鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

東京はニューヨーク並みになるか?

2020-04-14 09:52:51 | 災害
このところワイドショーで、新型コロナ感染に関し、東京とニューヨークとを比較して取り上げるのを見るようになった。

曰く「両都市は人口規模も領域の広さもよく似ているが、東京がニューヨーク市のように新型コロナウイルス感染者が10万人規模になり死者数も8000人というような事態になるのか?」というのである。

感染者の概数では東京が4月12日時点で2100名、ニューヨークでは約11万、死者数で言うと東京が70名、ニューヨークは8800名となっているので、感染者数では1対50、死者数では1対125となっている。

東京もこのニューヨークのようにパンデミックによって感染者激増・医療崩壊・葬儀崩壊の3つの崩壊を招くようになるのかーーが焦点だという内容である。

東京とニューヨークの違いで忘れてはならないのが、最初期の感染である。東京の場合2月10日ごろが最初であるのに対して、ニューヨークでは半月もあとの2月末か3月の頭であったことだ。

そして今朝のワイドショーの調べでは、ちょうど1ヶ月前の3月12日にニューヨークでいきなり88名の感染者が出たということで、すぐに軽い非常事態宣言で「学校の一斉休校」などの措置が取られたという。

ところがまさにこの時点を起点にしてニューヨークでは指数関数的に感染者が増え続け、ちょうど1ヶ月後の姿がこのありさまである。

日本が2月28日に安倍首相が緊急事態宣言を出し、小池東京都知事が「ロックダウン」(都市封鎖)を口の端に載せたころ、ニューヨークの市民の大方は「日本は大袈裟だなあ・・・」くらいに対岸視していたはずだ。

東京もニューヨークもどちらも中国人旅行者やビジネスマンが多かったはずで、東京の方が2週間も早く感染者が現れたにもかかわらず、ニューヨークのようにパンデミックを起こさなかった理由は何か。

確かに緊急事態宣言による消毒の徹底や休校措置及び「3密」対策が効果を発揮したことは間違いないが、両都市(両国)を比べた場合、最も大きな違いは医療へのかかりやすさだろう。

医療技術や看護制度は両都市ともきわめて高度な水準にあるが、問題はかかりやすさである。換言すれば国民皆保険制度があるか無いかの違いである。

熱が出た、頭が痛い、おなかをこわした、膝が痛い――等々となれば、日本では気楽に医者にかかれるが、皆保険制度の無いアメリカではちょっとやそっとのことでは医者にかからないという。

だからウイルスに感染していても重症化するまで放っておいて病院に救急搬送される頃には手遅れというケースになり、結果としてその患者が家庭や病院でウイルスをまき散らすことになる。これがニューヨークにおける新コロナパンデミックの一番大きな理由だろう。

その一方でメディアでご丁寧に「咳が出て、7.5度の熱が4日続いたら感染の疑いがあるから、自宅で待機養生してください」などとのべつ幕なしに報道している日本のような国はそう多くないだろう。

医療に関しては本来不要不急ではないのだが、多くの日本人は気楽につまり不要不急なレベルなのに医者にかかりすぎているのをストップさせ、結果として「医療崩壊」を防いだのだ。

東京都もだが国全体で「濃厚接触者」の追跡に全力を挙げているのが日本のやり方だが、それも大きな違いかもしれない。自由の国アメリカは「高額な医療保険に入るのも入らないのも自由」だし、「個人の自由を束縛するのは最大の愚策」であるから、それが裏目に出たのだ。

今度の新型コロナパンデミック災害は、医療に関して言えば、あの「オバマケア」を葬り去ったトランプ大統領に匕首を突きつけたことになろう。

毎年のように流行するインフルエンザもアメリカでは日本とはけた違いに多い数千万もの人々が罹患し、死者も10万単位で出ているが、これも国民皆保険制度があれば死者は10分の1で済み、他国へウイルスをまき散らすこともないだろう。(※1918年頃大流行したスペイン風邪もインフルエンザウイルスで世界で数千万人が死んだというが、もとはと言えばアメリカの従軍兵士がヨーロッパにもたらしたそうである。因果応報?)

何でも自由にやりたい、夢をかなえたい、というのは人間のあこがれだが、本人の自由が他人の不自由になったり(アメリカ)、かなえたい夢が他人の犠牲の上に成り立つ(北朝鮮)ようでは困る。

横並び一線(平等)が意外に身についていたり居心地がよかったりする日本人だからこそ、今度の感染パンデミックを防いでいるのではないだろうか。

外出を控えて家に籠っているのは不自由だが、音楽を聴いたり、スケッチをしたり、そういった趣味的・家庭的な手仕事は日本ではいくらでもあるので、もうしばらく家での「文化」を楽しもう。

やっと昨日、7月のオリンピック見物用に購入しておいた航空券のキャンセルができた。相当待たされたが、旅行会社や航空会社も大変だろうが困った時は「お互いさま」精神で乗り切るべし。

がんばれ東京、がんばれ日本! (※ニューヨークも、米国も! 10月の大統領選では国民皆保険制度を確立してくれそうな候補を選んでくれ!)


緊急事態宣言を「発出」

2020-04-08 20:59:45 | 災害
4月7日、安倍首相は緊急事態宣言を「発出」した。

「発出」とは聞きなれない言葉だが、「発表」でも「表明」でもない。法律「新型インフルエンザ等特別措置法」に基づくのであれば「発令」がふさわしいのではないかと思った。

発令では強権的すぎると判断したのだろうか? それなら「緊急事態を宣言します」で良かったのではないか・・・。

揚げ足取りの類になってしまったが、とにかく「発出」には驚かされたのである。

まあ、いずれにしても国民への強制を伴わない「命令」には違いない。

全国一律ではなく、東京都を始めとする首都圏の3県と大阪府・兵庫県それから九州の福岡県の七都府県に対してであり、かなりの感染者を出している愛知が除外されたのが意外だった。

解説によれば、これらの都府県はここ3日ほどで感染者の数を倍増させているので対象地域になったということである。

この7つの都府県では今後5月6日までの1ヶ月の間、3密(密閉・密集・密談)せず、不要不急の外出はせず、仕事もできる限り在宅ワークにシフトすることが要請された。

また特に目新しいものとして「土地の強制収用」に近い考え方が導入された。武漢で中国政府が見せたように、感染者対応のプレハブ病棟(隔離棟)の建設が可能となった。

東京の現在の感染者数はここ1週間で倍増して1300名余になったが、この傾向が続くとすれば早晩病棟が不足することは目に見えている。最悪のケースで1週間ごとに倍々に増えたとすると、あと3週間で1万人に達するわけだから、確かに大変だ。

翻って鹿児島の方では感染なしの状態が1ヶ月続いたあと、英国帰りの女性が一人と京都と大阪だったかの専門学校卒業生が帰省してから感染が確認された事例の合計3名しかいない。

今のところこの3名からの二次感染はなく、至って平穏無事に過ぎている。南九州では最大の人口60万人の鹿児島市での感染がないのは不思議という他ない。例のクルーズ船ダイアモンドプリンセス号が停泊し、数台のバスで名所旧跡などを回っているのにである。

こちらでこの話題が出ると決まって「焼酎が消毒しているから」というオチになるのだが、それもゼロとは言えないが、おそらくこの冬の異常な「暖冬」が幸いしたのではないかと思う。

当地方のこの冬の暖冬現象は桜島や高隈山系の冠雪が一度しかなかったことに象徴される。その一度も2月も半ば過ぎで、平地でわずかに車のフロントガラスがうっすら積もった日に、雪化粧とまではいかない姿が見られただけであった。

暖かければ外に出る機会も多く、窓を開放することも多い。クルーズ船関連の感染者が非常に早い段階で出ていながらその後の二次感染がなかった沖縄も似た理由が挙げられよう。(※この記事を書き終わり居間に戻ったところ、テレビのテロップで何と鹿児島で4例目の感染者が出たとあった! 鹿児島市在住の10代の少年で、福岡の親族のもとに滞在していて親族の中で感染者が出たので、今日帰省したあと保健所に電話したらしい。検査の結果は陽性だった。2次感染者が出なければよいが・・・。)


気分は「自粛ムード」だが、今日は桜の満開に近い姿が散見される鹿屋市田崎町のグラウンドゴルフ場に遊びかたがた行ってみた。
田崎グラウンドゴルフ場は南九州では屈指の広さを持つ。最大200チーム(1000人)が同時にゲームができるという。広いグラウンドゴルフ場に人気がほとんどなかったが、7,8人連れのグループが午後のひと時を楽しんでいた。

※追記…鹿児島で8日に4例目の新コロナ感染者が出たと上の記事の中で(※割注)に書いたが、同じ8日夜に鹿児島市にあるラ・サール学園が、転入してきた寮生の陽性が判明したためしばらく休園措置をとることにしたとの園長(学校長)談話を発表していた。
 この学生こそが4例目の感染者であり、この少年が新入生か在校生かは不明なのだが、鹿児島の少年ではなく福岡出身者で、春休みで帰省中に福岡の親族(家族や親せき)の感染者のウイルスをうつされたようだ。今のところ無症状だという。

マサカのマスク

2020-04-03 20:23:15 | 災害
一昨日の4月1日に安倍首相が「全世帯に布製マスクを2枚配布(郵送)する」と会見で述べたが、耳を疑ったのは私だけではあるまい。

折しも、まさにエイプリルフールのその日。冗談にも程がと思ったが、NHKの全国ニュースで流されたのだから、もう疑う余地はなかった。

たしかに全国的にマスクが不足していることは間違いなく、布製であれば洗えば何回も使えるので行き渡ればマスク不足解消に大いに役立つ。

しかし――とすぐに思った。ひとり当たりではなく、一世帯に2枚なのだ。我が家のように二人暮らしならそれでもいいが、3人以上の家族では足らないではないか。

我が家では家内がどこかで布を調達してきて、インターネット検索で作り方を習い、もう10枚を超える数ができている。調達してきた布が色とりどりなので付けたら恥ずかしいような柄物もあるが、そうは言っていられない。

一方で世帯に給付金を支給する案が現実味を帯びてきた。これは全世帯ではなく新型コロナ感染によって売り上げや収入の落ち込んだ個人企業や世帯に「自己申告制」で給付額が決められるようだ。

すると公務員世帯など減収のない世帯や年金暮らしの世帯には給付されないことになる。当然と言えば当然である。

経済活動の自粛(休業)のあおりを喰った非正規被雇用者などはおそらく蓄えも底をつくだろうから、そういう世帯は早急に給付してもらいたい。

今度の新型コロナ災害に対しての保険など誰も掛けていない以上、保証するのは政府でしかない。日銀券をバンバン印刷して数十兆円規模の「万札」が民間に流れても、不足しているところに充てられるのでハイパーインフレは起こらないから安心だ。

今日も東京では89名の感染者、その他大都市圏を中心に合計300名以上が感染したと発表されたが、じわじわと増え続けている状況は変わらない。

全世界では感染者がついに100万人を超え、死者は5万人を超えた。

同じ世界と言っても、南半球の国々では感染者はいるのだが北半球に比べ著しく少ないのはなぜか――と首を傾げられているようだが、これは向こうは夏(の終わり)でまだ暑く、室内に閉じこもることが極めて少ないことに起因しているのだろう。

感染に至る三密(密集・密室・密談)が避けられているわけである。北半球もこれから夏に向かって窓を開けるのが普通になり、暑苦しいから密集をしなくなれば感染の頻度はぐんと落ちて行き、終息に向かうのではないだろうか。そう願っている。

新年度が始まったが・・・

2020-04-01 14:13:40 | 災害
4月1日はエイプリルフールで、この日の話題に必ず挙げられるのだが、今年はそうはいかない。新型コロナウイルス感染がついに全世界を巻き込んでしまったからだ。冗談を言っている場合ではない。

最新の発表によると、全世界での感染者は約80万人で、死者は4万人を超えたという(死亡率5パーセント)。主な被感染国はアメリカの18万が最大で、イタリア10万、スペイン9万、中国8万2000、フランス8万など。

感染発現地の武漢市では1月23日以降完全封じ込めが続いていたが、3月28日にほぼ終息したという。一週間後の4月8日には封鎖が解除されるらしい。

死者数は中国全土で3300人ほどだそうで、これによると死亡率は4パーセント。全世界の平均は5パーセントであり、これに比べて低いのは共産党独裁政権による武漢完全封鎖と感染者用のプレハブ病棟を町のど真ん中に建設するという二つの超強権発動が功を奏したという他ない。

これは独裁政権の強みで、自由社会の欧米では基本的に市民への「自粛要請」というレベルの緩い強制でしかなく、イタリア・スペインが共に死亡率10パーセント以上になったのはそうした緩い規制の中で個人銘々がてんでに医療を受けたため、結果として「医療崩壊」となったのだろう。

アメリカもその例に漏れない。現在アメリカの感染者数は18万と断トツで、それもつい最近急激に感染者数を増やして来た。

わずか1週間前、アメリカはまだ5万人くらいで、中国はおろかイタリア・スペインよりも少なかったのだが、ここへきて感染者は急速に伸びている。ニューヨークだけでも14万というから都市としての規模がそう変わらない東京の25倍である。

もうすでにアメリカではオーバーシュート(爆発的感染)が起きているのだ。今朝のワイドショーでアメリカの感染症対策の第一人者で歴代大統領に意見を述べてきたという人物が会見で、「10万から20万の死者が出る可能性が高い」旨述べたことを紹介していた。

アメリカでは毎年のようにインフルエンザによる死亡者が10万単位ででおり、多い年には40万も出たという(2016~7年)から、この数字にそう驚かないのかもしれない。

2016年から7年に掛けてののインフルエンザ禍は、ちょうどオバマケアを葬り去ったトランプ大統領の就任した年でもあり、何か因縁めいている。

日本型の国民健康保険の無いアメリカでは普通の風邪の症状や腹痛などでは絶対に医者には行かないらしい。結構な医療費が掛かるからで、そのためインフルエンザと分かった時点では手遅れとなり、結果として重症化し死に至る人が多いのだろう。

要するに病気になるのは「自己責任」であり、治療を受けたかったら個人で高額の「医療保険」に入る必要がある。それが「自己責任を果たす」ということなのである。

「地獄の沙汰も金次第」ではなく「病気の沙汰も金次第」という国柄で、それゆえ金のない輩には冷たい社会になっている。「病気になったらお互い様」が行き渡っている日本は弱者に優しい。

今度のウイルスへのワクチンはまだまだ用意されておらず、治療法がない以上、人から人への蔓延を防ぐ手立ては「濃厚接触」を避ける(密集を避け、密談を避け、密室を避ける)他ない。

東京では、この5日間くらいでそれまで1ヶ月かかって達した感染者数に匹敵するほどの伸びで、小池都知事も大いに気を揉んでおり、政府に「非常事態宣言」発令の前倒しを頼みに行ったようである。どうなることか。

東京都では、非常事態宣言発令にかかわらず新学期も小中高校の休校を余儀なくされる可能性が高い。

となると鹿児島など感染者数1名などという地域でも右へ倣えになるのか、予断は許さない。

鹿児島では今朝やっと桜の開花宣言が出された。例年より6日遅いという。明日あさっては「桜日和」となりそうだが、心の浮かない4月初めとなった。