kebaneco日記

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政治報道に思うこと

2010年04月29日 | 折々の話題
イギリスでは来月6日に総選挙の投票日を迎える。その英国の政治報道・選挙報道って面白くて好きだ。タブロイドの悪趣味もたまに読むと面白い。

笑ったのはゴードン・ブラウン首相が、遊説中のイメージアップのための生放送番組で、有権者の女性に移民問題・国債などでやりこめられ、逃げ込んだ車のなかで「誰があんな女を差し向けたんだ」とか「偏狭頑迷な女だ」とか口走ったのが、無線マイクを切るのを忘れて全部生放送で流れちゃったという「事件」。直後に出演したラジオ番組で謝罪・釈明し、「偏狭頑迷」と言われて「冗談でしょ」とショックを受けていたギリアン・ダフィーさんの自宅を訪れ謝罪したのだけど、時すでに遅し。主人なんか「ブラウンじゃなくてブラックだな」と一言。確かに(笑)

日本の民主党政権がお手本としている英国では、二大政党制が揺るぎそうな状態。ほぼ100年ぶりの連立政権となる見通し。最初は与党労働党としては(英国の)自民党が保守党の票をとってくれるだろうから、自民党の躍進=労働党に有利と秋波を送っていたのだけど、いまや与党であるにもかかわらず労働党は自民党の後塵を拝する体たらく、他力本願では居られなくなった。政権奪回を狙い、つい最近までは政権を手にしていたと思っていた保守党も、慢心していると過半数が取れないと大慌て。

で、加熱したのがばらまき合戦。保守党はもともと緊縮財政をと主張していたけど、ここにきて減税を公約。一方労働党は大型支出を公約。そのため議論の中心は財源としての効率化。ううむ、どっかで聞いたことがあるような(苦笑)。

フィナンシャル・タイムズはその効率化によって生じる節約など「架空」であると切り捨てている。そして増税なき財政再建がいかに無理なのか、あるいはどれだけの痛みを伴うものなのかを、クリス・ジャイルズ記者が編み出したシミュレータを使って説明している。やってみたのだけど、これが、シンプルなだけに面白い。

まず、各党の財政再建の聖域を基準に支持政党を決める。フリーチョイスと言うのもあり、自分で聖域を決められる。

そうすると、削減目標額が決まるので、そこから何をカットするのか選ぶ
右側の棒グラフは削減総額

公務員給与削減、公務員定数削減、児童手当所得制限導入、刑務所収容人数削減、空母建造凍結、アフガン撤退、道路保守・補修凍結、小中校舎建設凍結、文化スポーツ省廃止、地方交付税削減、などなど7つの分野別に項目がたくさんある。

そしてそれらの歳出削減がどういう「痛み」になって、誰に影響するかの説明文が現れる


公務員給与削減するとストライキ増えますよ~とか、空母作らないとフォークランドから侵入者を追い出せなくなりますよ~、アフガンから撤退するとアメリカとの関係がぎくしゃくしますよ~、校舎作らないと建設業者が痛みますよ~、とか。いいなぁ、こういうの。首相にギリギリと質問していくBBCの討論番組とか好きだし、日本でそういう番組ができないものかと思う。だって、国民の政治意識の高さ・政治への関心の高さが、最も効果的な財政合理化策だと思うし、政治の質向上につながると思うから。

「節約を税源に」がフィクションであると断じる理由を、読者が判断できるようにこういう形で材料提供しているのは、あたし的にはポイント高い。これを読めば、ふつ~の人なら「こんな痛みが出ないと解決しない問題を節約ごときで解決できないだろうと」あっさり理解できるもん。増税が必要→増税と緊縮財政を説いている政党のほうが責任ある政党である→現在そういう政党はいない→じゃあ誰に一票を投じればよいのか→政党のマニフェスト見てみよう・考えよ~、となるわけだ。

日本のメディアって、たとえば普天間の問題にしても財政の問題にしても、国民全体の問題なのに、首相と与党の問題だと勝手に決め込んで「高みの見物・批判し放題」になってる気がする。コメンテータ(必ずしもその分野の専門家ではない)を呼んできて批判するのは自由だ。でもそれはメディアの本来業務なのか?

目先の選挙であっちにぶれたりこっちにぶれたりする政治家とは違う立場から、ぶれない目と知識と取材能力で、国民が目に触れることのできない情報を伝えるのがメディアに与えられた使命ではないのか?批判は彼らの提供する情報を元に、情報の受け手側が判断するものであって、あたしが判断する権利を勝手に奪うな。記者クラブ制度のようなぬるま湯につかっているから、「どちらかの肩を持つ」報道しかできなくなるのではないか?

誰か、5月末までの決着に固執する鳩山首相に「意味ないじゃん」「5月末までの決着を目指す理由は、それが普天間にとってベストだからか?民主党の選挙対策としてベストだからか?」聞いてくれぇ~。そして、5月末までに決着しなかったら辞めてもらうと威勢のよい谷垣総裁に「国民全体の問題である普天間の問題を、民主党に丸投げしてそれでも国会議員か?」と言ってやってくれ~

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2 コメント

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民主党のノブレスオブリージュ試験紙 (アスキー)
2010-04-29 19:09:44
検察審査会のメンバー全員が「起訴すべき」とした小沢の「政治とカネ」問題。
普通、この時点で辞職だろう。
本人が辞めないというなら、鳩山総理が辞めさせないといけない話だ。
民主党の自浄能力に注目したい。
事は小沢の問題を離れた。
小沢はもう終わった。
あとは民主党がいつ、小沢を切るかだ。
DVに悩む女が、その男と手切れする絶好の機会が訪れてるのに似てる。
もしそれでも手切れできないなら、それはその男と離れたくないからだ。
そう思われてもしょうがない。
もし民主党が小沢を切れないなら、なんだかんだエラそうに政治の理想を語っても、選挙に勝つことを何より優先する小沢と価値観は同じ、ということだ。
どんな、間違った政策でも、
このまま行ったら日本が破産するといくら言われても、
選挙のためだけに邁進する小沢を“否定できなかった”んじゃなく、
“肯定してた”ってことだ。
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Unknown (keba)
2010-04-30 09:46:09
>アスキーさま
あたしは当面民主党にやらせてみようと、いまだに思っています。
せっかく自民党のひどい政治から脱却できたのに、1年もたたず戻るなんてありえね~、と。

でも、小沢幹事長は、あたしが民主党を支持する上での、大きな障害です。
それを言い始めれば、その小沢幹事長を御せない鳩山首相にも不満、
小沢幹事長に反旗を翻して名前を売った生方議員も目ざわり。

だから、本当に
>選挙に勝つことを何より優先する小沢

なんだったら、小沢幹事長がおやめになるのが一番の近道だと思うし、あたしも嬉しいです。
あたしの税金を自分の選挙資金のようにつかうな!と。
それじゃぁ自民党と同じじゃいか!と。

ただ、その場合の問題は、
検察審査会のメンバーは有権者がくじで選ばれたとはいえ、
検察リーク情報を検証もせず垂れ流したメディアにどっぷりつかった人たちで、
国民「感情」は反映していても、「事実」に基づいているかどうかは疑問ってこと。
だから、来る参議院選挙の有権者行動を予想する道具としては使えても、
法執行機関の捜査・判断をただす道具として、果たしてどれだけ有効か疑問。

そのくらい、あたしは昨今の政治報道に疑問を持っています。
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