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令和2年(2020年)一級建築士試験問題解説 ⑤

2020-10-12 08:41:32 | ビジネス・教育学習
◇令和2年(2020年)一級建築士試験問題解説、今日は、構造強度、構造計算の規定についてです。
◇今回で単体規定の区切りとなりますので、ここで、一息入れさせていただきます。
◇次回以降、集団規定、建築士法、その他関連法規、及び混合問題へと取り組んでいきます。

◇なお解答解説について、問題文を参照しながら見てゆくと、分かり易いと思います。
◇問題文、正答表共に、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.にて参照できます。
◇下記URLにアクセスしてください。(Ctrlキーを押しながらクリックすると表示できます。)
問題文(法規)
https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-2020-1st-gakka3.pdf
正答表(学科5科目):
https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-2020-1st-gokakukijun.pdf
⇒できない場合は、検索システムで、公益財団法人 建築技術教育普及センターにアクセスしてください。
 ホームページ内に、試験問題「過去問」にアクセスする「窓(メニュー)」があります。
 (1-6)過去の試験問題等というメニューがあります。

〔No.11〕 建築物の構造計算に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
正答 4
1.正しい。令36条2項一号かっこ書き、令81条2項一号イ、同二号ロ、令77条六号:保有水平耐力計算によって安全性を確かめる場合(令81条2項一号イ、同二号ロに該当する場
 合)、政令で定める構造方法(技術的基準)において、令36条2項一号かっこ書きで、柱の主筋の断面積の和(令77条六号)の規定は、除かれているので、コンクリートの断面積の
 0.8%以上としなくてもよい。
2.正しい。令82条の6第一号、令82条四号:許容応力度計算は、令82条各号に定めるところによるとしており、設問の記述は、令82条四号の条文通りである(条文参照)。
3.正しい。令85条2項の表、同1項の表(ろ)欄(2)項:基礎の垂直荷重による圧縮力を計算する場合、ささえる床の数が7のときは、令85条2項の表より、積載荷重を減らす係数
 は、0.7であり、事務室の場合、同1項の表(ろ)欄(2)項より、1,800 N/㎡なので、積載荷重を減らす係数は0.7を乗ずると、1,260 N/㎡なので、床の積載荷重として採用する数値
 を1,300 N/㎡とすることができる。
4.誤り。令36条2項二号、令81条2項一号ロ、同二号ロ、令36条1項、令65条:限界耐力計算によって安全性を確かめる場合(令81条2項一号ロ、同二号ロ)、耐久性関係規定への
 適合が求められるが(令36条2項二号)、耐久性関係規定は、令36条1項にて定義されており、その中に、鉄骨造の圧縮材有効細長比の規定(令65条)は含まれておらず、有効細長
 比を250以下とする規定の適用はない。

〔No.12〕 構造耐力の規定に適合していない部分を有し、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている既存建築物に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
正答 1
1.誤り。法86条の7、令137条の2第三号イ(2):既存不適格建築物(法3条2項)に増築する場合、既存部分への現行の構造耐力規定(法20条)の適用を除外する範囲は、令137条の2
 において規定され、「既存部分を構造耐力上の危険性が増大しない構造方法とすればよい」とする、同三号イ(2)の緩和適用の範囲は、増築する部分の床面積が、基準時の延べ
 面積の1/20かつ50㎡以内でなければならないので、設問の場合、800㎡×1/20=40㎡以内としなければ、現行の構造耐力規定の緩和の適用はない。したがって、50㎡の増築の場
 合、既存建築物の部分には現行の構造耐力の規定は適用されることになる。
2.正しい。法86条の7、令137条の2第二号イ:前肢問1同様に、令137条の2において、現行の構造耐力の規定が適用されない範囲は、基準時の延べ面積の1/20、50㎡を超える
 場合で、1/2以内の場合は、令137条の2第二号イにおいて、耐久性等関係規定に適合し、かつ、所定の基準に適合するものとすればよいとしているので、床面積400㎡の増築
 は、基準時の延べ面積(800㎡)の1/2以内なので、既存建築物の部分には現行の構造耐力の規定は適用されない。
3.正しい。法6条9項、規則1条の3第四号の表2(61)項:確認申請の添付資料は、省令(規則1条の3)に規定されており、「既存不適格調書」については、第四号の表2(61)項に記載
 されている。
4.正しい。法86条の7、令137条の12第1項:大規模修繕、大規模模様替の場合、令137条の12第1項において、構造耐力上の危険性が増大しない修繕とすれば、現行の構造耐力
 の規定は適用しないとしている。

〔No.13〕 建築物を新築する場合において、建築基準法上、構造計算適合性判定の対象となるものは、次のうちどれか。
正答 4
1.適判対象外。法6条の3、法20条1項一号:適判の対象建築物は、法20条1項二号、及び同三号に該当する建築物であり、設問の第一号に該当する建築物は、対象としていな
 い。
2.適判対象外。法6条の3かっこ書き、法20条1項三号:高さが20mを超えない鉄筋コンクリート造の建築物は、法20条1項三号に該当する建築物で、法6条の3かっこ書きで、適
 判対象は、法20条1項三号イに規定する大臣認定プログラムによるものに限定している。なお、法20条1項三号イにおいては、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度
 を超えないこと等の所定の基準に従った構造計算を行ったもの、又は、大臣認定プログラムにより安全性を確かめたものとしている。
3.適判対象外。法6条の3ただし書き、法20条1項二号イ、令36条の2第二号、令9条の3、令81条2項二号イ、規則3条の13:高さが13mを超える鉄骨造は、令36条の2第二号に該
 当する建築物なので、原則、適判の対象であるが、法6条の3ただし書きにおいて、令9条の3に従い、令81条2項二号イに定める許容応力度計算により安全性を、規則3条の13に
 定める専門の技術を有する、特定建築基準適合判定資格者である建築主事が審査を行った場合には、適合判定の対象外と規定している。
4.適合判定の対象。法6条の3かっこ書き、法20条1項二号イ、令81条2項一号イ:令81条2項一号イに基づく保有水平耐力計算は、法20条1項二号イの建築物に対する構造計算
 方法であり、審査の扱いも同等となり、適合判定の対象建築物となる。

2020年10月12日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
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