きょう2008年8月30日、福岡市内で日弁連が開催したシンポジウム
「貧困の広がりをくいとめよう!
-非正規雇用・社会保障・生活保護を考える-」
が開催されたので参加してきた。
このシンポは、第51回日弁連人権擁護大会(2008年10月2日・富山)のプレ・シンポジウムという位置づけとのこと。
基調講演は、唐鎌 直義・専修大学経済学部教授による
「非正規雇用と貧困の連鎖を断つために」
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何しろ1時間を超える内容豊富な講演なので、網羅的に紹介することはできないが、そこをなんとか概括すると・・・
☆ 最初に、19世紀末から20世紀初頭にかけてのチャールズ・ブース(Charles Booth;以下 C.B.)によるイギリスにおける貧困の分類の学術的研究を紹介。
① C.B.は、海運業で大成功した大資本家であったが、マルクス主義の「社会民主連盟」が「イギリスにおける貧困労働者層は25%に及ぶ」と主張しているのを聞き、この説を覆すために、イギリスにおける労働者の状態を詳細に分析した。
② しかし、C.B.が導き出した結論は、ロンドンでの貧困労働者層は35%を超えるものであるという愕然とする数字だった。
③ 当時、世界最強・最先端の資本主義国での この結果はC.B.を驚かせ、このまま放置していてはだめだ、と確信し、一連の政策を提言した。
④ その提言は、ちょっと荒っぽいが
グループ【A】最極貧層(浮浪者と半ば犯罪者)は島流しで隔離(比喩)
グループ【B】月収18シリング以下の層は『不当に低い賃金でも働く』高齢者や障害者が多い層であり、社会保障により政策的に隔離。
⑤ そして、この極貧層【A】【B】を労働の場から排除することによって、彼らよりはマシな貧困階層グループ【C】(不規則雇用者)や グループ【D】(低賃金だが安定した雇用者)のレベルアップが図れる
という内容である。
「隔離」とか「排除」とか言うと日本人的には聞こえが悪いが、欧州的発想では、「働けない人は社会保障で生活を保護する」という考え方であり、働けない人を無理矢理働かせようとする日本の「生活保護」とは全く反対の考え方である。
⑥ この研究は、「失業者という概念のの発見」「失業者の社会的地位の承認」という大きな転換を呼び起こし、第二次大戦後の欧州の社会保障の基礎となった考え方である。
(う~~ん、概括とは言え、長いな~ で、中略)
☆ 唐鎌講師の視点は、そういう欧州的発想では、日本のように高齢になってまで仕事をして社会に貢献することは美徳ではなく、高齢や傷病で働けない人や働きたくとも仕事を得られない人は社会保障で面倒を見るのが当然だということである。
日本では、失業者や高齢者が「生活保護」を要求するより、「仕事をよこせ」的な就労思考の要求になっているが、これは弱点になっているのではないか?と指摘。
☆ イギリスでは24.7%が生活保護を受けており、生涯に生活保護を受けたことがある人は二人に一人にも及ぶのではないか、と「当然の権利」としての生活保護の活用を紹介。
「ハリーポッター」の作者が、長期に亘って生活保護を受けながら「ハリーポッター」を書き、大ヒットしたことでイギリス政府は生活保護に支払った費用の何万倍もの税金を得ることができた。出版社も映画会社も俳優もカメラマンも・・・みんなハッピーになった。「蝦で鯛を釣る」のが欧州の考え方だ、と強調された。
☆ 政策を転換すれば、世界全体の国民所得の10分の1を持つ日本にできないはずがないと訴えた。
※ 唐鎌講師は、あちこちで『笑いをとろう』とするフレーズを入れる努力を惜しまなかったが、なかなか笑いがとれず、自ら苦笑するという場面が多かった。
***********************
このシンポには、自民党福岡1区の遠藤衆議院議員と日本共産党の仁比聡平参議院議員が出席して、それぞれ登壇して挨拶。
福岡選出の殆どの自民党国会議員から祝電が届いていた。
自民党は、自らの政策が批判の矢面にたつであろう集会にも祝電を送ると言う抜け目の無さ。
***********************
唐鎌講師の基調講演の後、それぞれの現場から実情報告が行われた。
その後、休憩を挟んでパネルディスカッションが行われ、それぞれの立場から重要な情報や活動が紹介された。
「民主商工会」や「生活と健康を守る会」、「非正規ユニオン」などいわゆる民主勢力と言われる団体からパネリストや報告者が出席していた。
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「貧困の広がりをくいとめよう!
-非正規雇用・社会保障・生活保護を考える-」
が開催されたので参加してきた。
このシンポは、第51回日弁連人権擁護大会(2008年10月2日・富山)のプレ・シンポジウムという位置づけとのこと。
基調講演は、唐鎌 直義・専修大学経済学部教授による
「非正規雇用と貧困の連鎖を断つために」
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何しろ1時間を超える内容豊富な講演なので、網羅的に紹介することはできないが、そこをなんとか概括すると・・・
☆ 最初に、19世紀末から20世紀初頭にかけてのチャールズ・ブース(Charles Booth;以下 C.B.)によるイギリスにおける貧困の分類の学術的研究を紹介。
① C.B.は、海運業で大成功した大資本家であったが、マルクス主義の「社会民主連盟」が「イギリスにおける貧困労働者層は25%に及ぶ」と主張しているのを聞き、この説を覆すために、イギリスにおける労働者の状態を詳細に分析した。
② しかし、C.B.が導き出した結論は、ロンドンでの貧困労働者層は35%を超えるものであるという愕然とする数字だった。
③ 当時、世界最強・最先端の資本主義国での この結果はC.B.を驚かせ、このまま放置していてはだめだ、と確信し、一連の政策を提言した。
④ その提言は、ちょっと荒っぽいが
グループ【A】最極貧層(浮浪者と半ば犯罪者)は島流しで隔離(比喩)
グループ【B】月収18シリング以下の層は『不当に低い賃金でも働く』高齢者や障害者が多い層であり、社会保障により政策的に隔離。
⑤ そして、この極貧層【A】【B】を労働の場から排除することによって、彼らよりはマシな貧困階層グループ【C】(不規則雇用者)や グループ【D】(低賃金だが安定した雇用者)のレベルアップが図れる
という内容である。
「隔離」とか「排除」とか言うと日本人的には聞こえが悪いが、欧州的発想では、「働けない人は社会保障で生活を保護する」という考え方であり、働けない人を無理矢理働かせようとする日本の「生活保護」とは全く反対の考え方である。
⑥ この研究は、「失業者という概念のの発見」「失業者の社会的地位の承認」という大きな転換を呼び起こし、第二次大戦後の欧州の社会保障の基礎となった考え方である。
(う~~ん、概括とは言え、長いな~ で、中略)
☆ 唐鎌講師の視点は、そういう欧州的発想では、日本のように高齢になってまで仕事をして社会に貢献することは美徳ではなく、高齢や傷病で働けない人や働きたくとも仕事を得られない人は社会保障で面倒を見るのが当然だということである。
日本では、失業者や高齢者が「生活保護」を要求するより、「仕事をよこせ」的な就労思考の要求になっているが、これは弱点になっているのではないか?と指摘。
☆ イギリスでは24.7%が生活保護を受けており、生涯に生活保護を受けたことがある人は二人に一人にも及ぶのではないか、と「当然の権利」としての生活保護の活用を紹介。
「ハリーポッター」の作者が、長期に亘って生活保護を受けながら「ハリーポッター」を書き、大ヒットしたことでイギリス政府は生活保護に支払った費用の何万倍もの税金を得ることができた。出版社も映画会社も俳優もカメラマンも・・・みんなハッピーになった。「蝦で鯛を釣る」のが欧州の考え方だ、と強調された。
☆ 政策を転換すれば、世界全体の国民所得の10分の1を持つ日本にできないはずがないと訴えた。
※ 唐鎌講師は、あちこちで『笑いをとろう』とするフレーズを入れる努力を惜しまなかったが、なかなか笑いがとれず、自ら苦笑するという場面が多かった。
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このシンポには、自民党福岡1区の遠藤衆議院議員と日本共産党の仁比聡平参議院議員が出席して、それぞれ登壇して挨拶。
福岡選出の殆どの自民党国会議員から祝電が届いていた。
自民党は、自らの政策が批判の矢面にたつであろう集会にも祝電を送ると言う抜け目の無さ。
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唐鎌講師の基調講演の後、それぞれの現場から実情報告が行われた。
その後、休憩を挟んでパネルディスカッションが行われ、それぞれの立場から重要な情報や活動が紹介された。
「民主商工会」や「生活と健康を守る会」、「非正規ユニオン」などいわゆる民主勢力と言われる団体からパネリストや報告者が出席していた。
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