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世界最大の「田んぼアート」 ギネス世界記録に認定 行田市

2015年09月13日 15時45分20秒 | 市町村の話題

 

行田市が、「古代蓮の里」の展望タワーの東側の田んぼで08年度から毎年進めてきた「田んぼアート」アートづくりが見事に成功、15年9月8日、世界最大の面積2万7195平方mがギネス世界記録に認定された。

7品種の稲を使って、縦最長180m、横165mの水田に、「未来へつなぐ古(いにしえ)の奇跡」と題して、古代の衣装をまとった女の子を中心に宇宙服の男の子、古代蓮、小惑星探査機「はやぶさ2」を配した。(写真)

17年は、現在の田んぼの南側の1haにも違うデザインを描くなど、2つのアートでスケールアップを狙う。映画の宣伝を兼ねて、「のぼうの城」を図柄に使ったこともある。

市や地元農家らの「田んぼアートづくり体験事業推進協議会」が手がけてきたもので、ギネス認定への挑戦は2年前の13年に次いで2度目。この年は、高温障害のため一部の稲が生育不良で、地面が見えたため認定は見送られた。

「田んぼアート」とは、古代の稲が現代の米と違って茎の葉の色が黒や黄色で、異なっているのに着目、現代の稲と組み合わせて植えて、田んぼをキャンバスにして巨大な「絵を描く」ものだ。

現代の稲には、県の奨励品種「彩のかがやき」が使われた。

田んぼアートは1993年、青森県田舎館村で始まった。人気を呼び、全国で100か所くらいで行われたという。

行田には格好な舞台がある。「古代蓮の里」の古代蓮会館には、高さ50mタワーがついている。

利根川に近いこの界隈は、一面平らで、高いところがなく、360度の展望が楽しめる。天気が良ければ遠く「スカイツリー」も望める。おあつらえ向きに真下の東側には広大な田んぼが広がっているのである。

先輩の田舎館村の指導を仰いで、田んぼアートへの取り組みが始まった。古代稲の育苗には、県の農林公社種苗センター(鴻巣市)が協力した。

08年6月13、14日に行われた田植えには、田植えボランティア402人、一般参加者411人が姿を見せた。

9月13日の土曜日、「のぼうの城」以来2度目の「田んぼアート」見物に出かけた。蓮の里の駐車場はマイカーで一杯。古代蓮会館の一つのエレベーターには長い行列ができていた。昼ごろには入館券を買って、1時間10分待つほどだった。

入館券も大人400円が200円に半額に割り引き、JR行田駅から蓮の里までのシャトルバスも無料運行された。

残念なのは、稲を刈り取るので、15年の見頃は10月中旬まで。「田んぼアート」は、田植え後2週間くらいから収穫まで約150日間楽しめるとのことで、16年は早めに出かけたほうがいい。

「田んぼアート」は、刈り取られた稲わらが大迫力の「わらアート」に変身する。わらアートの第1人者として知られ、監修した武蔵野美術大の宮島慎吾教授によると、「日本最大のわらアートと言って間違いない」とのこと。

昨シーズンの馬形埴輪とマンモスに続く2回目で、今シーズンは草食恐竜ステゴサウルスと蒸気機関車の2体が、16年3月27日まで古代蓮会館脇の芝生広場で無料展示されている。

「古代蓮の里」は、広大な公園で、42種類12万株があり、圧倒的に薄いピンクの「行田蓮」が多い。

「行田蓮」は1971年、近くの市の焼却場建設工事の最中、偶然掘り起こされ、2年後に自然発芽・開花した1390年前の古墳時代の古代蓮だ。

この市には、「埼玉」の名の起こりになった東日本最大の古墳群(大小9基)があり、「さきたま古墳公園」として整備されている。

10万石の忍城には、天守閣こそなかったものの、「忍城御三階櫓(やぐら)」が再建され、郷土博物館の展示室の一部になっている。

この3か所をめぐるコースは、県北の貴重な観光資源になろうとしている。