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2024年(R6年)木造建築士試験問題・振り返り解説 ③

2024-08-29 09:40:49 | ビジネス・教育学習
◇本年度(2024年)の木造建築士試験問題が公表されましたので、振り返り解説を記述させていただきます。
◇問題と正答表について、「財団法人建築技術教育普及センター」のホームページに公表されました。
◇公表された試験問題を参照しながら、本解説をご一読いただければと思います。

〔No. 9 〕 適合しない記述を選択する問題です。
正答 5
問題文に、構造計算による確認は行わない木造建築物と記述されており、法20条1項四号イに従い、令36条3項に基づき政令第3章の構造強度「第1節総則(令36条)」から「第7節の2(令80条の3)」までに規定する技術基準を遵守しなさいということである。
1.適合する。令41条:構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質を規定している(条文参照)。
2.適合する。令44条:梁等の中央部付近の下端は、曲げ応力が最大になる部分ですので、欠き込みをしないように規制している(条文参照)。
3.適合する。令49条1項:モルタルの水分による外壁軸組の腐食を防ぐために、防水紙等での措置を規定している(条文参照)。
4.適合する。令45条1項:引張力を負担する筋かいは、厚さ1.5㎝、幅9㎝以上の木材、又は9㎜鉄筋を使用することと規定しているので、設問の厚さ4.5㎝、幅9㎝以上の木材断
 面であれば、同2項に規定する圧縮筋かいとしても適合する(条文参照)。⇒肢問5(正答)で問いかけている!
5.適合しない。令45条2項:圧縮力を負担する筋かいは、厚さ3㎝、幅9㎝以上の木材でなければならない。径9mmの鉄筋では不適合。

〔No.10〕見付面積から算定される構造耐力上必要な軸組の最小限の長さ算定する図形問題です。
正答 2
令46条4項(見附面積という、風圧を受ける垂直投影面積を算定する算数の問題と考えてもよい。)
 ・階数が2以上又は延べ面積が50㎡を超える木造の建築物に適用⇒設問は延べ面積120㎡なので適用。
 ・その階の見付面積からその階の床面からの高さが1.35m以下の部分の見付面積を減じたものに、
次の表3に掲げる数値(通常は50㎝/㎡でよい)を乗じて得た数値以上となるようにする。
 ・見付面積①:三角形の部分8×2×1/2=8㎡
   同  ②:四角形の部分(床面から1.35m以下の部分を減じる)=(3.0-1.35)×8=13.2㎡
 ・[見付面積①+②:(8+13.2=21.2㎡)]×[表3の数値(50㎝/㎡)]=1,060㎝・・・「2」

〔No.11〕 防火性能等に関する誤っている記述を選択する問題です。
正答 5
1.正しい。法27条2項一号、別表第1 (は)欄(5)項:3階以上の部分の床面積が200㎡以上の倉庫には、耐火建築物を要求しており、設問のものは2階建てなので、耐火建築物とし 
 なくてもよい。
2.正しい。法22条1項:法22条指定区域に対して、屋根に、設問に記述されている防火性能を要求する規定(条文参照)。
3.正しい。令114条1項:長屋等の界壁の防火性能を要求する規定(条文参照)。
4.正しい。令110条の3:法27条1項に規定する特殊建築物の防火設備の遮炎性能に関する技術的基準は、「令110条の3」において規定している(条文通り)。
5.誤り。法27条1項二号、別表第1 (は)欄(2)項:旅館で法27条に規定する防火設備を必要とする耐火建築物等が要求されるのは、2階の延べ床面積が300㎡以上の建築物に対し
 てであり、設問の200㎡のものには要求されていないので、防火設備は設けなくてもよい。

〔No.12〕 内装の制限に関する誤っている記述を選択する問題です。
正答 4
1.正しい。令128条の5第6項、同第1項かっこ書き:床面から1.2m以下の部分を除くという令128条の5かっこ書きで記述されている緩和規定は、同・1項、及び同・4項に限定
 しており、同・第6項の内装制限を受ける調理室への適用はないので、床面からの高さが1.0m以下の壁の部分の仕上げにおいても、内装の制限の対象となる。
2.正しい。令128条の5かっこ書き:天井部分を仕上げ対象としている条文のかっこ書きで、「天井のない場合は屋根」と規定している。
3.正しい。令128条の4第1項二号:自動車車庫は、面積に関係なく内装の制限を受ける。
4.誤り。令128条の4第4項:事務所等との兼用住宅においても、住宅同様に、最上階部分の調理室への内装制限の適用はないので、内装制限を受けるという記述は、誤り。
5.正しい。令128条の4第1項の表(2)項その他建築物の欄:当該用途に供する床面積の合計が200㎡以上のものは、内装の制限を受けると規定しているので、延べ面積290㎡の旅
 館は、内装制限を受ける。

2024年8月29日 by SHRS(シュルズ)建築基準適合判定資格者、一級建築士
コメント
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