2016年3月5日のTBS「報道特集」は、「放送法を考える」を特集していた。
番組を観ながら思ったことは、「日本国憲法」といい、「放送法」といい、
戦後まもなく、日本人は立派な「法」を作ったということだ。
戦争を経験して、これからこの国はどう歩んでいったらよいのか――
このことに真摯に向き合う姿勢が感じられた。
こんな素晴らしい法を、なぜ政権は自分たちに都合のいいように解釈するのだろう。
都合のいいところだけつまみ食いしたり、あるいは曲解したりして、
なぜ全体を見ようとしないのだろう。
なお現時点で高市大臣は、あの(電波停止に関する)発言を撤回する考えはないそうです。
番組を観て、心に残った言葉を引用させて頂きます。
(1)憲法学者から、高市発言は「違法」の声
樋口陽一さんの言葉
「何人も自分自身が関わっている事柄について 裁判官となってはならない。
それこそ自由民主主義社会の基本原理」
(2)立憲デモクラシーの会
「放送法4条を根拠に処分を行えば 違憲との判断は免れがたい」
(3)1950年に放送法が成立――放送法の理念とは
その当時の電波庁・網島毅(つよし)電波監理長官の提案理由は
「放送番組につきましては 第一条に放送による表現の自由を根本原則として掲げまして
政府は放送番組に対する検閲・監督等は一切行わないのでございます」
(4)放送法を制定するにあたり、1948年に逓信省が作成した想定問答集には
「本法制定の必要性、制定の理由――
放送は情報及び教育の手段並びに国民文化の媒体として至大な影響があるので、
放送をいかなる政党政府 いかなる政府の団体個人からも支配されない
自由独立なものとしなければならない」
なぜ放送番組の編集は、このように自由にするのか?
「憲法には表現の自由を保障しており また放送番組に政府が干渉すると
放送が政府の御用機関となり 国民の思想の自由な発展を阻害し
戦争中のような恐るべき結果を生ずる
健全な民主主義の発展のためには どうしても放送番組を自由にしなければならない」
(5)かつて、放送局が与党から政治的圧力をかけられた事例として、
ベトナム戦争と三里塚闘争を挙げている。
当時の様子を、2001年8月4日、金平キャスターが、生前の田(でん)英夫さんに
インタビューしています。
田さんは、「JNNニュースコープ(1962年から1990年まで放送)」の
初代メインキャスターです。
当時のベトナム戦争報道の殆んどが、アメリカからの報道に偏っていた。
田英夫さんが日本のテレビとして初めて、アメリカの空爆を受けている
北ベトナムを取材した。
そして、市民の日常生活やアメリカ軍が劣勢にある様子を伝えた。
この「ハノイ 田英夫の証言」が、郵政族といわれる自民党幹部から
「反米報道だ」と批判された。そしてTBSの社長を呼んで、
「なぜ田君に ああいう番組をやらしたんだ」という言葉が出てきた。
その後も、成田空港建設の反対運動を、田さんが取材した時のことです。
反対集会の取材に行くのに、自分たちが泊まっていた農家のおかみさんを、
どうせ行くならとマイクロバスに乗せました。
その時に、おかみさんたちが小さなプラカードを持っていたことが問題になった。
「TBSに、テレビ局の再免許をあたえないこともあり得る」という圧力に対して、
TBS社長は次のように言ったそうです。
「俺はみなさんに言論の自由を守ろうと言ってきたけれども このままでは
TBSが危ない。残念だが、田君辞めてくれ」
こうして1968年3月、田英夫キャスターは降板し、画面から消えた。
(6)今回の高市発言を、海外メディアはどう見ているのか、国際新聞編集者協会の
ジョン・イヤーウッド理事長(アメリカ人ジャーナリスト)にインタビューしている。
「結局のところあの発言は、ニュースメディアに対する警告だったと考えている。
ニュースメディアの仕事に、大臣が口を出していいはずがありません。
テレビ局に警告することで、取材内容をコントロールしようとしている」
アメリカで同様の事例は?
「政府が出てきて、メディアに対して特定のルールを守らなければ電波を
停止する可能性もあると言ったという話は聞いたことがありません。
以前は、公平原則=フェアネス・ドクトリン が存在した。
日本の放送法もこれを参考にした。
しかし1987年、公平原則がむしろ ”言論の多様性の障害”になると
レーガンが廃止した。
たとえば、大統領選の候補者指名争いで先月、テレビが取り扱った時間は、
トランプ――923分
クルーズ――205分
ルビオ―― 139分
トランプ氏の取り上げられ方に、高市大臣の理屈を当てはめると、
アメリカの全てのメディアは閉鎖されることになります。
高市大臣は事実上、メディアに自己検閲を求めている。
言論の自由を脅かすことですから、非常に残念です」
(7)最後に金平キャスターの言葉
「政治権力からの露骨な圧力を受けてキャスターが辞めざるを得なかったのは、
日本のテレビの歴史の中での汚点です。
田さんの言葉、『こういうことは、二度とくり返されてはならない』と仰った
言葉の重みを、今現在の現実と照らし合わせて考え続けていきたいと思います」
番組を観ながら思ったことは、「日本国憲法」といい、「放送法」といい、
戦後まもなく、日本人は立派な「法」を作ったということだ。
戦争を経験して、これからこの国はどう歩んでいったらよいのか――
このことに真摯に向き合う姿勢が感じられた。
こんな素晴らしい法を、なぜ政権は自分たちに都合のいいように解釈するのだろう。
都合のいいところだけつまみ食いしたり、あるいは曲解したりして、
なぜ全体を見ようとしないのだろう。
なお現時点で高市大臣は、あの(電波停止に関する)発言を撤回する考えはないそうです。
番組を観て、心に残った言葉を引用させて頂きます。
(1)憲法学者から、高市発言は「違法」の声
樋口陽一さんの言葉
「何人も自分自身が関わっている事柄について 裁判官となってはならない。
それこそ自由民主主義社会の基本原理」
(2)立憲デモクラシーの会
「放送法4条を根拠に処分を行えば 違憲との判断は免れがたい」
(3)1950年に放送法が成立――放送法の理念とは
その当時の電波庁・網島毅(つよし)電波監理長官の提案理由は
「放送番組につきましては 第一条に放送による表現の自由を根本原則として掲げまして
政府は放送番組に対する検閲・監督等は一切行わないのでございます」
(4)放送法を制定するにあたり、1948年に逓信省が作成した想定問答集には
「本法制定の必要性、制定の理由――
放送は情報及び教育の手段並びに国民文化の媒体として至大な影響があるので、
放送をいかなる政党政府 いかなる政府の団体個人からも支配されない
自由独立なものとしなければならない」
なぜ放送番組の編集は、このように自由にするのか?
「憲法には表現の自由を保障しており また放送番組に政府が干渉すると
放送が政府の御用機関となり 国民の思想の自由な発展を阻害し
戦争中のような恐るべき結果を生ずる
健全な民主主義の発展のためには どうしても放送番組を自由にしなければならない」
(5)かつて、放送局が与党から政治的圧力をかけられた事例として、
ベトナム戦争と三里塚闘争を挙げている。
当時の様子を、2001年8月4日、金平キャスターが、生前の田(でん)英夫さんに
インタビューしています。
田さんは、「JNNニュースコープ(1962年から1990年まで放送)」の
初代メインキャスターです。
当時のベトナム戦争報道の殆んどが、アメリカからの報道に偏っていた。
田英夫さんが日本のテレビとして初めて、アメリカの空爆を受けている
北ベトナムを取材した。
そして、市民の日常生活やアメリカ軍が劣勢にある様子を伝えた。
この「ハノイ 田英夫の証言」が、郵政族といわれる自民党幹部から
「反米報道だ」と批判された。そしてTBSの社長を呼んで、
「なぜ田君に ああいう番組をやらしたんだ」という言葉が出てきた。
その後も、成田空港建設の反対運動を、田さんが取材した時のことです。
反対集会の取材に行くのに、自分たちが泊まっていた農家のおかみさんを、
どうせ行くならとマイクロバスに乗せました。
その時に、おかみさんたちが小さなプラカードを持っていたことが問題になった。
「TBSに、テレビ局の再免許をあたえないこともあり得る」という圧力に対して、
TBS社長は次のように言ったそうです。
「俺はみなさんに言論の自由を守ろうと言ってきたけれども このままでは
TBSが危ない。残念だが、田君辞めてくれ」
こうして1968年3月、田英夫キャスターは降板し、画面から消えた。
(6)今回の高市発言を、海外メディアはどう見ているのか、国際新聞編集者協会の
ジョン・イヤーウッド理事長(アメリカ人ジャーナリスト)にインタビューしている。
「結局のところあの発言は、ニュースメディアに対する警告だったと考えている。
ニュースメディアの仕事に、大臣が口を出していいはずがありません。
テレビ局に警告することで、取材内容をコントロールしようとしている」
アメリカで同様の事例は?
「政府が出てきて、メディアに対して特定のルールを守らなければ電波を
停止する可能性もあると言ったという話は聞いたことがありません。
以前は、公平原則=フェアネス・ドクトリン が存在した。
日本の放送法もこれを参考にした。
しかし1987年、公平原則がむしろ ”言論の多様性の障害”になると
レーガンが廃止した。
たとえば、大統領選の候補者指名争いで先月、テレビが取り扱った時間は、
トランプ――923分
クルーズ――205分
ルビオ―― 139分
トランプ氏の取り上げられ方に、高市大臣の理屈を当てはめると、
アメリカの全てのメディアは閉鎖されることになります。
高市大臣は事実上、メディアに自己検閲を求めている。
言論の自由を脅かすことですから、非常に残念です」
(7)最後に金平キャスターの言葉
「政治権力からの露骨な圧力を受けてキャスターが辞めざるを得なかったのは、
日本のテレビの歴史の中での汚点です。
田さんの言葉、『こういうことは、二度とくり返されてはならない』と仰った
言葉の重みを、今現在の現実と照らし合わせて考え続けていきたいと思います」