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渡辺武著 わかりやすい漢方薬 酢酸は自然酢ではない  ラグビーの選手が、前半戦が終って疲れ果てたとき、レモンをほおばるようにして食べている光景を見かけます

2021-05-25 10:21:05 | 日記

昌栄薬品

渡辺武著 わかりやすい漢方薬

第三章 漢方薬は何に効くか

4 味覚による食事療法 

P193 酢酸は自然酢ではない

 ラグビーの選手が、前半戦が終って疲れ果てたとき、レモンをほおばるようにして食べている光景を見かけます。

疲れたときに酸っぱいものを食べるのは、肝臓の機能を高めて疲れを回復させてくれるからです。

肝臓を守るには、酸っぱいものを食べる必要があるのです。

 人間の身体というのは、弱アルカリ性に保たれています。

たとえば、肉というのは酸性の食物、肉を食べるときは野菜を摂りなさいというのは、アルカリで中和するということです。

野菜や果物ばかり食べているとアルカリ性になりますが、日本人のように炭水化物ばかりに偏向していると、これにアルカリ性のナトリウムを入れて動かさない限り、植物人間のようにじっとして動けなくなってしまうのです。

思考が停滞するだけでなく、人間の機能が停滞して、身体のあちこちが痛んできます。

 人間にとって酸っぱいものと食塩(ナトリウム)は、大変に大事な役割を果たしています。

人間がエネルギーを起す作用を刺激しているのもそれなのです。

これに香辛料が入ってくれば、活力はもっと促進されてくるわけです。

 ところが、酸っぱいものといえば、一般に酢酸の酢でいいだろうという人がいますが、酢酸は科学的につくられた酸で、本物ではありません。

自然酢といわれる米からつくる醸造酢やミカン、レモンとは全く違います。

酢酸を食べて胃や腸がアルカリ性になったと思ったら、大変なまちがいです。

しかし、市場で販売されている〝天然酢〟と銘うった酢は、天然酢が一〇%入っていれば、後は酢酸が九〇%入っていようが〝天然酢〟として売ることが許可されているのです。

だから消費者は〝天然酢〟にだまされ、実は酢酸を飲んでいるというわけで、注意しなければいなりません。

 酢酸は劇薬にもなる化学物質、多量に飲んだら胃が焼けただれてしまいます。

人間に必要なのは酢酸ではありません。

天然の自然酢なのです。

日本人は便利さや安価に踊らされて、自分の身体を犠牲にしているようです。

 ではアメリカではどうでしょう。

アメリカ人は合理主義者です。

リンゴ酢という自然の酢に蜂ミツという健康食を摂っています。

アメリカはリンゴが豊富だからですが、考えてみれば日本だって酢酸を摂らなくても果実は豊富にあるはずです。

ウメなど酸っぱい果実を食べればいいのです。

よく昔の人は、朝に梅干一個を食べていると健康が保てるといいますが、梅干は自然酢を摂っているのと同じ理屈なのです。

 日本料理は酒の肴に酢のものがつきものです。

昔は酸っぱいものには香り高いユズとかダイダイとかカボス(香酢)、スダチがありました。九州にはフグ料理があります。

このフグ料理にはダイダイやカボスの酸っぱい味がつきますが、このダイダイの酸味は、肝臓を助け、毒を消す作用をしているのです。

魚を酢で殺すというのは、生魚を肝臓に負担をかけないで食べる生活の知恵です。

 生魚を酢で殺した料理を〝膾(なます)〟といっています。

この鱠は中国から伝わってきた料理法で古い諺に「羹(あつもの)に懲りて膾を吹く」というのがありますが、前漢時代から膾はあったといわれます。

その当時から、蛋白質の生魚や肉を自然酢で殺して、肝臓の解毒作用を助け、蛋白質をヘドロにならぬようにしてきたのです。

 

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