ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝麦こがし〟って何?

2020年05月23日 | 俳句

 今日もいいお天気でした。3、4日ほど雨が降っていませんので、毎日が気持ちのいい季候といっていいのかしら、暑くもなく寒くもなくて…。これがいつまで続くのでしょう。

 このところ午後からはリハビリに行きますが、さて午前中は何をしたんでしょう。全く記憶にございません…ですね。日々同じことの繰り返しで何ということもなく過ぎていく、こんなのが日常なんですよね。だからblogにも何も書くことがありません。もし私、俳句をしてなかったら毎日こういう感じだったんでしょう。

 考えてみれば、俳句のお陰で随分いろいろな人やものと出会いました。いうならば、今はそれが大きな財産になっているような気がします。

 実は先日の通信句会で〝麦こがし〟という季語が出たのですが、娘はどんなものか知らないし、食べたこともないから採りようがないと、言っていました。

 その通りでしょう。私が子供の頃に食べていたもので、娘が子供の頃は売ってもいなかったし、だから食べさせることもなかったんです。捜せばあったのかも知れませんが、そんな暇もなくて…。

 この前の〝茅花(つばな)〟や〝酸模(すかんぽ)〟も知らないと言いますので、吟行へ行ったときに一緒に食べながら教えました。俳句をされる方々とは、木苺や草苺、冬苺など…通草も、何でも見つけたらみんなで味わって一句詠んでいますもの。秋の山へ行ったときは、どれが椎の実かと捜して食べてみたり…。本当に楽しいものです。

 自然はこんなにも豊かで、その恵みを惜しみなく私たちに与えてくれています。食べるもよし、見るもよし、聞いてもよしと、そういう自然の恵みの中で私たちは生きていることの素晴らしさ、愉しさを享受しているのです。有り難いことです。

 ところで、〝麦こがし〟のことですが、私も俳句を始めてから知りました。何だろうと思って調べてみると…なあんだ、はったいこのことなの!と。子供の頃によく食べていました。噎せて口からプハッと吹きだし汚してしまってはよく叱られたもので…。でもあの香ばしさと甘さ…アッ、これは砂糖が入っているからなんですが、あの頃はたまにしか食べさせてもらえなかったのですから、忘れられないのです。

 〝麦こがし〟は、大麦を炒ってこがし臼で碾いて粉にしたもので、夏の季語なんです。関西では「はったい」と呼んでいたらしいので、それに粉をつけて私たちは言っていたのでしょう。

 「はったいこ」の語源となったのは「叩く(はたく)」という語。これが穀物を搗き砕いて粉にすることを表す語ですので、それに「粉(こ)」をつけて「はたきの粉」ということからだとか。それを関東以北では 「麦こがし」や「炒り粉」「香煎」とか呼んでいたそうです。

 あの石田波郷のお母さんも石臼を引いて、はったい粉を作っておられたのでしょうね。それを思い出して詠んだ句…

  亡き母の石臼の音麦こがし          石田波郷

 しかし、たとえこの〝麦こがし〟の意味が分かったとしても、娘にはこういう想い出がないのですからある意味可哀想ですよね。他にも同じようなことがたくさんありますし、そう考えれば、昔の物の乏しかった時代の方が却って今の飽食の時代よりも心は豊かだったような気がしてくるのですが…ああ、これも年寄りの戯言でしょうか。でも、〝麦こがし〟食べたあ~い!

 写真は、〝箱根空木〟。スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木。箱根に多く産したとの誤認による名ですが、箱根には自生していないと。各地の海沿いに分布して、広く栽培もされます。花ははじめ白く、のち次第に紅色に変化するため、枝に紅白の花が混じるので、私は卯の花よりこの花の方が好きです。ちなみに〝卯の花〟は〝空木の花〟のことで、夏の季語ですが、これはユキノシタ科なんですよ。

 


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14 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-05-24 06:41:22
おはようございます!
 麦こがしは、子供のころに、駄菓子屋さんにありましたし、家でも、練って食べました。駄菓子屋さんのは、袋に入ってストローが差してあり吸い込むと時々むせることがありました。思い出です。調べによると、麦焦がしは、大麦を精白し、煎り釜で香ばしく炒って粉にしたもので香煎(こうせん)、はったい粉ともいう。江戸の時代から作られ熱湯を入れ練って味付けして旅の携帯食としても食べられていた。ようです。情報の共有ができることが、楽しみの一つでもあります。有難うございます。これからもよろしくお付き合いのほどお願いします。
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麦こがし (ころころ)
2020-05-24 06:41:29
ちわきさん、こんにちわ
「麦こがし」という懐かしいフレーズに思わずコメントを書かせて頂きました
私の場合はちわきさんと全く逆で、麦こがしがはったいである事を俳句をするまで知りませんでした

ネットが普及してから日本列島は縮んだように感じます、本来北にあるものが南に、東京にないものが有ったり・・・

そして麦こがしは麦粉菓子でも
麦焦がしでもはったいでも同じだと
俳句をしていないと分かりませんでした

お嬢様が知らない季語にあうように、私たちにも遠ざかる季語は沢山有るのですね

もし席題に「毒消し売り」が出たら
詠むことも鑑賞することも難しい時代になりました
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この記事を読んでから、朝食の雑談ネタに…。 (縄文人)
2020-05-24 08:09:17

「麦こがし」私の見解は、石臼の方・・(秩父・農家の方式)
Y婦は、こう答えた。
ラクガンの様なもので、店のお菓子屋さんに売っている、麦の粉で作ったものですと言っていた。
今日のブログの”フキの皮むき”と同じように地方によって分かれました。

昔の語源(言葉)は、すべてが現場・もの・実物と結びついて出現した物が多い。
しかし現代はデジタル社会、モノを見ないで話す、映像化の昨今、これがコロナ禍の以後、生活様式も変わり益々デジタル社会が幅を利かす時代になるのでしょう。
アマゾンや楽天の通信販売はその最たるもので・・・・ありましょう。

 麦こがし絶滅危惧種拾い上げ (縄)

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おはようございます (ミルク)
2020-05-24 08:50:47
はて?むぎこがしとは・・・と考えていたら
「香煎」と出てきたので、あ~~!でした。
しかし、こちらでは、麦ではなく、玄米を大きな鍋で炒って、
碾き臼でひいたものに、砂糖を混ぜて食べてました。とても香ばしかった記憶が。
やはり,むせながらハガキか何かでヘラを作って食べました。
私が小学生の頃の話です。その後は見たことも食べた事もないです。
碾き臼は、たくあん石と化し、いまはもうないです。
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始めまして。 (michi)
2020-05-24 09:47:53
スマフォでブログを見ていて・・
思わずフォローを押してしまいました。

落ち着いてパソコンを開き改めて読ませて頂きました。
私の知ってるミルクさんのメッセージもありました。
すると・・・なんと
我が家のお近くではありませんか?
驚きました(#^.^#)

私はコメント欄やアクションボタンは除けておりますが
これからもこのご縁を大切にしたいと
思っております。
よろしくお願い致します。
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Unknown (ちわき)
2020-05-24 10:15:23
Unknownさん、いつもコメントありがとうございます。
はったい粉は粉のままだと噎せてしまうので、練って食べたりもしていましたが、私はそれは糊のようで嫌いでした。あの粉の香ばしさが口中に広がるのが嬉しくって…
情報の共有は私の方こそ…いろいろと学術的で難しいことまで教えていただいて、いつも感謝しています。
これからもよろしく!
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Unknown (ちわき)
2020-05-24 10:35:15
ころころさん、こんにちは。
このたびの〝麦こがし〟の反響が意外と大きくてびっくりしました。
皆さんきっと子供の頃に食べたことがあって、懐かしく思われたのでしょうね。アリガタイコト!
でも、関東以北と関西では本当にそんなに違うんですね。うどんの出汁やおでんの味や具なども違うと…いろいろ知ってみると面白いです。
時代とともに消えていく季語も増えていますね。世代が入れ替わればもっともっと消えていくものが多くなるのは仕方がないことでしょう。が、せめてこれだけは残しておきたいと思うものは、今のうちに若い世代にしっかり教えておきたいと思っています。
そのためにもブログ書いているんですが、…どうも読んで下さる方は同世代の方が多いようで…まあ、それでもいいですが…
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Unknown (ちわき)
2020-05-24 10:52:58
縄文人さん、こんにちは。
ああ、ラクガンは私大好きな菓子なんですが、お盆とかにある普通のではなく〝長生殿〟(?)…でしたかしら、高級菓子なんですが、それが香りや口当りが似ていました。昔食べていたのはあんなにキメは細かくありませんでしたけど。
それは石臼の碾き具合によるもののようでした。
季語の絶滅危惧種がどんどん増えていますよね。淋しい限りです。
縄文人さんもこういう季語が消えてなくならないように、一緒に頑張りましょうよ。
ほら、よくあるじゃないですか。日本に残したい歌とか言葉だとか…あのように、是非残したい季語を募って…いかがでしょうか? アハハ…
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Unknown (翡翠)
2020-05-24 10:58:11
ちわき先生

おはようございます(*^-^*)

麦こがし=はったいこ

知りませんでした~
はったいこは、うちの父と母には
懐かしいおやつのようで、
以前、道の駅で見つけたときに
買って来て食べました。

身体に優しい自然食品のような
イメージですが、季語となると
また違った目線で食べてみたくなりました(=゚ω゚)ノ

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Unknown (ちわき)
2020-05-24 11:08:57
ミルクさん、こんにちは。
私、はったいのことを〝香煎〟ということ今回初めて知ったんですよ。
それも麦でなく玄米を炒って臼で碾いたものを同じようにして食べていたんですね。
〈むせながらハガキか何かでヘラを作って食べました…〉
わあ、懐かしい!私もちょっと固い紙ですくって…口の所にもっていくと、鼻がムズムズして〝ハックション!〟と吹き飛ばして…なんて。
それにしても臼をたくわん石にとは…なんと力持ちですこと!
お見それしましたよ。
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