2021年(令和3年)の試験問題解説を軸に、過去の出題傾向を踏まえて、重点事項と出題予測推論を加えて解説していきます。
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アドレスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験
すると、マトリックスの表が表示されますので、「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。
〔No.10〕主要構造部を準耐火構造とした、木造2階建て、延べ面積600㎡(各階の床面積300㎡、2階居室の床面積250㎡)の物品販売業を営む店舗の避難施設等に関して、誤っているものを問う問題です。
1.正しい。令115条の3第三号、別表第1(4)項、令120条1項表:物品販売業の店舗(別表第1(4)項に該当)で、準耐火構造の建築物の場合、直通階段の一に至る歩行距離は「30m以
下」とすればよい。
2.誤り。令117条、令121条1項六号ロ、同条2項:物品販売業の店舗(別表第1(4)項に該当)で、1,500㎡以下の場合、令121条1項二号に該当せず、2方向避難を必要としない。ま
た、避難階の直上階が、200㎡を超える場合(設問は250㎡)、2方向避難を必要とするが、同2項に基づき、準耐火構造の場合には、400㎡と読み替えることができるので、この
規定にも該当せず、2以上の直通階段を設ける必要はない。
この肢問2は、2つの視点から確認が必要な問題で、一つは令121条1項二号の、物品販売業を営む店舗としての規制で、かっこ書きで、床面積が1,500㎡以上を対象として規
制しているので、本問は対象外です。
もう一つは、令117条の規制対象の原則により、別表第1(1)項~(4)項の用途の特殊建築物を対象とし、令121条1項六号ロにおいて、5階以下の建築物における、避難階以外の
居室の床面積により規制範囲を決めています。2階建てなので、避難階の直上階の規制対象床面積は、200㎡となり、原則、設問の250㎡は規制対象となるが、同令2項におい
て、主要構造部を準耐火構造としたものへの緩和条項があり、規制対象値を」400㎡とできるとしているので、結果として、令121条の規定に基づく、2以上の直通階段を設け
る規定の対象とはならない。
3.正しい。令126条の2第1項ただし書き五号:原則、面積500㎡を超える建築物は、排煙設備設置義務があるが、排煙設備の設置義務を除外されている、同条文のただし書き五
号の規定に該当する。
4.正しい。別表第1(1)項~(4)項、令126条の4かっこ書き:原則、別表第1(1)項~(4)項に該当する特殊建築物には、非常用照明の設置義務があるが、令126条の4の条文中のかっ
こ書きにおいて、「採光上有効に直接外気に開放されたもの」に関して、適用が除外されている。
5.正しい。令128条:階数が3以下で、延べ面積が200㎡未満の建築物は、通路幅を90㎝としてもよいとしているが、設問の延べ面積600㎡のものは、従来通り、1.5m以上の通
路幅を要求している。
法改正事項が、ここでも出題されてきました。簡単な事項ですので、昨年度の受講生には、注意するように促していた事項の一つです。
【蚯蚓の戯言(避難施設等)】
◇避難施設の規定で、令121条の2方向避難の規定は、非常に重要な事項と思われ、出題の常連です。
◇選択問題の一部としての出題、5択での出題と様々ですが、正答での出題確率が80%を超えています。
◇令121条は、一級建築士試験でも、出題確率の高い事項で、完全習得しても損はないと思います。
◇加えて重視しているのは、R2改正法なので、出題実績はないですが、令121条4項です。
◇「準竪穴区画」同様に、法27条の緩和条項挿入で、規制が外れた部分をフォローする新設規定です。
◇原則、2方向避難を要しますが、3階建て200㎡未満の建築物への2方向避難を求めない規定です。
◇条件は、準竪穴区画同様に、対象用途と規制内容を、一号と二号に区分けしています。
◇階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物への緩和に注意が必要な条項は、次のような事項です。
・特殊建築物の防火規制緩和(法27条)
・竪穴区画の規制緩和(準竪穴区画:令112条12項13項)
・2方向避難の緩和(令121条4項)
・敷地内通路幅(令128条)
・定期報告制度(法12条)
◇排煙設備設置要求の基本事項(原則4つ)と、ただし書き緩和条文。
① 別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物で500㎡超えるもの
② 階数が3以上で、延べ面積が500㎡超える建築物(高さ31m以下で、100㎡毎に防煙壁で区画されたものを除く。)
③ 無窓居室(令116条の2第1項二号)
④ 延べ面積が1,000㎡をこえる建築物の居室でその床面積が200㎡を超えるもの(高さ31m以下で、100㎡毎に防煙壁で区画されたものを除く。)
加えて、令116条の2第1項ただし書き(排煙設備を必要としない建築物の居室)
◇非常用照明設置要求の基本事項(原則5つ)と、ただし書き緩和条文。
①別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物の居室
②階数が3以上で、延べ面積が500㎡を超える建築物の居室
③無窓居室(令116条の2第1項一号に該当するもの)
④延べ面積が1,000㎡をこえる建築物の居室
⑤これらの居室から地上に通ずる階段、廊下等の通路⇒ただし、採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。(①~④は居室への規制だが、⑤は通路への規制である。)
加えて、令126条の4ただし書き(設置義務が除外されているもの)
◇あと出題傾向から、令120条の歩行距離の表も、問いかけに数値が回答できるようにしたい。
2022年3月16日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アドレスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験
すると、マトリックスの表が表示されますので、「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。
〔No.10〕主要構造部を準耐火構造とした、木造2階建て、延べ面積600㎡(各階の床面積300㎡、2階居室の床面積250㎡)の物品販売業を営む店舗の避難施設等に関して、誤っているものを問う問題です。
1.正しい。令115条の3第三号、別表第1(4)項、令120条1項表:物品販売業の店舗(別表第1(4)項に該当)で、準耐火構造の建築物の場合、直通階段の一に至る歩行距離は「30m以
下」とすればよい。
2.誤り。令117条、令121条1項六号ロ、同条2項:物品販売業の店舗(別表第1(4)項に該当)で、1,500㎡以下の場合、令121条1項二号に該当せず、2方向避難を必要としない。ま
た、避難階の直上階が、200㎡を超える場合(設問は250㎡)、2方向避難を必要とするが、同2項に基づき、準耐火構造の場合には、400㎡と読み替えることができるので、この
規定にも該当せず、2以上の直通階段を設ける必要はない。
この肢問2は、2つの視点から確認が必要な問題で、一つは令121条1項二号の、物品販売業を営む店舗としての規制で、かっこ書きで、床面積が1,500㎡以上を対象として規
制しているので、本問は対象外です。
もう一つは、令117条の規制対象の原則により、別表第1(1)項~(4)項の用途の特殊建築物を対象とし、令121条1項六号ロにおいて、5階以下の建築物における、避難階以外の
居室の床面積により規制範囲を決めています。2階建てなので、避難階の直上階の規制対象床面積は、200㎡となり、原則、設問の250㎡は規制対象となるが、同令2項におい
て、主要構造部を準耐火構造としたものへの緩和条項があり、規制対象値を」400㎡とできるとしているので、結果として、令121条の規定に基づく、2以上の直通階段を設け
る規定の対象とはならない。
3.正しい。令126条の2第1項ただし書き五号:原則、面積500㎡を超える建築物は、排煙設備設置義務があるが、排煙設備の設置義務を除外されている、同条文のただし書き五
号の規定に該当する。
4.正しい。別表第1(1)項~(4)項、令126条の4かっこ書き:原則、別表第1(1)項~(4)項に該当する特殊建築物には、非常用照明の設置義務があるが、令126条の4の条文中のかっ
こ書きにおいて、「採光上有効に直接外気に開放されたもの」に関して、適用が除外されている。
5.正しい。令128条:階数が3以下で、延べ面積が200㎡未満の建築物は、通路幅を90㎝としてもよいとしているが、設問の延べ面積600㎡のものは、従来通り、1.5m以上の通
路幅を要求している。
法改正事項が、ここでも出題されてきました。簡単な事項ですので、昨年度の受講生には、注意するように促していた事項の一つです。
【蚯蚓の戯言(避難施設等)】
◇避難施設の規定で、令121条の2方向避難の規定は、非常に重要な事項と思われ、出題の常連です。
◇選択問題の一部としての出題、5択での出題と様々ですが、正答での出題確率が80%を超えています。
◇令121条は、一級建築士試験でも、出題確率の高い事項で、完全習得しても損はないと思います。
◇加えて重視しているのは、R2改正法なので、出題実績はないですが、令121条4項です。
◇「準竪穴区画」同様に、法27条の緩和条項挿入で、規制が外れた部分をフォローする新設規定です。
◇原則、2方向避難を要しますが、3階建て200㎡未満の建築物への2方向避難を求めない規定です。
◇条件は、準竪穴区画同様に、対象用途と規制内容を、一号と二号に区分けしています。
◇階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物への緩和に注意が必要な条項は、次のような事項です。
・特殊建築物の防火規制緩和(法27条)
・竪穴区画の規制緩和(準竪穴区画:令112条12項13項)
・2方向避難の緩和(令121条4項)
・敷地内通路幅(令128条)
・定期報告制度(法12条)
◇排煙設備設置要求の基本事項(原則4つ)と、ただし書き緩和条文。
① 別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物で500㎡超えるもの
② 階数が3以上で、延べ面積が500㎡超える建築物(高さ31m以下で、100㎡毎に防煙壁で区画されたものを除く。)
③ 無窓居室(令116条の2第1項二号)
④ 延べ面積が1,000㎡をこえる建築物の居室でその床面積が200㎡を超えるもの(高さ31m以下で、100㎡毎に防煙壁で区画されたものを除く。)
加えて、令116条の2第1項ただし書き(排煙設備を必要としない建築物の居室)
◇非常用照明設置要求の基本事項(原則5つ)と、ただし書き緩和条文。
①別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物の居室
②階数が3以上で、延べ面積が500㎡を超える建築物の居室
③無窓居室(令116条の2第1項一号に該当するもの)
④延べ面積が1,000㎡をこえる建築物の居室
⑤これらの居室から地上に通ずる階段、廊下等の通路⇒ただし、採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。(①~④は居室への規制だが、⑤は通路への規制である。)
加えて、令126条の4ただし書き(設置義務が除外されているもの)
◇あと出題傾向から、令120条の歩行距離の表も、問いかけに数値が回答できるようにしたい。
2022年3月16日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
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