「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

スポーツ紙における「サッカー」の扱い、ほとんど無視状態

2018年05月26日 20時31分18秒 | サッカー選手応援
このタイトル、皆さんどう感じておられます?
25年前からスポーツ紙の1面を「サッカー」が飾った日は、日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、サンケイスポーツの4紙のどれかであれば、必ず収集保存してきました。

ここ2年前からネット上での収集保存に切り替えたとは言え、まだまだスポーツ紙の1面をフォローしていけば、その時々、何が注目だったのかわかるという確信をもって続けてきましたが、どうやら、その確信も揺らいできました。

例えば、西野監督になって初めての代表メンバー発表、翌朝のスポーツ紙で1面に記事を掲載した紙は一つもありませんでした。

そして今回、イニエスタ選手の神戸入団、年俸30億円超というスーパーな選手の会見にもかかわらず、どこも1面には持ってきてくれませんでした。

もはやスポーツ紙ではサッカーはほとんど無視状態です。

おそらく各社によっても少し色合いが違っているようで、日刊スポーツだけは、5月22日東京朝刊1面に「W杯後、森保五輪代表監督がフル代表監督を兼任か?」と報じてくれるなど、まだましですが、その日刊スポーツも「イニエスタ加入」は1面になりませんでした。

スポーツ紙の購読層の変化とか、トレンド分析しても仕方がない気がします。これだけネットが身近になってきたいま、スポーツ紙を買う動機はますます希薄になっているのではないかと思います。

ネットの報道は、新聞や雑誌と異なり、現物による比較・差別化ができないため、保存・記録の面で魅力に欠けるところがありますが、もう、そんなことを言ってられない時代になりました。

ネット報道を丹念に拾い保存していかないと、時間の流れにおいてサッカーの何が注目だったのか、次第に分析が難しくなっていくでしょう。

「サッカー文化」の保存・記録・伝承を務めとする身としては、ここらで少し頭を整理して気を引き締めないとダメになってしまうと痛感するスポーツ紙の惨状です。

ては、また。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西野監督流サッカー、橋本英郎選手がわかりやすく語ってくれました。

2018年05月26日 07時10分07秒 | サッカー選手応援
前回、イニエスタ選手のことを書き込んだ際、5/25・26日号の「エル・ゴラッソ」紙の記事を紹介しましたが、今回も同じ号に掲載されていた日本代表・西野監督のサッカーについてです。

同紙編集部は、かつてG大阪と神戸、2クラブにわたって西野監督のもとでプレーした橋本英郎選手に白羽の矢を立て、インタビューを試みたのです。

これは出色の企画だと思います。その橋本選手が「川幅の自由」というキーワードを使って実に上手に西野サッカーの特徴を語ってくれたからです。

そのエッセンスの部分をぜひご紹介したいと思います。ずいぶん抜粋する形になりますが、おわかりいただけるといいのですが。

「(西野監督が大切にしているのは)細かい戦い方の指示ではありません。チームがするべき攻撃マインドやプレーの意識のラインを定めると言えばいいでしょうか。」

「川で例えると、ある程度、川幅のラインを設定して、そこを選手が流れていきます。そして選手がその川幅を外れるようなことが起きたときに、監督が出てきて川の流れに戻します。川幅の中で流れているうちは、監督は選手に言ってきません。だから川幅のライン間でのプレーの自由度があるわけです」

「分かりやすく言えば、ハリルさんが『固定したチーム戦術』という1本のラインしか作らなかったとすれば、西野さんは、幅をとらせるもう1本のラインを設定します。その2本間のスペースで、選手本来の力を発揮させるためです。」

「僕ら(G大阪時代)の場合、"アクション、攻撃的"というラインの川幅で流れていく上では何も言われませんでした。後ろ向きなプレー、チームが定めるマインドと違う方向に行こうとすれば、具体的な戦術指示で注意されました。『不必要にバックパスをするな!』とかですね。」

(中略)

「サッカーではよく『規律の中での自由』という言葉が使われますよね。西野さんは、その規律のラインと幅を設定する感じです。」

「きっと細かい監督はいろいろな指示を出して、大事な要素を箇条書きで並べるようなことをすると思いますが、西野さんはアクションが規律です。だから、アクションに付随するようなプレーや表現であれば、選手の自由な発想でプレーさせてくれるのです」

「代表でも川幅を作ると思います。そして、これまでハリルさんが1本の線の上でやろうとしていた中で選手が右に左にバラバラになっていたところを、その川幅の中に入れていくと思います。」

「選手の本来の能力を100%に近い形で発揮させるような幅と環境を作るのではないでしょうか。それさえできれば、日本代表もいいプレーができると思います。」

(中略)

---では、どんなエッセンスを加えて川幅を作っていくと思いますか?---

「"エッセンスを加える"という発想ではないと思います。例えば、これまで100%の力を発揮できる形だったかと言えば、決まりご事が多くて、得意なプレーがカットされていたわけてです。それをカットせずに済む環境になれば、50%だったパフォーマンスが100%に近いプレーになっていきます。だから新たなエッセンスはいりません。何かを加えるというよりも、狭過ぎた川幅を広げてあげれば、本来の力を出せる選手がもっと増えてくる。そういう感覚だと思います。」

(中略)

---西野監督が挙げていた「選手の化学反応」というキーワードがありました。橋本選手の言葉が、その答えに近い気がしました。---

「ですから、プレーのイニシアチブを、ある程度は選手たちに渡していく可能性もあると思います。ただ、(西野監督)は全員のもつべきマインドや川幅は決めますよ。自由に解き放って、選手に『どうぞ、好きにやってください』ではありません。『こういうプレーをして欲しい』と言うでしょう。」

「でも、今まで1本のライン上でしかプレーしてはいけない制限があったところに、幅ができるわけです。そこで選手が感じる開放感は、ものすごいと思いますよ。その環境がプラスに働く選手が多ければ多いほど、これまで閉塞感のあったマインドかポジティブな方向に向かうと思います。」

(中略)

---お話を聞く限り、非常に個人戦術が問われるチーム作りになりますね---

「指示を待つような選手は、うまくプレーできないかもしれません。1本のライン上で戦うことしかしてこなかった選手は、幅ができたことで逆に何をしていいのか分からない状態に陥ってしまうかもしれません。」

「そこはしっかりと見極めて人選していると思います。個人戦術があり、自分でプレーを作っていけるメンバーだと思います」


ここまでが、橋本選手インタビューの抜粋です。
いかがでしたか? 途中、ずいぶん(中略)も入れましたし、まだまだインタビューは長いのですが、何か「目からうろこ」のような気がしませんでしたか?

もう1本、線を引いて川幅にしてあげるだけでいい、その川幅という自由度が与えられれば選手は、開放感に満ち溢れて持てる力を存分に発揮できるはず。

橋本選手は、まるで西野監督の有能な報道官のようです。これほどわかりやすくブリーフィングしてもらえると、一気に西野ジャパンの戦い方というものに対する期待感が出てきます。

なぜなら、選ばれた選手たちは、みな百戦錬磨、自由度さえ与えてくれれば結果は出しますヨ、と顔に書いてありそうな選手ばかりですから。

いいタイミングで、いいものを読ませていただきました。ありがとうございます。橋本英郎選手、ありがとう「エル・ゴラッソ」さん。

では、また。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「国民の一員、文化の一つになりたい」イニエスタ選手、かく語りき

2018年05月26日 04時32分21秒 | サッカー選手応援
また一つ日本サッカー史に残る名言が生まれたと思いました。
アンドレア・イニエスタ選手が、神戸への入団会見で語った内容について隔日刊「エル・ゴラッソ」紙が、そう見出しをつけたのです。

イニエスタ選手が、日本でプレーする道を選んでくれて、日本人は何と幸運なのでしょう。私は、1990年代半ばのスーパーな選手・監督たちの来日当時と同じ、久びさに誇らしい気持ちになりました。

あの頃、名古屋の監督に就任したベンゲル監督も、ジュビロ磐田に入団したドゥンガ選手も、しきりに日本文化に対する称賛と敬意を口にしていました。

5/25・26日号の「エル・ゴラッソ」紙に、イニエスタ選手の会見概要が載っています。さらにスカパーが「神戸入団会見」を放送してくれました。それによると、イニエスタ選手はまず「今日私にとって特別な日です」と切り出しました。

そして「神戸が示してくれたプロジェクトに感謝しています」と続け「何より、私自身、日本という国がとても好きですし、家族ととも一日も早く日本に溶け込み、楽しみ、日本という国の文化を堪能したいと思っています」と話しました。

記者からの「数ある選択肢の中から日本を、そして神戸を選んだ理由を教えてください」との質問に対しては「多くのオファーをもらいましたが、神戸が示してくれたプロジェクトに一番、共感、共鳴したということ、そして自分という選手、人としてのあり方を神戸が評価してくれたことが決め手です。」と語り、

同じ記者が、追いかけるように「日本の文化って、具体的にどんなところに関心がありますか?」と愚問を投げかけたのに対し「それは全体的なものです。人であったり国民性であったり・・・。これから出会うさまざまな文化から学びたいと思っています」と返しました。

「エル・ゴラッソ」紙は「皆さんと同じような、国民の一員になりたい。家族も同じです。文化の一つになりたいと思っています」と書いていました。実際はそこまでは言っていないのですが、そういう気持で日本でのプレーを選択したと伝えたかったのでしょう。

前回の書き込みで私は「チーム作りの明確なコンセプトがあって、その具体化のために一人ひとりピースを埋めていく作業の一環だとわかれば、ワクワク感は神戸というチームに対して出てくるのですが。」と書きました。

会見の冒頭、三木谷社長が、まるで「まぁ、よく聞いてヨ」と言わんばかりに、そのことに触れました。

少し長くなりますが、彼の発言をご紹介します。
「イニエスタ選手を獲得したのは、単に1プレーヤーとしての役割だけを期待してのことではありません。
・神戸のユース世代の育成に、バルサ・カンテラしかもラ・マシア(選手寮)出身のDNAを注入して欲しいということ。
・イニエスタ選手というアイコンによってJリーグが世界中から注目され、他の優秀な選手たちがJリーグを目指すという効果を発揮して欲しいということ。
・神戸が、ここから本気でアジアNO.1チームを目指していきたい、そういう新・神戸のキーマンになって欲しいということ。
・イニエスタ選手がSNSでは世界で7400万人ものフォロワーを持つ大変な発信力を持った人であり、その効果によって、神戸というチームもJリーグも、そして日本全体としても注目されるよう、さまざまな仕掛けをしていきたいということ。
・「スポーツには人々を元気にして力を与えることができる効果がある」という信念のもと、楽天という会社が、これまでバルセロナ、楽天イーグルス、ヴィッセル神戸を応援しているが、イニエスタ選手の加入が、必ずや日本の社会や人々をエンパワーする(注・力になって新たな活力を引き出してくれる)と信じて交渉してきたので、今日という日を迎えられて本当に感動している。」

このように説明されては、もう前回書き込んだような「楽天・三木谷社長の個人的な買い物?」とは言えなくなってしまいます。

とはいえ、別なため息も出ます。夢を実現するにも、やはり「お金持ち」でなくてはできないことだなぁ、ということです。

3年契約で、1年の推定年俸が32.5億円、日本の、Jリーグの水準からすれば途方もない数字ですが、神戸は、それ以上の数字を提示しているであろう中国のチームやUAEのチームとのコンペティションを制したことになるわけです。

三木谷社長は、まさにケタ違いのレベルで勝負しているわけですが、その結果として「お金じゃないよ、心だよ」を地で行く契約に漕ぎ着けたことになります。「プレゼン力」が「資金力」を上回ったということになのでしょうか。

イニエスタ選手が神戸のプロジェクトに共感、共鳴してくれたことで、表面的な数字だけでは見劣りする獲得合戦を制することができたというわけです。

幸運なことです。何といっても、イニエスタ選手が、これほど「日本びいき」の選手だったとは・・・。ドゥンガ選手の時もそうでしたが、その選手が、それほどまでに日本文化というものに強く関心を持ってくれているなんて、わかりませんものね。

よく言われる「サッカーというスポーツは、その国の国民性、文化をそのまま反映するスポーツだ」ということ、そして、私たち日本人があまり強く意識はしていない日本文化の素晴らしさ、海外からよく称賛される日本人の国民性の素晴らしさというものを、イニエスタ選手は意識させてくれました。

私は前回「神戸のオーナーは、日本版銀河系軍団ができるまでビッグネームを買い続けるのか、途中で投げ出してしまうのか、」と書きましたが、本気でアジアNO.1クラブの座を取りに行く第一歩ということであれば、2年後、3年後の神戸を見てみたい、という気にはなりますね。

イニエスタ選手について、最後に2つ。

一つは、スカパーの会見番組でキャスターが言ってましたが、イニエスタ選手は個人的なトレーナー、メディカルも持っていて「チーム・イニエスタ」として来日するそうです。すごいですね。

もう一つ、お気づきの読者の方もいらっしゃると思いますが、私は「アンドレア・イニエスタ」選手と表記していましたが、いまは、どのメディアも「アンドレス・イニエスタ」選手にしているようです。はやり、そう変えなければならないでしょうか・・・。

では、また。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする