日頃感じたこと、思ったこと事などを書きとめておきます。
野のアザミ
たかが佐土原人形、されど・・・。
曽我十郎(寿曽我対面)
昨日から新春「土人形展」を開いている。中心に企画したのは、郷土が生んだ土人形=佐土原人形だ。 佐土原人形は、一説には約400年前から佐土原町(宮崎市)に伝わる素焼きに絵の具で彩色された土人形だ。
一般によく知られているのは、「まんじゅう喰い」と「内裏雛」だが、佐土原人形にはたくさんの種類がある。大きくは縁起人形、節句人形、わらべ人形、風俗人形、歌舞伎人形に分類される。それらはどれも、佐土原近郷を中心に愛されたもので、どこか温かで素朴で、懐かしさを感じさせる。この点は、全国どこの産地のものでも同様だ。しかし、佐土原人形で特出しているのは歌舞伎人形だ。地域で盛んだった歌舞伎芝居を背景に生まれた人形である。大胆なデフォルメや伸びやかな色彩、筆遣いは、全国屈指と言っても過言ではないだろう。もちろん、それらは、土人形の全盛期だった江戸末期から明治、大正、昭和前期のものだ。
美術界では評価の対象にはされてこなかったが、一部の画家などには絵の重要なモチーフにもなってきた。浮世絵は平面だが、土人形は立体だ。庶民の中で生まれ愛された点で言えば、浮世絵と同じだ。浮世絵は、モネやゴッホなど印象派・後期印象派の画家達に強い影響を与えた。色彩の豊かさ・彩やかさに加え、構図や形の巧みさ・独創性などを評価したのだった。そういう眼で見れば、浮世絵の立体版と言っていいのではないだろうか。
ここ十数年、機会ある毎に古い佐土原人形を見せていただく機会があった。すぐれた人形は、県外に流出したものが多いが、家庭で大事に残されてきたものも少なからずあった。郷土はもちろんだが、美術界などでも、もう少し見直しが必要なのではないかと思う。
まんじゅう喰い
高砂人形(翁)
寿三番叟
塩谷判官(仮名手本忠臣蔵)
戸無瀬(となせ)(仮名手本忠臣蔵)
いがみの権太(義経千本桜)
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