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ヴェルミチーノの井戸の英雄、アンジェロ・リケリが亡くなった。

2021-10-18 19:29:27 | 社会
Corriere della sera 18 ottobre 2021 (modifica il 18 ottobre 2021 | 12:10)

È morto Angelo Licheri, l’uomo che tentò di salvare Alfredino Rampi

(写真はAngelo Licheri氏)

1981年ローマ県ベルミチーノで発生した、子どもが64メートルの深さの井戸に落ちた事件で自ら井戸の中に入り助けようと奮闘したAngelo Licheri氏が77歳で亡くなった。事件は1981年6月10日に起こった。2019年週刊誌セッテのインタビュー記事の中で彼は当時の事を語っている。
「子どもは井戸の底64メートルのところにいたんだ。私は彼の目と口の泥をとり、話かけたんだ、やさしくね。彼は起こったことを理解していた。でも返事が出来ないんだ。ただゼイゼイするだけで。しかし、このこと自体が私にとっては彼の返事だった。私が話し掛けるのを止めると、彼はより一層ゼイゼイと息をした、なにか言おうとしてるように。いろいろと助ける試みをしたもののうまくいかず、最後に自分のきていたシャツを使って引き上げようとしたが、引き上げようとした瞬間、彼は耐えられずシャツから手を離してしまった。そして、私は彼にお別れのキスを送り、外に出たんだ。『さよなら坊や』と言ってね。」リケリ氏はサルデーニャ出身で当時は37歳、3人の子どもの親だった。ローマで印刷会社の配達員だった。当時子どもが井戸に落ちた事件をRAIは救出作業をノンストップTV報道してたが(当時の大統領サンドロ・ペルチーニも現地を訪れた)、6月12日の夕方、とても痩せていたリケリ氏は現場に現れ、自ら井戸に入ったのだ。
「消防隊長に言ったんだ。私は背が小さい、だから私に井戸の中に入らせてくれって。だけど彼は、君は感情的になりすぎている、病気がある、問題がある、と理由を付けてきてくれないので、遮って、言ったんだ。『聞いてくれ、私は健康そのものだ。ただ、井戸に入って救いたいだけなんだ。』てね。私の決意が最後には勝った。」
「彼は犠牲的精神の象徴だった。」 Rampiセンター館長のRita Di Iorioは語る。「彼とはこの間良く連絡を取り合っていた。だから私たちは彼が病気だったことを知っていたし、いつかこんなときを迎えることになるだろうと。しかし、ともかく本当につらい。彼はとても悔しがっていた。」


(原文)
https://www.corriere.it/cronache/21_ottobre_18/morto-angelo-licheri-alfredino-rampi-7f10cffc-2ff9-11ec-9d51-3a373555935d.shtml