Jリーグ20周年を記念してアニバーサリーマッチが企画された。なかなか洒落た企画だ。Jリーグ誕生記念マッチがヴェルディ川崎vs横浜マリノスで、当時、自他ともに、それこそ誰もが認めるカードだった。
記念すべきJリーグ初ゴールが期待された人気選手の誰でもなく、無名のオランダ人・マイヤー選手だった。これだけが、記念マッチで唯一予定調和を破った出来事だったと思うのは私だけだろうか。いずれにしてもご愛嬌だった・・・・・。
今回のカードは浦和レッズvs鹿島アントラーズ、なぜこのカードか、ヴェルディvsマリノス戦に比べれば、多少説明が欲しいと思うカードではあったが、説明を聞けば頷けるカードといえる。
20年を経た今、あの2チーム、横浜マリノスは強さこそ保ってJ1を戦っているが、ヴェルディ川崎はチーム名も東京ヴェルディと、念願の「東京」という名を冠することはできたものの、J2から這い上がれずにいる。
20年後にJリーグを代表するクラブとなったのは、Jリーグ草創期にお荷物と言われたほど弱小だったチームを変わらず応援し続けた熱狂的サポーターに支えられた浦和レッズ、Jリーグ初年度のチャンピオンシップで、ジーコがボールにつばを吐きかけるほど怒り心頭に発した判定の数々もあって、あたかも奪われてしまったかのような初代チャンピオンの座、その屈辱にもめげず、というか、むしろそれをバネにして、その後、国内三大タイトル16冠という圧倒的な成績を残している鹿島アントラーズ。
両チームは地域に根ざしたクラブというJリーグの理念を体現しているという意味でも代表的なクラブだ。
そのチームの対戦を「アニバーサリーマッチ」としたまではよかったが、試合において誤審が発生した。そして、それを日本サッカー協会が認めたことで、誤審は歴史的事実となってしまった。
さて、ここからが今日の本題となる。ここでは、アニバーサリーマッチが誤審でケチがついたとか、審判のレベルを云々するのではなく、いよいよもって誤審根絶は日本サッカー界の至上命題になったということを指摘したい。
もともと、誤審問題は日本だけではなく世界的な問題だ。これまでもワールドカップをはじめさまざまなレベルで発生し、さまざまな明暗を引き起こしてきた。
世界のサッカー基準を統括するFIFAも、いろいろな改革を検討してはいるが、そもそもが純粋にサッカーの誤審問題根絶に取り組んでいるかどうか、という組織である。また、誤審で分け隔てられる栄光と挫折の多寡より、人間という生身のジャッジがかかわるという、フットボール競技の根源的な部分を失うことのほうを問題にしているフシもある。
しかし、かといって手をこまねいて見ている必要はまったくない。日本という国、あるいはJFAという日本におけるサッカーの世界は、まだワールドカップで優勝を争うほどのレベルにまで達しているわけではないが、少なくともフェアプレーの面では世界トップクラスのレベルにある。
したがって、誤審根絶を日本が世界に先駆けて取り組むのは、なんらおかしいことではなく、むしろ、日本方式が世界標準に取り入れられるような道をめざすべきなのだ。
私は、ここで一つの例えを出したい。いま国際政治の中で世界をリードするアメリカに次いで中国の存在感が高まっており、あらたな二大超大国の時代になるのではないかと言われている。
その中で、中国からさまざまな圧力や理不尽な態度を突き付けられる日本の、今後の国際社会での行き方について、普遍的価値観の部分で共鳴できない国とは一線を画す、けれども普遍的価値観を共有する国々とは、より結びつきを強固にしていく、そういう行き方が日本の進むべき道であり、その行き方を愚直に国際社会に訴えていくことが国益であるという考え方がある。
普遍的価値観とは、自由主義、民主主義、基本的人権といった面である。ある国が、その部分を基本的に保障していないならば、基本的、最終的に国際社会から受け入れられるのは難しい、そういう考え方である。
私は、サッカーにおける誤審根絶への取り組みについても、決してサッカー大国と言われる欧米の言いなりの中で済ます必要はないと思っている。日本が普遍的価値観を大切にする国として誇っていいように、フェアプレーの大国を誇りに堂々と、日本発の誤審根絶を実践すべきだと思う。
この主張は、私が、JFAには、そのような実行能力があると考えているから成り立つ主張である。もし、実はJFAにも、FIFAやUEFAの小型版のような、誤審根絶に真剣に取り組めない事情というか、根本的な問題があるのだとしたら何をかいわんやである。
なにせ、ハイテク機器を駆使して判定するシステムは、陸上、水泳などの競技はもとよりフェンシングなどの競技を観ても驚くほどの方法が導入されているのだ。どうみても合理的、論理的な手法のうち一つか二つ導入しただけでも、おそらく飛躍的に誤審は減少するだろう。
このブログは火付け役になって議論が始まり、実践に移されることを願ってやまない。
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