JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

星のかけらを探しに行こう

2008年07月14日 11時13分00秒 | 本と雑誌
 あきまへ~ん。エッセイの神様が降りてこない。こんな状況を正直に語ってみるのもよいかと、今回は創作裏話を。現在『恋うた』シリーズを手掛けておりますが、あるお仲間さんの日記に刺激を受け、新作は「パンドラの箱」というテーマでいこうと。それに伴って、色々調べ物をしていたんですよ。そうしたら収拾がつかなくなった。太宰治の『パンドラの匣』に始まり、ギリシア神話、そうしてキリスト教の七つの大罪へ行ってしまいまして。このままでは、映画『セブン』へ手を伸ばし、ブラッド・ピットについて語ってしまいそうです。おーい!私の恋バナどこいくんや~。「パンドラの箱」とは、’災いが降りかかるから触れてはならない’という意味で使われる慣用句ですが、もともとギリシア神話の伝説からきているんですね。で、ギリシア神話の世界を覗いてみましたら、これが面白い。神々による天地創造・生物誕生の箇所では、日本の神話を思い出したり・・・イザナギとイザナミが日本国を創っていく話と似てる!って所から、親近感も増す訳ですよ。

 日本には八百万(やおよろず)の神という解釈がある。アマテラスオオミカミ(天照大神)が太陽の神であるように自然界にちなんで、或いは農耕・生産など生活に即して、神の存在を当てはめています。神話にも役割を担った神々が登場、それぞれエピソードがありますね。アマテラスオオミカミの天岩戸伝説、スサノオノミコト(素盞鳴尊)のヤマタノオロチ退治伝説。みなさんも、ご存知だと思います。ギリシア神話も、似たような構造で出来上がっている・・・そう気づいた時、遠い異国の話ではなくなった。

 なんや、じんちゃん宗教がかってきたなぁ。そのうち私は、卑弥呼(ひみこ)の生まれ変わりとでも言い出だすんちゃうやろか。くわばらくわばら。で、現在息子(小5)が所有している本を、そっと手に取りました。これ、元々私のものです。1979年度版偕成社文庫の『ギリシア神話』。小学校の時に購入して、どうしても捨てられなかった本が実家にあるの。竹山道雄の『ビルマの竪琴』、獅子文六の『悦ちゃん』。時代モノでは『南総里見八犬伝』。海外モノだと『ドリトル先生航海記』『帰ってきたメアリーポピンズ』。幾多の危機をくぐり抜け、最後まで生き残った作品たちです。

 書店で子ども向けの本の棚を、覗いてみてください。昔ながらの王道・名作、見事に切り捨てられています。売れないから?それ以前に置いてへんでしょ。手に取らせる努力をしてくださいよ。戦争・人種差別、ちょっとでもひっかかったらアカンアカンってね。作者の真意は、そういう所にないでしょう?存在そのものを失くしてしまうのは、考える機会をも奪ってしまうこと。『ビルマの竪琴』や『ハックルベリーフィンの冒険』から、子どもたちが何を汲み取るのか。もっと信用してもいいし、大切な部分をすくい上げる情緒を養うのも、教育なのではないか。時代遅れと言って切り捨てないで~!そんな気持ちでいます。

 おっと、ギリシア神話だった。で、ウン十年ぶりに読み返してみましたの。むむ、これは・・・。そこに描かれていたこと、崇高な話ばかりではなかった。神様同士の闘争、愛と憎しみ。嫉妬したり、陥れたり・・・欲だってあります。権力が絡めば、身内をも疑います。そうして、こちらは善あちらは悪と、はっきり分かれているとは限らない。美しい女神にも、いたずら心や意地悪な感情が宿りますからね。私のように。おーっほっほ。

 大体、最も偉いとされている神ゼウスですが、これまた、ちょいと困った神様だ。天空神-とりわけ雷を支配していた-というだけあって、おっかない神様でね、短気なの。すぐ懲らしめてやろうって気持ちが、頭をもたげるの。そのクセまぁ・・・こんな感じよ。「ある日のこと、あてもなく下の世界をながめていたゼウスの目に、ふと美しい少女の姿がうつりました。それはイーオーという名の少女でした。お妃のヘーラーの目をぬすんで、ほかの女の人のところへいくのが大すきなゼウスは、なかよしの友だちにするのにちょうどよい相手だと思って・・・」。そこここに仲良しのお友だちをつくって、さぞ楽しいことでしょうよ。おかげでイーオーちゃん、牛に姿を変えられるわ、お妃の嫉妬で耳にあぶをいれられるわ、とんだ災難です。

 「あ~ホレっぽいんだよね。それにハンサムなんだ」と、解説を加えるのは息子。なんやのハンサムて。見たんかいな。「そして、その行動が新たな火種を生むんだよな。」ちょっと!ちょっと!人に厳しく接している割には、自分に甘くありませんか?一体何様やの。「神様じゃ」くーっ。それが一方で、’弱者の守護神’’正義と慈悲の神’ですから。その正義感・慈悲のお心、まずは周囲の者たちへ向けていただきたいものですわ。「不倫をしている女神もいるんだよ。」「誰それ?」「アフロディーテ。」「愛と美の女神、母ちゃんやな。」「鍛冶の神の夫がいるんだけどサ、手先が器用なだけの男なんてつまらないわ!って、かっこいい軍神になびくんだよ。」 うちの夫、手先が器用なんすよ・・・。「ぷーっ。母ちゃんの軍神どこやろ~。」「父ちゃんにしときなよ~。どうせ軍事オタクなんだから。」そういう問題ちゃうやろ!しかしまてよ?私が読んだ本には、そんな記述はなかったはずだが。「その情報、どこから仕入れてきたの?」「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々。ギリシア神話を元にしたミステリーなんだ。面白いよ。母さんも読んでご覧よ。」

 調べてみましたら、アメリカの実力派ミステリー作家が、児童向けに書いた作品のようで。目に留まったのが、翻訳者の金原瑞人。数年前、若干20歳にして『蛇にピアス』で芥川賞を取った、金原ひとみ嬢のお父上じゃないですか。ギリシア神話、色んな世界へつながるのね。日本の神話に飛べば、それをまとめた『古事記』や『日本書紀』へ。神々の名前(星に関連しているものがある)からは、宇宙へ。ゼウスをまつる宮殿があった場所(オリュムポス)からは、オリンピックへ。ナルシストやエコーのように、現在使われている言葉の語源になっているものも多い。英雄たちの物語からは、蜷川幸雄さんのお芝居へも飛ぶよ。(『王女メディア』)

 「探偵学園Qに、ハデスって悪役がでてくるやん。あれもギリシア神話の冥界の王から来てるんだね。」「そそ。手下のケルベロスは地獄の番犬。ところで母さん、何でギリシア神話なんか調べてるの?」おっと、パンドラの箱だった・・・。シナプスが大活躍で。神木龍之介くん(キュウ)のように、「わかっちゃったかも!」と言いたいくらいよ。何を若ぶっていやがる。君の年代は、あばれはっちゃくの「ひらめいた!」だろ~。そんなツッコミが入る前に、そろそろおいとま致します・・・。口の悪い夫からも言われるからな。「てめぇの馬鹿さ加減には、父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ」(BY東野英心)。わかる人にしかわからない、『あばれはっちゃく』の名セリフでしたー。

 https://www.youtube.com/watch?v=T6RSb7Goh4w

 ※『散歩道』を改題致しました



1 コメント

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「今日のオチはなんだろうか? と考えました。うー... (じんちゃん)
2012-03-03 15:18:37
「今日のオチはなんだろうか? と考えました。うーん、ジージの単純な頭脳では分かりませんでした(・・?
ギリシア神話の神々に比べれば、惚れてしまえば’痘痕も笑窪’貴女一筋の私の方が
どんなに神々しいか」 (BY uzanさん)

「子供に読ませておくべきは、’ギリシア・ローマ神話’’北欧神話’’古事記’’ナルニア国物語’
’メアリーポピンズ’’西遊記’’カトリーヌの冒険’。
余裕が有るなら’マーティン・ピピン’等もよろしかろう。」 (BY まいこさん)

「あばれはっちゃくの吉田友紀君・・・健ちゃんと並ぶほどの名子役でした。
うちの娘も星座とそれにまつわるお話には興味があって、図書館で読んだ本の説明をしてくれます。
私が思うに・・・ 人間っていうのは、どこかで神様を信じているのではないかな?
神話って、ホントにあったお話のような気がしてしまうから。」 (BY すずちゃん)

「息子ちゃん、小五のおませさんやね。じんちゃんの遺伝子、うけついでいるの、ありあり・・
そうして、じんちゃんの血は脈々と次世代にうけつがれていくのでR。」 (BY チヤさん)

「母ちゃんの、軍神は…
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は~い ここにいるよ~ 昨年、日本の神話の本を少し… また読み返してみよう」 (BY 徹さん)

「お久しぶりです^^
神話の中の神々達も、現代を生きる私たちとあまり変わらないんですね^^
ところで、じんちゃんは源氏物語はお好きでしょうか?
私は子供の頃読んだマンガあさきゆめみしにはまり・・・。学校では国文学を専攻したんです^^
源氏物語・・・ 千年経った今も色あせないラブストーリーの傑作だと思っています^^」 (BY はるかさん)

「↑ 私も好き!!今、文庫で揃えてます(*^。^*)
私はね’空蝉の君’のようにありたいと思いつつ・・実際は’六条の御息所’タイプかも。
必死に気持ちを飲み込もうとするも、知らず知らずに生霊(怨霊)のようになってしまう(笑)
要するに、恋においての理想を貫きたいのだけど、心がついてゆかないというか。
だから・・・リアルな恋は避けているのかもしれない(笑)怖いよ~私(嘘)」 (BY すずちゃん)

「>エッセイの神様が降りてこない 
寄進を増やしてみやんせ。神の心もエロケと銭次第でやんす。」 (BY あんちゃん)

「すずさん源氏物語好きなのね^^
空蝉・・・ 源氏の思いどおりにならなかった数少ない姫のうちの一人だよね^^
私は、夕顔&紫の君タイプ。完全に都合の良い女と化します。(笑
でも、朧月夜のような奔放さが憧れかな。
源氏を須磨へ追いやる原因を作ったでしょ?ああなってみたいと思うけど・・・」 (BY はるかさん)

「ギリシア神話にしても 日本の神話にしても・・・・
登場する神様は、全知全能の神と言うより人間味がある神様が多いですね^^
日本の最高神 天照大神は女性ですから・・・
我が国は・・・やはりもともと女性の方が権力を握っているのかも~~~(≧m≦)ププッ」 (BY 鞍馬さん)

「私ね、’六条の御息所’の気持ちがナントナク分かるんです。
本人も、恨みたくなんかないの。そんな自分が嫌で仕方ないハズ。
本当は情の深い女性なのに、心の奥底には醜いものを抱えてて、自分の意志とは関係なく怨霊となってしまう。
好きな人に余計に嫌われてしまうのに・・・ 哀しい女なんですよ、彼女は(;_;)」 (BY すずちゃん)

「六条の御息所は自分の源氏への熱い想いを自分自身でちゃんと受け入れられなかったんじゃないか・・・
そんな風に思いました。
恋に狂う女はカッコ悪い、とか・・・ 男をしつこく追いかけるのはみっともない、とか・・・
そんなことを私がしてはいけない、とか・・・。
きっと年も関係あったと思います。あとは自分の身分というか、地位みたいなモノも関係あったんだと思います。
六条の御息所は身分が高い人だから・・・ そういう事が恋心の邪魔をしたんだと思います^^」 (BY はるかさん)

「エッセイの神様のかわりに、ゼウスやアフロディーテが降臨しそうですな。
ま、夏だし。(何だソレ)」 (BY bak2780さん)

エッセイを創作するにあたって調べモノをしているうちに、生まれたエッセイ。
従来とはちょっと違う構成で、それも面白いんじゃないかと。
コメント中盤から’源氏談義’になっていったのですが、リアル友人が興味津々で追っていたようです。
残念ながら、私は「源氏物語」を読んだことがないのだけど、この時勧めてもらった田辺聖子訳(新源氏物語 上・中・下 新潮文庫)は、そのうち手に取ってみようかと。小説的で、読み易いそうなので。
さて話は本文に戻り、息子が口にした「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」は、その後映画化され、
注目される結果となりました。よく先を読んでいたと思うよ。
現在中学校の図書室でも、そこそこ人気の高い作品です。マニアは、確実にいるのだ~。
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