鴨着く島

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「またトラ」が現実のものに(2025.01.22)

2025-01-22 09:19:20 | 日記
あのドナルド・トランプがアメリカの47代大統領に就任した。

就任式は通常、連邦議事堂の外の会場で行われるのだが、今回は議事堂内部の大広間で行われた(丸い屋根の真下に当たるらしい)。

寒さのために屋外を避けて屋内にしたと言われているが、8年前の新任の時も同じ時期であれば寒さは同じ様に厳しかったはずだが、そうしなかったのは「警備上の都合だろう」と言う向きがあり、「暗殺を恐れたから」という物騒な解釈もある。

まあそれはそれとして、就任式のハイライトである「宣誓式」で、トランプは先例を破ったようだ。(もしかしたら無視したのかもしれないが、)宣誓の際に掲げた右手の反対の左手は聖書の上に置くのが通例なのだが、トランプはそうしなかった。

その聖書を両手で抱え持っていたのはメラニア夫人だったのだから、うっかり忘れるなんてことは有り得ない。故意に手を載せなかったに違いない。

しかし彼は無神論者ではないようで、大統領選で演説している時に銃で撃たれたが、銃声の方を振り向いた瞬間に右耳を銃弾がかすめただけで済んだことを引き合いに出して「自分が死ななかったのは神の思し召しだ」と就任演説で触れていたことからも明らかだろう。

彼の神がどんな神なのか明確ではないが、少なくとも「八百万の神」でないことは確かだ。

この議事堂内で行われた就任式では正式に招かれたのは世界の要人(主として各国の駐米大使)のようだが、その他に一般人にも開放されていたという。

ところが招待客ではない一般人は金を払うようになっていて、その額は日本円で550万円以上だったと聞く。

国の最高・最大の式典なのだから公費で行われるはずである。それが、参列するだけで550万円以上というのは一体どういうことか。

参列者の中には実業家のイーロン・マスクも当然入っているが、彼ら超富裕層は就任祝いに100万ドル(1億5千万円)とかを寄付したらしく、それから見れば取るに足らない金額だが、とにかく何をするにしても金まみれの国柄だということが明示された。

今度生まれる新しい政府閣僚の中にイーロン・マスクが「省力効率化省」とかいう聞きなれない新設省の大臣に確定しているらしいが、この就任式も公費、つまり政府の予算(税金)を使わずに、民間(個人)の資金で賄おうという彼の「初仕事」なのかもしれない。

そもそもイーロン・マスクがトランプに嫌われていたにもかかわらず、接近してうまく取り入ったのも個人の資金(寄付金)で、その額は数億ドルと言われている。

トランプは政策として民主党政権が推し進めた「電気自動車推進」には反対であった。例の「ラストベルト地帯」で世界をリードして来た自動車産業が日本を含む性能の良い小型自動車に押されて斜陽化して来たのが歯がゆくてしようがないのだ。

さらに電気自動車製造といえば今や中国が世界の中心になり、アメリカ自動車産業は青息吐息の状態で、電動式モーターに欠かせないリチウムというレアメタル生産も中国の独壇場になっている。

そんな中国に生産拠点を設けて安価な電気自動車で一儲けしたのがイーロン・マスクなのだ。トランプは最初目の敵にしていたはずだが、さすがに数億ドルの献金という金額に目がくらみ、今や昵懇の間柄になっている。

何ともえげつない話だ。日本でこんなことが起きたら、間違いなく「ワイロだ。受託収賄だ。政治を金で買った(売った)」とメディアでは連日大騒動になる。

「個人の自由な意思で寄付される金は金、政策は政策」と二重基準が平気でまかり通るのがアメリカなのだろう。

専制(強制)的でない限り、「自由な意思」であれば何をやってもOK。ただ、たとえ自由な意思と言えども拳銃をぶっ放したら、対価として撃ち殺されても文句は言えない警察国家アメリカ。

トランプの唱える「アメリカファースト」という言葉は台頭する中国へのリベンジの色合いに染まっている。

カナダをアメリカの一州にすると言い、グリーンランドをデンマークから買い取ると言い、パナマ運河の管轄権をパナマから取り戻すと言い、「パリ協定などクソくらえで、国内に埋蔵されている石油を掘って掘って掘りまくれ」と言っているが、どれも中国の進出を見越しての恫喝だろう。

もうすでに中国の進出を許してしまった事業がある。それはスマホのアプリ「ティック・トック」で、アメリカでは若者を中心に1億7千万人が利用しているという。何と人口の半分である。

このような情報産業からアメリカの個人情報や何かを向こうに筒抜けになっている、というのがトランプのティック・トック禁止策だったが、ティック・トックを通じて若者の支持者が増えたというから、何とも痛し痒しだ。

結果、撤退の期間を猶予したり、さらにはアメリカの資本を半分以上確保すれば新規の事業を認めるという風に変わって来ている。これなんかは昔中国で日本企業などが合弁事業化した際の中国の言い分そのものではないか。

とにかくどう出るか、どう転ぶか分からないトランプ新政権始まった。

日本への直接の言及はなかったが、当面は対中国への牽制活動に駆り出されるだろう。

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