JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

じんちゃんの2015年

2015年12月31日 14時11分17秒 | 歳時記
暮れも押し迫りまして、今年もお世話になりました。年内の更新は無理かも・・・という状態だったのですが、何とか戻って参りましたヨ。(*^_^*)

じんちゃんの2015年。エッセイでは、トホホな愚痴を時折こぼしておりましたが、決して悪くはなかったです。いやむしろ、いい年だったのではあるまいか、などと感じております。’終わりよければすべてよし’の人なので。

勿論、思うに任せぬこともあったけれど、だからこそ人の温かさが胸に沁みたり、周囲から元気をもらったり。そうしてじんちゃんには、「本」という心の友がいるからね。

今年は、周囲を通じて、いろんな本に出逢った年でもありました。そんな中、とりわけ印象に残った作品を、ご紹介〜

① 頭木弘樹:編訳『絶望名人カフカの人生論』 
 1月のエッセイ「月と太陽」の中の『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』をきっかけに、手を伸ばしました。ゲーテとの対話集で、あれだけ後ろ向きなワードを呟き続けるカフカって、一体どんな人!?と、気になるじゃあないですか。しかして、その先に、かつての恩師との再会が待っていようとは・・・頭木さんのシリーズを見つけてくれた娘に感謝!

② 黒川博行『後妻業』
説得力のある記述に引き込まれ、ページをめくる手が止まらなくなった。立ち寄ったカフェで、友人に勧められていた、この小説を発見。店内だけでは読み切れず、その後本屋へ直行してGETしました。それ位ハマった!!-容疑者女性の周辺で、何人もの資産家男性が、不審な死を遂げてゆく-奇しくも、世間を騒がせていた事件とリンクし、実に興味深い内容だった。出版元の文芸春秋は、『殉愛』が話題になっていた百田尚樹さんを新連載へ抱え込むのにご執心でしたが、じんちゃんはね・・・黒川さんの方が、余程’今’という時代を見据えていたと思う。もっと販売攻勢をかけるべきだったかと。(一人でも多くの人に読んでもらいたい!)来年8月、大竹しのぶ主演で、この作品が映画化されるそうで、楽しみにしております。

③ 沢木耕太郎『テロルの決算』
 「月と太陽」に登場するレストランの店員さんが、紹介してくれた作品です。社会党の委員長であった浅沼稲次郎が、演説会の壇上で17歳の右翼少年に刺殺されるという、ショッキングな事件を扱ったものでした。三島由紀夫の割腹自殺や、あさま山荘事件なら、どうにか記憶に残っている私も、1960年と言えば生まれる前だからねぇ。’浅沼委員長。お名前だけは聞いたことが…’ 一つの命が失われているのに、これはないよね 。読み進めるに従って感じたのは、当時の背景は今へ繋がっているということ。登場する政治家たちの2世3世の動向もになるし、安保法案の行方も。若者たちの目に、今の政治は、どう映っているのだろう?

④ 高殿 円『ポスドク!』 
フジTVでドラマ化希望! 『上流階級』のスタッフでお願いします。
 学歴最高、収入最低、独身でありながら、何故だか甥っ子養育中。教員の世界も大変なのねぇ。。。覗き見感覚で読んでいたら、横から中学生の娘が、「私にも貸して♪」「面白い内容だけど、専門用語が出てくるよ。大丈夫?」心配したのも束の間、高殿ワールドにすっかり魅了され、次から次へと手に取りだしたのには驚いた。『上流階級 富久丸百貨店外商部』『カーリー』『剣と紅』『トッカン 特別国税徴収官』近隣の図書館にある高殿作品を読破し、ご本人のツイッターまで追っかける始末。ストーカーかよ。 (~_~)

⑤ 天童荒太『悼む人』
 PTAの委員活動で悶々としていた頃、傍に携えていたのが、この小説でした。「柔軟であれ。でないと、続けることができなくなる。差し出されるものは感謝して受け入れ、代わりに拒まれた時にも、悲しんだり腹を立てたりしない。」 状況はまったく違うのだけど、『悼む人』の一節には、慰められたし心に沁みた。期待しない、求めない、というのが結局は心の平安につながるのだろう・・・。が、期待されない人生ってのも、寂しいものじゃないかしらん。亡くなった彼は(彼女は)、どんな人でしたか?誰を愛していましたか?誰に愛されていましたか?そうして、どういったことで感謝されていましたか?繰り返される問いかけに、己の生き方を顧みてしまうよ。

年頭のエッセイでは、こんなことを書いていました。「行きたい所へ行き、会いたい人に会う。」友を亡くして以来、じんちゃんの座右の銘です。万物流転。ご縁もまたしかり。ここ数年、毎年のように、懇意にしていた人が亡くなっていく・・・。’そういう年代なのだ’と言ってしまえば、それまでだけど、寂しいですねぇ。せめて、生きているうちは、できるだけ微笑んで過ごしたい。今、手にしている時間も、環境も、決して無尽蔵なものではないのだから。あの世へ旅立った人たちが、身をもって教えてくれた気がします。

2015年は、ここへ綴り切れない程、たくさんの想い出ができました。息子と岐阜まで足を運んだ、某企業の工場見学。友人たちと実行した、『繕い裁つ人』のロケ地巡り。コンサートへも、よく行ったなぁ。。。楽しかった!!


さぁ2016年には、どんな出逢いがあるのやら。映画は、原作も込みで、以下の3作品を応援していきます。

初夏公開予定 『二重生活』 (原作 小池真理子)
8月27日公開 『後妻業の女』 (原作 黒川博行)
9月公開   『怒り』 (原作 吉田修一)

今年も1年ありがとう。
それではみなさま、良いお年を!