谷靜纔聞
山鳥語
梯危斜踏
峽猿聲
和漢朗詠集 猿
送歸山僧
江相公(大江朝綱)
一自方袍振錫行 一に方袍で錫を振りて行くより
別師還媿六塵情 師に別れて還えり媿る六塵の情
雖觀秋月波中影 秋の月の波の中の影を観ずといへども
未遁春花夢裏名 未だ春の花の夢の裏の名を遁(のが)れず。
谷靜纔聞山鳥語 谷静かにしては纔(わづ)かに山鳥(さんちょう)の語(ご)を聞く
梯危斜踏峽猿聲 梯危うしては斜に峡猿の声を踏む
夜深莫歎迷歸路 夜深く帰路に迷ふとも歎くことなかれ
定有霜鍾度嶺□(鳴) 定めて霜鍾の嶺の度に鳴るあり
意訳
僧の帰る道中は、谷静かにしてわずかに鳥の囀ずりが聞こえ、
桟道は危うくして山の斜面にあり、谷間の猿の声を下に踏むようにして行く。
令和元年12月20日 肆點參