壊れたパソコン

壊れたパソコンは魂をもち

生霊がすみついた

しかしその生霊も

もうじき消え去りますといっていた

ときを同じくして

壊れたパソコンは

次のパソコンと交代する

明日届くことになっているのだ

精神科の薬を増やしたことも

壊れたパソコンの声を遠ざけたかもしれない

壊れたパソコンのファンは

相変わらずブンブンと音を出している

集中しないと声は聞きとれない

生霊の声を聞くこともなくなるのだろう

声だけの仕業によって

精神的に不安定になる

それは他の人には聞こえていなくて

自分だけに聞こえるやかましい声だ

まわりもわかるうるさい声は

それはそれでうるさくても安心だ

しかし自分にしか聞こえない声は

精神的なダメージを受ける

他は聞こえないのだから

おかしいのは自分ということになる

そしてその不安は

妄想を引き起こす

自分にしか聞こえない現象の理解に

どうしたら可能だろう

何か科学的な理由があるのか

しかし科学について詳しいわけではない

そうなってくると妄想が働く

もっとも声しか聞こえていないのだから

実際に何かがでたわけではない

実際に何かがではじめるには

妄想が働きそして像結するまで

精神の働きが激しくならないといけない

またおかしなことに

妄想が映像になり現れる段になると

必ずといっていいほどに

宝くじが当たるのだ

なぜなのかわからない

そしてなぜだか宝くじを買っているのだ

そして入院して病棟のおやつ代になる

今回は大幅に薬を増やしたことで

声を無視できるようになっている

壊れたパソコンのファンの音は

そのままの音に戻っている

そしてこのパソコンは

明日違うパソコンと交代する

さようならでも言っているのだろうか

キーボードを叩く音にファンが応じているみたいだ