(ルチル文庫 「しもべと犬」 玄上 八絹 著)
ラヴァーズ・シャレード・ガッシュのどれかしか買わない自分が
滅多に買わないルチル文庫を買った理由。
「刑事モノ」+「人で在らざる者」+「謎の組織」
といったツボに入るテーマの作品だった為。
そして、主要人物の「智重」と「信乃」。
しかも「信乃」は「犬」だけれど「人間」という特殊な存在。
刑事の「智重」は、正に警察の犬というべきの「非公式」な特殊刑事。
智重と信乃の関係は「FSS」の騎士とファティマっぽい。
とにかく信乃は智重を愛して彼の為には命さえ投げ出すのもいとわない。
死にかけても人工血液などで”修理”できる”しもべ”で”人形”の立場
でしかないけれど。主人から愛情がもらえないと弱っていく。
智重はそれを知っていても信乃を愛せない。
愛しいと思っているのだけれど愛せない事情がある。
ラスト近くで信乃が智重からその理由を聞かされる場面は切なすぎて泣く。
信乃を作った科学者(人形師)の一水は、他にも信乃のような
”犬”達を扱うにふさわしい人物に送り出しているらしいし。
他にも「犬人間」が出てきそうなので、次巻が出るまでがちょっと楽しみ。
勝手に「八犬伝」っぽいって書いたけど、それらしき人物が
八人出てきて物語に絡んでくれたらそれだけで嬉しいかな。
というか、この作者の人は個人的にはBL系と括弧くくりしない方が良いと思う。
前の妖狐の話も、その前の大正ロマンな話もしっかり内容があって
面白いレベルだったので。ルチルなのでしっかりBL描写が出てくるけど、
その描写が無くても充分読める感じ。