループにおいて、質の高い食事は大腸がんのリスクの大幅な低下と関連していました。
ここでいう「質の高い食事」とは、野菜や果物を中心に、全粒穀物、豆類、ナッツ類、健康的なオイルが多く、赤身の肉、砂糖が多い飲料、アルコール、ナトリウムが少ない食事のことです。
食事ががん患者の生存率を向上させる
がん患者にとってとくに興味深いのは、食事ががん患者の生存率を向上させることが最近の研究で明らかになったことです。オーストラリアのある研究では、卵巣がんを患った女性が診断時に記入した食事に関するアンケートを調査し、5年間の生存率を追跡することで、食事と生存率との関連性を調べました。
食物繊維の摂取量が最も多い女性は、最も少なかった女性に比べて、卵巣がんからの生存率が31%増加し、緑黄色野菜、果物、魚、多価不飽和脂肪および一価不飽和脂肪(食品)、アブラナ科の野菜を多く食べ、緑茶を飲んでいた女性も生存率が大きく向上しました。その一方で、グリセミック指数が高い(糖分が多い)食事をしている参加者は、生存率が低くなりました。
別の研究では、ヒスパニック系乳がんサバイバーを分析し、健康的な食事ががんの再発リスクを低減させることを明らかにしました。この研究では、乳がん生存者のグループが、12週間にわたって合計24時間おこなわれる9セッションのプログラムに参加。このプログラムには、栄養教育や調理実習、食材の買い出しなどが含まれていました。対照群には、食事に関する推奨事項のみが書かれた文書が配布されました。
研究者たちは、研究開始時、6カ月後と12カ月後の血液サンプルを分析した結果、短期間の介入が、果物や野菜の摂取量の増加など長期的な食生活の変化につながったと結論づけました。さらに、こうした食生活の変化は、がんの再発のリスク低減に関連するバイオマーカーに大きな変化をもたらしました。
がん治療に有効なケトン食
ここ数年、ケトン食の人気が急上昇しています。ケトン食は、炭水化物を1日50グラム(リンゴ2個分)に制限し、グルコースの値を大幅に下げます。また、脂肪の摂取量を増やします。そうすることで、細胞はグルコースからではなく、脂肪からエネルギーを得るようになります。細胞が脂肪からエネルギーを得るとき、そのプロセスはケトーシス(ketosis)と呼ばれ、ケトン体(酸)が血液中に放出されます。
ケトン食は、その健康効果についての長期的な研究がないため、依然として議論の余地があります。しかし、短期的には、一部の患者の寛解を助け、化学療法や放射線療法に関連する副作用を緩和することが示されています。
ケトン食がよく効くとされるがんには、神経膠芽腫(こうがしゅ)、神経芽細胞腫、大腸がん、膵臓(すいぞう)がん、肺がん、前立腺がんなどがあり、さらにてんかんやアルツハイマー病などの神経疾患の患者を助けてきました。オーストリアでの最近のある調査では、ケトン食は従来の放射線治療や化学療法と安全に併用できるがん治療として有効であると結論づけています。
2人の小児脳腫瘍の患者をケトン食に切り替えたところ、両者とも腫瘍部位のグルコースの取り込み量が平均21.8%減少したことがわかりました。がん細胞はグルコースを代謝する、つまり「エサ」にするため、グルコースの取り込みの減少はがん細胞の活動の低下を示します。
同様の症例報告では、非常に致死率の高い脳腫瘍である多形膠芽腫(たけいこうがしゅ)の65歳の女性が、進行性の記憶喪失、慢性頭痛、吐き気に苦しんでいました。この女性は、水のみによる治療的断食とカロリーを制限したケトン食(脂肪4に対して炭水化物またはタンパク質1、1日最大600キロカロリー)、および個別のビタミンとミネラル補給を組み合わせた治療を開始。わずか2カ月で、PETと磁気共鳴画像法(MRI)で識別可能な脳腫瘍の組織は検出されなくなりました。
血糖値は低下し、尿中のケトン体濃度は上昇しました。しかし、この厳しい食事療法を中止したところ、10週間後に腫瘍が再発しました。
中国医学の専門家が勧めるスープとは
ケトン食の代表格である骨のだしは、その健康上の利点が何世紀にもわたって評価されてきました。フランスではコンソメ、ラテン系やイタリア系ではブロードと呼ばれています。
病気のときにお母さんがつくってくれたのも、骨のだしを使ったスープだったかもしれません。缶詰や箱入りのスープやブイヨンが登場する以前は、どのおばあちゃんの家の台所にも骨のだしのスープが入った鍋がありました。
今日でもレストランのキッチンで骨のだしのスープを見つけることができます。スープ、シチュー、グレービーソースに深みとコクを加える、シェフの秘密兵器だからです。今日も風味豊かな骨だしのスープは、その栄養素とミネラルの豊富さで再び人気を集めています。
支持者たちは骨スープに含まれるアミノ酸やゼラチン、コラーゲンが免疫力を高め、炎症と戦い、消化管を修復すると信じています。伝統的な中国医学の専門家は、消化器系の健康をサポートし、血液や腎臓を強化するために骨スープを勧めています。
しかし、多くのベジタリアンやヴィーガンの人たちは、ケトン食が肉のソースから脂肪を得ていると、とくに脂肪への依存に反対しています。アボカドやナッツ類、ココナッツなど、植物性の食材だけで、ケトン食をつくるのはより難しいですが可能です。このテーマに関するベストセラーが、ウィル・コール著の『Ketotarian』です。
多くの劇的寛解者がケトン食に成功していますが、すべての人に適した食事療法というわけではありません。ケトン体が血液中に増えすぎると危険な場合があるため、最初に医師や自然療法士、栄養士に相談して、自分にとって適切な食事療法かどうかを判断し、安全のためにケトン体を監視する方法を学ぶことが重要です。
---------- ケリー・ターナー(けりー・たーなー) がん研究者 腫瘍内科学領域の研究者。ハーバード大学で学士号、カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。過去15 年にわたり10 カ国で研究をおこない、1500以上の劇的寛解の症例を分析してきた。著書『Radical Remission』はニューヨーク・タイムズ紙でベストセラーとなり、現在22 カ国語に翻訳されている。RadicalRemission.com のRadical Remission Project の創設者であり、患者やその愛する人のために、コースやワークショップ、治癒の物語の無料データベースを提供している。また、劇的寛解に関する科学的研究を促進することを使命とする非営利団体、ラディカル・リミッション財団の創設者でもある。 ----------
これらの要因のうち、加工肉の摂取量が多いことと全粒穀物の摂取量が少ないこと(すなわち、食物繊維不足)が、がんの新規診断の多さに関連する二つの要因でした。大腸は食事の変化に非常に敏感なため、この研究で食事に関連するがん症例のうち大腸がんの割合が最も高く(38%)、次いで口、咽頭、喉頭(いずれも消化管の一部)のがんが多かったのは驚くべきことではないでしょう。
しかし、食生活を変えることでがんになるリスクを減らせるという希望もあります。たとえば、50~79歳の閉経後の女性4万8000人以上を対象とした研究では、もともと太りすぎまたは肥満の女性に対して、総脂肪摂取量を減らし、野菜、果物、穀物の摂取量を増やすと、すい臓がんと診断されるリスクが29%減少することがわかりました。
太りすぎはがんになるリスクを高めることがわかっていますが、栄養失調や体重減少、痩せすぎという相反する問題は、化学療法や放射線療法の危険な副作用です。がん患者は栄養豊富な食品で身体を満たすことが不可欠ですが、どの食事法がベストかについての一致した見解はまだありません。
最も健康にいい食事とは
では、健康的な食事とは具体的にはどのようなものでしょうか。ジャーナリストのマイケル・ポーランは、何百もの食事に関する研究を検証したあと、「食事を摂りましょう。ほどほどに、おもに植物を」という有名な言葉にまとめました。
彼が検討した研究では、加工されていない食品をそのままのかたちで食べ、食事の大半が野菜で、毎日の摂取カロリーを低く抑えた場合に最も効果を得ることができたといいます。世界がん研究基金やアメリカがん研究所、アメリカがん協会も同様の結論に達し、最近、主要な食事療法の研究を見直し、がんを回避したい人はおもに植物由来の食事を摂り、赤身の肉や加工肉、アルコールを制限するように推奨しています。
また、欧米の研究チームは、8万5000人以上の被験者を対象とした90以上の研究を分析し、健康的な食事を遵守することで、とくに大腸がん、乳がん、肺がんのリスクが大幅に低減する可能性があると結論付けています。研究者たちは、健康的な食事にはおもに野菜や果物が含まれ、西洋の食品(脂肪分、塩分、糖分、精製、動物性食品)は少量だと判断しました。その逆もまた真だと言えます。不健康な食事パターン(おもに西洋の食品で構成されたもの)は、がんのリスク上昇と関連していることがわかりました。
最新の研究では、そもそも健康的な食事はがん、とくに大腸がんにかかるリスクを減らすことが示されています。
研究者グループは、Healthy Eating Index-2010、地中海食、Alternative Healthy Eating Index-2010、Dietary Approaches to Stop Hypertension(DASH diet)など、さまざまな食事スコアに関する研究を見直しました。彼らの研究では、45~75歳の20万人近い被験者が分析され、すべての人種/民族グループにおいて、質の高い食事は大腸がんのリスクの大幅な低下と関連していました。
ここでいう「質の高い食事」とは、野菜や果物を中心に、全粒穀物、豆類、ナッツ類、健康的なオイルが多く、赤身の肉、砂糖が多い飲料、アルコール、ナトリウムが少ない食事のことです。
食事ががん患者の生存率を向上させる
がん患者にとってとくに興味深いのは、食事ががん患者の生存率を向上させることが最近の研究で明らかになったことです。オーストラリアのある研究では、卵巣がんを患った女性が診断時に記入した食事に関するアンケートを調査し、5年間の生存率を追跡することで、食事と生存率との関連性を調べました。
食物繊維の摂取量が最も多い女性は、最も少なかった女性に比べて、卵巣がんからの生存率が31%増加し、緑黄色野菜、果物、魚、多価不飽和脂肪および一価不飽和脂肪(食品)、アブラナ科の野菜を多く食べ、緑茶を飲んでいた女性も生存率が大きく向上しました。その一方で、グリセミック指数が高い(糖分が多い)食事をしている参加者は、生存率が低くなりました。
別の研究では、ヒスパニック系乳がんサバイバーを分析し、健康的な食事ががんの再発リスクを低減させることを明らかにしました。この研究では、乳がん生存者のグループが、12週間にわたって合計24時間おこなわれる9セッションのプログラムに参加。このプログラムには、栄養教育や調理実習、食材の買い出しなどが含まれていました。対照群には、食事に関する推奨事項のみが書かれた文書が配布されました。
研究者たちは、研究開始時、6カ月後と12カ月後の血液サンプルを分析した結果、短期間の介入が、果物や野菜の摂取量の増加など長期的な食生活の変化につながったと結論づけました。さらに、こうした食生活の変化は、がんの再発のリスク低減に関連するバイオマーカーに大きな変化をもたらしました。
がん治療に有効なケトン食
ここ数年、ケトン食の人気が急上昇しています。ケトン食は、炭水化物を1日50グラム(リンゴ2個分)に制限し、グルコースの値を大幅に下げます。また、脂肪の摂取量を増やします。そうすることで、細胞はグルコースからではなく、脂肪からエネルギーを得るようになります。細胞が脂肪からエネルギーを得るとき、そのプロセスはケトーシス(ketosis)と呼ばれ、ケトン体(酸)が血液中に放出されます。
ケトン食は、その健康効果についての長期的な研究がないため、依然として議論の余地があります。しかし、短期的には、一部の患者の寛解を助け、化学療法や放射線療法に関連する副作用を緩和することが示されています。
ケトン食がよく効くとされるがんには、神経膠芽腫(こうがしゅ)、神経芽細胞腫、大腸がん、膵臓(すいぞう)がん、肺がん、前立腺がんなどがあり、さらにてんかんやアルツハイマー病などの神経疾患の患者を助けてきました。オーストリアでの最近のある調査では、ケトン食は従来の放射線治療や化学療法と安全に併用できるがん治療として有効であると結論づけています。
2人の小児脳腫瘍の患者をケトン食に切り替えたところ、両者とも腫瘍部位のグルコースの取り込み量が平均21.8%減少したことがわかりました。がん細胞はグルコースを代謝する、つまり「エサ」にするため、グルコースの取り込みの減少はがん細胞の活動の低下を示します。
同様の症例報告では、非常に致死率の高い脳腫瘍である多形膠芽腫(たけいこうがしゅ)の65歳の女性が、進行性の記憶喪失、慢性頭痛、吐き気に苦しんでいました。この女性は、水のみによる治療的断食とカロリーを制限したケトン食(脂肪4に対して炭水化物またはタンパク質1、1日最大600キロカロリー)、および個別のビタミンとミネラル補給を組み合わせた治療を開始。わずか2カ月で、PETと磁気共鳴画像法(MRI)で識別可能な脳腫瘍の組織は検出されなくなりました。
血糖値は低下し、尿中のケトン体濃度は上昇しました。しかし、この厳しい食事療法を中止したところ、10週間後に腫瘍が再発しました。
中国医学の専門家が勧めるスープとは
ケトン食の代表格である骨のだしは、その健康上の利点が何世紀にもわたって評価されてきました。フランスではコンソメ、ラテン系やイタリア系ではブロードと呼ばれています。
病気のときにお母さんがつくってくれたのも、骨のだしを使ったスープだったかもしれません。缶詰や箱入りのスープやブイヨンが登場する以前は、どのおばあちゃんの家の台所にも骨のだしのスープが入った鍋がありました。
今日でもレストランのキッチンで骨のだしのスープを見つけることができます。スープ、シチュー、グレービーソースに深みとコクを加える、シェフの秘密兵器だからです。今日も風味豊かな骨だしのスープは、その栄養素とミネラルの豊富さで再び人気を集めています。
支持者たちは骨スープに含まれるアミノ酸やゼラチン、コラーゲンが免疫力を高め、炎症と戦い、消化管を修復すると信じています。伝統的な中国医学の専門家は、消化器系の健康をサポートし、血液や腎臓を強化するために骨スープを勧めています。
しかし、多くのベジタリアンやヴィーガンの人たちは、ケトン食が肉のソースから脂肪を得ていると、とくに脂肪への依存に反対しています。アボカドやナッツ類、ココナッツなど、植物性の食材だけで、ケトン食をつくるのはより難しいですが可能です。このテーマに関するベストセラーが、ウィル・コール著の『Ketotarian』です。
多くの劇的寛解者がケトン食に成功していますが、すべての人に適した食事療法というわけではありません。ケトン体が血液中に増えすぎると危険な場合があるため、最初に医師や自然療法士、栄養士に相談して、自分にとって適切な食事療法かどうかを判断し、安全のためにケトン体を監視する方法を学ぶことが重要です。
---------- ケリー・ターナー(けりー・たーなー) がん研究者 腫瘍内科学領域の研究者。ハーバード大学で学士号、カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。過去15 年にわたり10 カ国で研究をおこない、1500以上の劇的寛解の症例を分析してきた。著書『Radical Remission』はニューヨーク・タイムズ紙でベストセラーとなり、現在22 カ国語に翻訳されている。RadicalRemission.com のRadical Remission Project の創設者であり、患者やその愛する人のために、コースやワークショップ、治癒の物語の無料データベースを提供している。また、劇的寛解に関する科学的研究を促進することを使命とする非営利団体、ラディカル・リミッション財団の創設者でもある。 ----------