満天の星
飛行機に乗って、高度1万メーターの上空を飛んでいると、窓の外には無数の星が輝いている事に気がついた。面白いことに、この星は自分の目の高さよりも下で光っていることもある。頭上で輝くものから、目の高さ水平線や、その下で光っているものもある。
地上ではこういうことはめったに見られない。星は常に、天空の上の方で輝いているのがわれわれの常識である。
ところが今夜みる星空は、頭上から目線の下まで、球面体に見えた。夜間飛行は何回も経験したが、今日初めて気がついた。僕の頭上は腕を伏せたような形をしていて、そのお椀に無数の星がへばりついているのである。
自宅を出たのが朝7時。韓国・インチョンについたのが12時。何の手違いが、機体のやりくりがつかないので1時間遅れるというニュースは関西空港をでるときから、すでにわかっていた。ところがスケジュールの予定だった、16時10分発が17時40分に訂正されており、さらに遅れて出発したのは19時10分だった。
自宅を出て12時間後にソウルからバンコクに向けて飛び立ったのである。スケジュールを変更された17時40分により遅れること1時間半、これだけ遅れたのも珍しい。初めての経験である。
満天の星の形がどんな風に見えるのか、気がついたのも初めてであった。16時のスケジュールが3時間になっているから、当然のことながら、到着も3時間遅れになる。これには多くの旅行者が迷惑をしていることだろう。第一20時到着が23時到着になるからだ。
入管手続きをしてバスかタクシーに乗る頃には日付は変わっていることだろう。空港からダウンタウンまで行く交通手段があるのだろうか。そして繁忙期のこの時期に簡単にホテルは見つかるのだろうか。こういう思いに駆られ始めると腹立たしいというよりは不安が先にたった。しかし何を考えてみても妙案は浮かばない。
最悪は空港で夜が明けるの待つしか仕方がない。ああつまらない。その時に僕は窓の外に目をやって満天の星の状況を見つけたのだ。星を見ていると夜空に咲く美しい花のように思えた。
何をみるか、何を考えるかで、気分や心の中はころっと変わる。満天の星か、3時間遅れの宿探しを考えるか。
そのどちらかに気を向けるか、それが問題だと思った。7時間でつくはずのバンコクに10時間以上もかかって、いらいらしたが、人間はその時の状況に合わせて、場面転換をすると、そのいらいらから上手に逃れる事に気がついた。
何回か海外旅行を重ねて初めて気のついた知恵であった。すべてに不都合がないようにして暮らしている、我が家に閉じこもりきりでは、おそらく気がつくまい。とすればこれが海外旅行の御利益の一つかもしれん。
飛行機に乗って、高度1万メーターの上空を飛んでいると、窓の外には無数の星が輝いている事に気がついた。面白いことに、この星は自分の目の高さよりも下で光っていることもある。頭上で輝くものから、目の高さ水平線や、その下で光っているものもある。
地上ではこういうことはめったに見られない。星は常に、天空の上の方で輝いているのがわれわれの常識である。
ところが今夜みる星空は、頭上から目線の下まで、球面体に見えた。夜間飛行は何回も経験したが、今日初めて気がついた。僕の頭上は腕を伏せたような形をしていて、そのお椀に無数の星がへばりついているのである。
自宅を出たのが朝7時。韓国・インチョンについたのが12時。何の手違いが、機体のやりくりがつかないので1時間遅れるというニュースは関西空港をでるときから、すでにわかっていた。ところがスケジュールの予定だった、16時10分発が17時40分に訂正されており、さらに遅れて出発したのは19時10分だった。
自宅を出て12時間後にソウルからバンコクに向けて飛び立ったのである。スケジュールを変更された17時40分により遅れること1時間半、これだけ遅れたのも珍しい。初めての経験である。
満天の星の形がどんな風に見えるのか、気がついたのも初めてであった。16時のスケジュールが3時間になっているから、当然のことながら、到着も3時間遅れになる。これには多くの旅行者が迷惑をしていることだろう。第一20時到着が23時到着になるからだ。
入管手続きをしてバスかタクシーに乗る頃には日付は変わっていることだろう。空港からダウンタウンまで行く交通手段があるのだろうか。そして繁忙期のこの時期に簡単にホテルは見つかるのだろうか。こういう思いに駆られ始めると腹立たしいというよりは不安が先にたった。しかし何を考えてみても妙案は浮かばない。
最悪は空港で夜が明けるの待つしか仕方がない。ああつまらない。その時に僕は窓の外に目をやって満天の星の状況を見つけたのだ。星を見ていると夜空に咲く美しい花のように思えた。
何をみるか、何を考えるかで、気分や心の中はころっと変わる。満天の星か、3時間遅れの宿探しを考えるか。
そのどちらかに気を向けるか、それが問題だと思った。7時間でつくはずのバンコクに10時間以上もかかって、いらいらしたが、人間はその時の状況に合わせて、場面転換をすると、そのいらいらから上手に逃れる事に気がついた。
何回か海外旅行を重ねて初めて気のついた知恵であった。すべてに不都合がないようにして暮らしている、我が家に閉じこもりきりでは、おそらく気がつくまい。とすればこれが海外旅行の御利益の一つかもしれん。