マリリン・モンロー、変化朝顔、そして、悲しみの幕が上がる!
マリリン・モンローをご存知だろうか? 地下鉄の換気塔の上でスカートの裾がめくれ上がったあのセクシーなシーン。ご記憶の方も多いのではなかろうか。
1962年8月、その死は突然もたらされた。謎の多い死。映画女優としての不遇説、ケネディー家との確執、自殺とされながらも、謀殺説も含め、さまざまな憶測が乱れ飛んだ´事件´である。
現代では、´ペット・ロス´などという言葉がある。東野 圭吾氏の『夢幻花(むげんばな)』は、そのマリリン・モンローの死に自暴自棄となった男の無差別殺人のシーンから始まる。差し詰め´マリリン・ロス´によるところの´MM(マリリン・モンロー)事件´がもたらした人々の奇禍を縦糸に、´夢幻花´と呼ばれる朝顔が横糸となって物語が展開されることになる。
そう、朝顔がこのミステリーの重要な因子となっているのだ。しかし、その朝顔は、ただの朝顔ではない。突然変異系統の「変化(へんげ)朝顔」である。
朝顔は奈良時代、遣唐使によって中国からもたらされたという。その種子は、ご多分に漏れず、下剤や利尿剤などの効能を持つ漢方生薬として重宝された。その毒性はかなり強いという。
この当時の朝顔は、現在とほぼ変わらず、漏斗型の花姿で、青や赤紫がもっぱらであったようだ。
変化朝顔にまつわる悲しみの人間模様
下町の夏の風物詩――入谷の朝顔市。七夕の頃ともなると、露店に並ぶ「あんどん仕立て」の朝顔の鉢がTVのニュースでも流される。
なぜ、七夕の頃かって? どうも、朝顔の別名、牽牛子(けにごし)、牽牛花(けんぎゅうか)にちなんでとか。
この朝顔市、江戸時代、町人文化が絢爛と花開いた文化・文政期(1804年-1829年)に始まる。そして、時を同じくして、変化朝顔の第一次ブームを迎えるのだ。さらに、江戸後期、世情穏やかならざる気配が漂い始める嘉永・安政期(1848年-1860年)には、第二次のブームを迎える。
いずれも、自然交雑による突然変異の株が頼りの作出法。お世辞にもバイオテクノロジーなどと言えるものではないが、経験則だけで作出された変化朝顔のいくつかの系統を維持していたであろう栽培家の努力には頭の下がる思いである。
実は、この時期の栽培法はつまびらかにされてはいない。作出方法は秘密だよ、門外不出! ってわけである。
さらに、明治中期ごろ、第三次ブームが起こり、この折には人工交配の活用がなされたという。意図した交配が行われたということらしい
では、何が変化なのか? まず花の形である。八重、ぼたん、柳ぼたん、獅子咲きぼたん、車咲きぼたんなどの分類があるという。
そして、葉っぱ。通常の三裂した葉は、「なみ」という。ところが、変化朝顔の葉には、まさに糸のように細長い「糸柳」、不規則に縮れた「ちりめん南天」など、およそ朝顔らしくない数多の形があるようだ。
さて、『夢幻花』の話である。そこでは、あろうはずのない花色、黄色の変化朝顔の姿がミステリアスに語られている。
MM事件から半世紀の時を経て、根深く横たわる負の遺産は、当時の事件関係者の係累にも新たな悲しみの影を落としていく。
前項でも述べたが、朝顔には薬効とともに、毒性も強い。そして、黄色の変化朝顔の種子には・・・。
朝顔の面影は? |
花びらの先の裂けも特徴の一つ |
色もいろいろあるのだろうか? |
言われないとわからないよね!? | 奇を衒う花姿ってどう? | さすがに、黄色は展示されていなかった! |
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では、最後に夢幻花をご覧に入れましょうか
久しぶりに手に取った東野圭吾氏の長編ミステリー『夢幻花』。自宅ではなかなか開くこともできず、病院の待ち時間などを利用して少しずつ読み進めてきた。あまりに間が空いてしまい、さかのぼって読み返したことも。あっ、ネタバレは本意ではないので、ご興味のある方は手に取って頂ければと。
読み進めるうちに、変化朝顔の写真を撮ったことを思い出す。昨年、9月末、さいたま市園芸植物園でのこと。
そして、その折、九州大学 大学院理学研究院 生物科学部門 染色体機能学研究室の仁田坂英二先生のHPを見つけ、拾い読みをさせて頂いた。ご興味のある方は、別ウィンドウでHPが開くようにリンクをつけておいたので、ご覧いただきたい。
普段、何気なく見て、写真に収めていた花々。そんな花にも悠久の歴史があることを思い知らされた。人より先に生を受け、人とともに生き、人の都合で交配され、人なき後も咲き続けるであろう花々のこと。ただ、「キレイ」をポチってるだけじゃいかんのかな? いや、ここは素直に生きよう。いいよね、ポチるだけでも。そんなことなどが、頭の隅っこをかすめただけでも、よしとしようと思う。
どうです? 絞りのマルバアサガオ。なかなか風情がありますね。暑さの厳しい今年の夏。こんな浴衣でしゃなりと歩くご婦人と、夏祭りの宵をご一緒したいものです。
えっ、これのどこが夢幻花だって? あれっ、間違っちゃいましたか? いや、お手数ですが、画像をクリックしてみてくださいませ。黄色の夢幻花が別ウィンドウで開くと思いますから・・・。
なんと今日光にいます。
徒然なるバスの中で何気なく開いたKiteさんのFB、あ、新しいブログ記事だ!
早速開けて読ませていただきました。
アサガオは江戸時代に朝顔市などすごく流行したということは知っていましたが、こんなに色々な歴史があったとは!
夢幻花という本も昔読んだはずなのに全く記憶になく、もう一度読み直そうと決心したのでした。
細いアサガオは、もはやアサガオではないと思うのは私だけ(笑)
これだけの大作、また期待すると行ったら叱られるかしら。
読書が趣味のなつみかんでした〜(^o^)
しかしここまで変化してると朝顔には見えないですね。
ビックリです!
ダメですね、これだけ書くだけで二日ほども要してしまいます。歳にはかないませんわ(笑)
でも、ちょっと調べただけでも、奥深いなぁ~と思うことしきり。うん、面白かったです(^^♪
こっちは、こんなスタイルで行こうかな(^^)
栃木県の日光? ほかに、どこにあるんよ~との突っ込みをよそに、長の旅路、大変でしたでしょ。
いい写真、撮れましたか?
今日、お帰りですか?
って、まさか亜樹さん一緒なんてことは、ないわな~(笑)
見てみても、言ってもらわなきゃわからんですよね。
いまでは、作ろうと思えばバイオテクノロジーとか遺伝子操作でさほど苦労することなくできる、のかしら?
花だけじゃなく、江戸の方々の創意工夫、学ぶべき点一杯ですね。
日頃の行いが微妙だったのか、朝は大雨、昼から少し止んだので、何とか奥日光に行ってきました。整理できたら花図鑑に投稿しますね〜(^o^)
亜樹さんとご一緒できたら楽しいでしょうね♪
同じような感性を持つ方はなかなか見つかりません。なので、いつも一人か、星夫と2人です(^^;;
二日ほども費やして書いたコメントだけあって、一気に引きずり込まれてしまったぜ! (^^;) マイッタゼ!
流れ星では困りますが、いつも定点で観測でき、ともに手を携えることができる距離感であれば、そんな幸せなことはありません。
かつて、流れ星であった奴が言うんだから間違いありませんよ(笑)
それはやはり、近頃とんと減衰の一途をたどる理解力のせいでしょうか(笑)
いや、まだ、何を忘れたかは、ひょんな折りに思い出しますので、当分の間は大丈夫だとは思っているのですが・・・。
あっ、黄色い朝顔見てしまったのですね(ノll゚Д゚llヽ) 毒気に充てられませんでしたか? ご自愛くださいませ(*- -)(*_ _)ペコリ
久しぶりにkite.comさんの長編ブログ読ませていただきました。
朝顔についてだけ、これだけの「うんちくを傾ける」ことのできるkite.comさんは凄いですね。読ませていただいて、いちばんハッとしたのは「花々のこと。ただ、キレイをポチってるだけじゃいかんのかな」なんですよ。
とても重いテーマを突き付けられたようで、今夜は眠れそうにありません。(笑)