鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

115回目の吾平町敬老会

2024-11-04 09:34:43 | おおすみの風景
毎年11月の第1日曜日、鹿屋市吾平町では合併前の旧町時代から文化祭が行われていて本年で46回目、今年も「美(うまし)里うたごえ同好会」の一員として参加した。

去年からは、毎年10月の最終日曜日に開催されていた敬老会がこの文化祭と合同で行われるようになった。

吾平町単独での敬老会は今年で何と115回を数えるそうだ。単純に引き算すると最初の開催は1909年、明治32年ということになる。途中、戦時中で開催不可能の年もあったろうから、もう少し前から行われていたに違いない。

とにかく古い。明治の30年というと吾平町がまだ姶良村だった時代だ。

もしかしたら敬老会はまだ現在の吾平町域全体で催されていたのではなかったかもしれない。今の大字で言うと麓、上名、下名・・・という小村単位だったのではないか。

その小村単位が合併して「姶良村」になり、「敬老こそが村是」という指導者の下、各大字単位で行われていた敬老会が合同で催されることになった。それも明治の「大合併」の余波だったのだろう。

敬老の理念がこれほど長く自治体で続いた例は寡聞にして知らないが、戦後になって、たしか兵庫県の某町で長く続く「老人の日」が毎年9月15日に行われていたのを参考に政府が採用して「敬老の日」が制定されたと聞くが、その某町の敬老会はいつから始まっていたのだろうか。

おそらく明治からではあるまい。吾平町(姶良村)こそが先駆者だったと思われる。

その穿鑿は置くとして、吾平町がなぜ姶良町ではないのか。吾平町を流れる母なる川は「姶良川」であり、明治20年代はまだ姶良郷であり、確実に江戸時代から続いている地名である。

(※もっと古いことを言えば、「あいら」を「姶﨟郷(姶羅郡)」と書いているのが『倭名類聚抄』の郡郷一覧中の大隅国の地名に登場する。この類聚抄が著されたのは平安時代前半で、約1100年前のこと。)

それを「吾平町」に改めたのは戦後の昭和22年のことだった。

というのも現在の姶良市の前身が「姶良郡姶良町」だったからである。向こうにも「姶良」こっちも「姶良」では紛らわしいとのことで、こちらには同じ「あいら」でも日本書紀に「吾平津媛」という女性の故事があり、「吾平」を名乗ることにしたのである。

37年前の昭和62年(1987年)に廃線になった国鉄大隅線の駅に「姶良駅」があったのだが、この駅名も同じ理由で「吾平駅」に変更されている。

幾多の郷村、市町村の合併等の変遷を経ても、吾平町の旧村時代に開始された敬老会が115年以上も続いているというのは奇跡に近い。

大ホールでは午前9時から10時までが「敬老会式典」で、そのあと吾平の小中学校生徒の合唱や吹奏楽演奏があり、引き続いて各サークルによる文化祭の舞台発表が行われた(会場を半分に仕切った片方は作品展示)。

発表するサークルではとにかく舞踊が多い。その参加者はほとんどが女性である。長生きする理由の一つがここにある。



何が「悲願の」だ!

2024-11-01 19:51:28 | 日記
昨日はテレビの中継でアメリカの「ワールドシリーズ」を観ていたが、ニューヨークヤンキーズとロスアンジェルスドジャーズの対戦は日本選手二人が在籍しているドジャーズの勝利となった。

ドジャーズに在籍しているのは大谷翔平選手と山本由伸選手の二人だ。

大谷翔平はドジャーズに移籍する前は5年間エンジェルズに在籍していたが、そこでは投手兼野手としていわゆる「2刀流」を貫いていて、投手としても打者としても大きな足跡を残している。

しかし今年になってドジャーズからのオファーがあり、10年で一千億とかの桁外れの契約金で移籍が決まった。

その後の活躍は「本塁打50本、盗塁50」という大リーグ史上初の記録を残し、ドジャーズへの高額の移籍がフロックではないことを内外に示した。

在籍1年目でドジャーズの「ワールドシリーズ制覇」に遭遇したのだが、この「快挙」を新聞でもテレビでも「悲願の世界一になった」と言うのだが、ちょっと待て「悲願の」の使い方が違うだろう。

「悲願の」という言葉は、それまで到達したいと思っていても何度も何度もはじき返されてなかなか思うようにいかなかったのだが、辛抱の末にようやく達成できた――というような場合にだけ使われるのだ。

例えば例示するにはちょっと気が引けるが、例の北朝鮮による拉致事件の被害者の家族が、時の政府に何度も何度も解決を訴え、30年ののちにようやく解決を見て被害者が愛する家族のもとへ帰って来たような場合に使う言葉だ。

ところがドジャーズの優勝は大谷選手が移籍して一年目に達成しており、これでは「悲願の」は大げさすぎるというよりか使えない言葉だ。

大谷が大リーグに行った頭初からドジャーズに所属し、7年目にようやく念願のアメリカ一位になったというのであれば、「悲願の」は使えなくはないが・・・。

同じドジャーズに、今年日本から移籍したのが山本由伸投手だ。

この人の場合は「ラッキーボーイ」という言葉がお似合いだ。

投手としてはそれなりの一年だったが、打者としての大谷ほどの話題性はなかった。

ところが今回、初めて在籍したドジャーズの優勝に遭遇したのだ。何というめぐり合わせだろう。

大リーグでの戦績はともかく、ワールドシリーズの第2戦ではヤンキースを相手に7回を失点1で抑えたことで大いに株が上がったようだ。

ドジャーズとの12年契約3億ドル(約450億円)は伊達ではなかったことになる。

大谷は12年契約で1000億円を超えているから、二人合わせて1500億円(一年の単位では125億円)が支払われるのだが、アメリカの「金(かね)本位制」は我々の理解の範疇を超えている。

(※いまアメリカでは大統領選挙前の活動の真っ盛りだが、アメリカの最高年俸者である自動車会社テスラの経営者イーロンマスクは共和党候補のトランプを支持しており、支持者に100万ドルを提供するとか何とか言っているようだが、これこそは我々の理解を超えており、日本では公職選挙法違反でしょっ引かれる案件だろう。)