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福島県立大野病院事件で産婦人科医 無罪!

2008-08-20 23:15:25 | 医療・福祉
 いま、全国で産婦人科医が圧倒的に不足し、切迫した妊婦が救急車でたらい回しにされる事件も起こっている。
 その背景として、今回の訴訟事件を初めとする、『医療ミス』裁判があることが医師たちの中でも陰に陽に言われていた。
 最近では、TVのドキュメントやニュース特集でも度々話題となり、果てはTVドラマでも『医療ミス』問題が取上げられている。
 Tommorow 「日はまた昇る」や「コード・ブルー」など。

 私の掛り付けの病院で医師に聞いた話では、
若年での「死」と直面するリスクの最も大きい産婦人科を志望する学生やインターンが激減し、
直接「死」と直面するリスクの少ない皮膚科を希望する者が多いと言う。

 娘さんを『医療ミス』で殺されたと思っている父親の気持ちも解らないではないが、医療行為と技術の限界から、医師として全力を尽くした場合でも、亡くなるケースは無くなる訳ではない。
 本当の意味での『医療ミス』が明らかな場合は、当然裁判に訴えることも排除できないが、患者が死亡したからと言ってその都度訴訟になっていれば、医師は最新の医療行為を行いにくくなり、医学と医療の進歩が止まってしまう。

 今回の「医療事故」の詳細は知る訳ではないので、判決の妥当性は論評できないが、「正当な医療行為をしたが力が及ばなかった不幸な事例であり、(無罪は)当然の結果だ」との「日本産婦人科医会」の声明が参考になる。

「地域医療守れる」 福岡県医師会
   産科医無罪判決
         西日本新聞 2008年8月20日(水)17:30

 福島県立大野病院事件で産婦人科医を無罪とした20日の福島地裁判決。
医師会報で産婦人科医の逮捕について現場の声を中心に特集記事を掲載するなど問題点を指摘してきた福岡県医師会にも「妥当な判決」と安堵(あんど)の声が広がった。

 横倉義武会長は「地域医療を守るという立場から無罪判決に安心した」と話した。
 今回の事件がもたらした影響については「医療行為には不確実性があり、予期しないことが起きうる。正当な医療行為をしたのに力が及ばなかった場合に刑事責任を問うということになると現場を萎縮(いしゅく)させる。
 実際に今回の事件は地域医療に深刻な混乱をもたらした」と指摘。人為的なミスなのかどうかの判断については「専門家でないと難しい」とし、第三者の立場で死因を究明する「医療安全調査委員会」設置の議論を急ぐ必要性を訴えた。

 全国約1万2000人の産婦人科医でつくる「日本産婦人科医会」(寺尾俊彦会長、東京)は20日、大野病院事件の無罪判決を受け「正当な医療行為をしたが力が及ばなかった不幸な事例であり、当然の結果だ」との声明を発表した。

=2008/08/20付 西日本新聞夕刊=  


「地域医療守れる」 福岡県医師会 産科医無罪判決(西日本新聞) - goo ニュース
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産科医に無罪 大野病院事件 福島地裁判決
       河北新報  2008年08月20日水曜日

     
      弁護団とともに福島地裁に入る加藤被告(中央)
           =20日午前9時50分ごろ

 福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤の剥離(はくり)を続けた判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の判決で、福島地裁の鈴木信行裁判長は20日、「手術中の判断に過失はない」として無罪を言い渡した。

 逮捕当時から医療界が「刑事事件化は不当だ」と反発する中で、弁護側は無罪を主張。検察側は禁固1年、罰金10万円を求刑していた。

 最大の争点となった剥離継続の判断で、鈴木裁判長は「被告は大量出血を予見できた」と検察側主張に沿う判断を示したものの、「直ちに剥離を中断して子宮摘出に移行することが医学的準則であったとは言えない」と過失を否定した。

 検察側が「前壁から後壁にかけて広く癒着し、大量出血を予見できるほどだった」と主張していた胎盤と子宮の癒着についても、判決は「検察側の鑑定医は専門的経験が少なく、剥離時の状況や子宮の形状などと照らすと、鑑定には相当に疑問がある」と判断。後壁のみとした弁護側鑑定については「おおむね合理的だが、全面的には認定できない」と評価した。

 剥離と患者死亡の因果関係で、判決は「剥離開始後の出血の大部分は胎盤の剥離部分からのもの。死因は出血性ショックによる失血死」と検察側主張に沿う認定をした。出血量は、麻酔記録などから剥離終了後の午後3時には5000ミリリットルに達していたとした。

 女性患者は04年12月17日、帝王切開手術を受け、癒着胎盤の剥離の過程で大量出血し死亡した。福島県警は06年2月、加藤被告が大量出血を予見できる状況になっても剥離を継続したとして逮捕、福島地検が翌月に起訴した。

河北新報   2008年08月20日水曜日


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