さい かの きよく じやうけん
塞 下 曲 常 建ぎよくはくてうくはいしてのぞむていけいを。 を そん かへりさつて ず しやうせおうと
玉 帛 朝 回 望 帝 亰 鳥 孫 帰 去 不 稱 王
てん がい しづかなるところなし せいせん。 へい き せうして なるじつげつのひかりと
天 涯 静 處 無 征 戦 兵 氣 銷 為 日 月 光
ゑびすのこくおうが、ていけいをのぞみ、あをいできたり。中ごくにきふたし、玉はくをもつて朝参するゆへ
ゑびすも今までは王号をなのつていたれども、烏孫もちうごくへしたかひくだつておうとせうすせず。ちんの
はづれまでしづかにおさまつて征伐のやうな事はない。軍があれば、天に兵氣がたなびくが、それもせらじ。
つきて日月もあきらかに輝て清平の世となつた。昔こうした事があつたよい天子のいます時の事いふ。
塞下の曲 常建
玉帛朝回して帝京を望む。
鳥孫帰り去って王を称せず。
天涯静かなる処、征戦無し。
兵気銷(しょう)して、日月の光と為る。
意訳
烏孫王は、宝玉と絹布で、漢朝に臣下の礼を持って回って、帝京を観た。
そして、その皇帝の徳を知り、帰り去ってから、王を称しなかった。
見渡す限りの果てまで静かな所には、戦争は無い。
戦乱の気配は消えて、日月の輝く所と為る。
※塞下曲 新楽府題。四首連作の第一首。異民族との戦いに勝利した時の祝賀の詩。
※玉帛 宝玉と絹布
※烏孫 天山山脈にあった王国。前漢時代の武帝の時、対匈奴の為、同盟を結んだ。
※兵気 戦乱の気配
唐詩選画本 七言絶句 巻第五