ガトゥ・ハロゥ

八犬伝と特撮と山田風太郎をこよなく愛する花夜のブログ。

「その女、ジルバ」読了

2019年05月12日 01時13分07秒 | 自己カルト的
「その女、ジルバ」(有間しのぶ 著)を読了。

1巻はいつも通りのノリというか、シリアスとギャグと食べ物のシーンがほどよいバランスですいすい読めて、「面白い!」と素直に感想に出来るけど、2巻の中頃辺りから戦前戦後を挟んだブラジル移民の話が重たくなってきて、読み終わるのに体力が必要だった。

それでも、ジルバの生きざまに絡んで、戦前戦後の辛酸を舐めて酸いも甘いもほどよく昇華して60、70、80代でもまだまだダンス現役で人生まだまだとしたたかに日々を謳歌している熟女ホステス達のパワーには圧倒される。
(40歳の新が「ギャル」「嫁入り前の娘」と呼ばれているのが面白い)

ラストの新がちょっと「?」だったけれど、重いテーマを現代に生きてる新と福島地震にも絡めながらここまで描き切るのは凄いパワーだと思う。

思えば、幼少時に父親が買ってた雑誌で「ぢょしこうマニュアル」を読んで、「モンパト」を二十代頃に読んでたから、この人の漫画との付き合いも結構長い。「モンパト」のスピンオフのようなBL漫画も読んでたし。
絵柄は殴り書きみたいな感じだけど話は結構エグい。妙な部分で「……これ私もだ」と共感させて古傷をえぐるようなエピソードが入ってくるので、柔らかな「鬱」漫画かもしれない。

話がそれるけれど。
「その男ゾルバ」は白黒映画を大学時代に見て、藤田まことさん主演舞台の「その男ゾルバ」も観に行って。「龍騎」では悪徳弁護士の北岡さんにハマって写真集の「その男、ゾルダ」を今でも手元に持ってたら、その役者さんが熟年ムード歌謡曲アイドルとしてデビューして紅白にまで出てしまったりして。

……なんだか、あともう一回くらい「ゾルバ」系の何かに遭遇しそうな気がする。

「生徒諸君!」完結

2019年05月11日 00時57分53秒 | 八犬伝いろいろ
「生徒諸君!」(庄司陽子 作)がようやく本当に完結したらしい。

でも正直、ナッキーが社会人になって教師になってからの「社会人編」「旅立ち編」はちょっと蛇足のような気がしないでもないけど。
「諸君、私は戦争が好きだ」って演説かましてたのはガンダムのキャラだっけ?
「生徒諸君!」の学生編では、何事も先頭に立って、場合によっては教師さえも論破してしまうのがナッキーで、その主人公なんだけど主人公らしくない万能性が魅力で、彼女が「生徒諸君!」と生徒達の前で声をあげるシーンは未だに記憶に残ってる。
(本当にここで終わってくれてたら……)

最初の、ナッキー達悪たれ団が聖美中学を卒業した時とか、沖田君が山の事故で死んだ大学時代ラスト間近の時とかできっぱり終わらせて欲しかったのが本音。登山好きなキャラはクライマックス間近の事故で死ぬのがお約束なのだなぁってのは、この「生徒諸君!」とたのきんトリオが主演のジャニーズ映画から学んだような気がする。
(後に少しだけハマったテニプリで、手塚の趣味が「登山」とあっていらぬ心配をしたのもいい思い出)

そもそもの「生徒諸君!」の主要キーワードの「悪たれ団」。これの最初は『「聖美悪たれ伝」を作る会』を作ろうってナッキーが言い出したことから。ヒーローヒロインを目指すグループって要するに八犬士だよね? と半ば期待しながら読んで、結局八人にはならなかった。

最初の舞台は「聖美(さとみ)第四中学」。四の「しの」ですか、もしかして。
ナッキーが転校生としていろいろと目立つことを繰り返す内に出来上がっていったグループの名称が「悪たれ団」。
最初は五人で「悪たれ5人組」。後に沖田君が転校してきて加わって六人。(ナッキーの姉のマールや飛島先輩はちょっと違うと思うので数には入れない)

改めて読み返すと、ナッキーは八犬士というよりも伏姫様っぽい。何にでも挑戦して何でもできる女の子。双子の片割れマールが病弱で知能も遅れていて長生きできないと知ったから、ふたり分生きようと思った結果なのだとしても、生まれてまもなく実の両親に捨てられたような状況でそんな意思を持てるってのは普通じゃない。
(そしてこれが「教師編」「旅立ち編」でとんでもなく尾を引くわけで)

無理矢理にこじつけるなら、数珠を貰う前の伏姫が早世したマールで、八犬士を生み出す直前までの伏姫がナッキーなのかもしれない。

実写化では小泉今日子がナッキーやって主演。
アニメではナッキーとの付き合いがずっと続く岩崎君が古谷徹さんだったのを覚えてる。