2021年(令和3年)の試験問題解説を軸に、過去の出題傾向を踏まえて、重点事項と出題予測推論を加えて解説していきます。
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アド
レスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験 すると、マトリックスの表が表示されますので、
「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。
〔No.15〕容積率と建蔽率に関する記述で、正しいものを選択する問題です。「誤り」を選択する問題は、得意な人が多いですが、「正しい」ものを選択する問題は、意外と皆さんの弱点のようです。注意しましょう!
1. 誤り。令2条1項四号ただし書き
容積率算定用延べ面積控除(算入しない)規定が、令2条1項四号に記述されているが、昇降機塔の建築物の屋上部分は、含まれていない。原則、令2条1項四号において、延べ
面積が定義され、建築物の各階の床面積の合計によるとしており、ただし書きで「法52条第1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率
の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。」としています。
2.誤り。令2条1項ただし書き四号、同3項六号
宅配ボックスの容積率算定用控除面積は、1/100を限度としているので、1/50は基準に適合しない。ただし書き四号の規定を受けて、具体的数値が、令2条3項に記述されてい
ます。
自動車車庫等部分・・ 1/5
備蓄倉庫部分・・・・ 1/50
蓄電池設置部分・・・ 1/50
自動発電設設置部分・ 1/100
貯水槽設置部分・・・ 1/100
宅配ボックス・・・・ 1/100
3.誤り。法53条6項一号
建蔽率8/10地域内で、防火地域内の耐火建築物への建蔽率の制限はない。なお、建蔽率8/10地域外であっても、法53条3項一号に基づき、防火地域内、準防火地域内の耐火建
築物には、1/10の緩和があり、同二号に基づき、特定行政庁による角地の指定のある場合の1/10の緩和があるので、両方を加算でき、結果、建蔽率は10/10となる。
4.誤り。法53条の2第2項:最低限度は、200㎡を超えてはならないとしている。条文参照。
5.正しい。法52条6項:容積計算不算入(緩和)事項が規定されている。
・すべての建築物の昇降機の昇降路部分は、容積率算定用床面積の控除部分である。
・共用廊下、階段部分に関しては、住宅及び老人ホーム等が、控除部分である。
なお、法52条3項に規定する、住宅、老人ホーム、福祉ホーム等の天井が地盤面から1m以下にある地階部分の居室の床面積についても、1/3を限度として、容積率算定用床
面積控除ができる規定がある事にも注意する必要がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/45/3ea9330cb3091f26388f46b915417cca.jpg)
〔No.16〕図形計算問題で、許容延べ面積を求める問題です。
原則:計算に採用する容積率において、幅員12m未満の前面道路に接する場合は、問題にある都市計画による容積率との比較で、道路幅員に係数をかけた数値以下とする必
要がある。通称「道路容積率」と称しているが、住居系用途地域「4/10」、その他の用途地域「6/10」と規定されている。
なお、2面以上の道路に接する場合、広い道路幅に接しているとして算定できる。
また、2以上の用途地域に渡る場合は、各地域内で計算して合算する、通称「面積加重平均」で算定する。
◇法52条2項:前面道路が12m未満の場合、道路容積率以下であることを要求。
2つ以上の道路がある場合には最大幅で計算(広い道路幅で計算)。
⇒都市計画容積率(図に記載)と計算した道路容積率の厳しい方で算定する。
◇法52条2項一号、二号(住居系):道路幅に乗ずる係数は4/10(本問は共に住居系)
同三号(住居系以外) :道路幅に乗ずる係数は6/10
◇法52条7項:各部分の敷地面積の割合に乗じて得たものを合計する。(面積加重平均で算出)
◇法52条9項:特定道路は問題文で影響しないと定義。
◇令2条1項一号、法42条2項(みなし道路境界線による敷地算出)
(宅地との間の4m未満の道の場合は、道の中心線から2mの位置が道路境界線)
◇容積率算定
・第一種低層住居専用:(道路容積率)6m×4/10=24/10>20/10(都市計画容積率)
・第一種住居地域:(道路容積率)6m×4/10=24/10>30/10(都市計画容積率)
◇第一種低層住居専用の延べ面積の最高限度:(11-1)×15×20/10=300㎡
◇第一種住居地域の延べ面積の最高限度:10×15×24/10=360㎡
∴建築物の延べ面積の最高限度:300+360=660㎡・・・正答「2」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/a9/6fd3ce9849f9a241afe89d5a8dfba128.jpg)
【蚯蚓の戯言(建蔽率・容積率)】
◇少しずつ、改正法が導入されてきていることには、注意しています。
◇当然過去問にはないので、対面講座の演習では、オリジナル問題で演習します。
◇準備が一苦労なのですが、新しい問題を考えるのも、楽しいものです。
◇R3年試験でも、簡単な部分から少しずつ改正法が挿入されてきています。
◇中でも建蔽率計算で、準防火地域の1/10緩和に関する問題が未出題なのが気がかりです。
◇改正法ではないですが、防火地域内の準耐火建築物への緩和がない規定との関連問題には注意です。
◇一方で、防火地域内の耐火建築物への建蔽率適用なしの規定の出題率が高い。
◇注意事項は、用途地域(二号から四号までの地域)と建蔽率(8/10地域内)で制約されていることです。
◇容積率計算では、地階部分(地盤面下1m以下部分)の1/3不算入条項の図形計算問題が弱点かも?
◇法52条6項の昇降路部分と、住宅の共用部分の容積率面積不算入規定も、受講生の弱点部分。
◇容積率計算では、図形問題に注意が注がれがちですが、意外と、3項6項が落とし穴です。
◇出題傾向の表を参照して、重要であることを認識していただければと思います。
2022年3月23日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アド
レスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験 すると、マトリックスの表が表示されますので、
「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。
〔No.15〕容積率と建蔽率に関する記述で、正しいものを選択する問題です。「誤り」を選択する問題は、得意な人が多いですが、「正しい」ものを選択する問題は、意外と皆さんの弱点のようです。注意しましょう!
1. 誤り。令2条1項四号ただし書き
容積率算定用延べ面積控除(算入しない)規定が、令2条1項四号に記述されているが、昇降機塔の建築物の屋上部分は、含まれていない。原則、令2条1項四号において、延べ
面積が定義され、建築物の各階の床面積の合計によるとしており、ただし書きで「法52条第1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率
の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。」としています。
2.誤り。令2条1項ただし書き四号、同3項六号
宅配ボックスの容積率算定用控除面積は、1/100を限度としているので、1/50は基準に適合しない。ただし書き四号の規定を受けて、具体的数値が、令2条3項に記述されてい
ます。
自動車車庫等部分・・ 1/5
備蓄倉庫部分・・・・ 1/50
蓄電池設置部分・・・ 1/50
自動発電設設置部分・ 1/100
貯水槽設置部分・・・ 1/100
宅配ボックス・・・・ 1/100
3.誤り。法53条6項一号
建蔽率8/10地域内で、防火地域内の耐火建築物への建蔽率の制限はない。なお、建蔽率8/10地域外であっても、法53条3項一号に基づき、防火地域内、準防火地域内の耐火建
築物には、1/10の緩和があり、同二号に基づき、特定行政庁による角地の指定のある場合の1/10の緩和があるので、両方を加算でき、結果、建蔽率は10/10となる。
4.誤り。法53条の2第2項:最低限度は、200㎡を超えてはならないとしている。条文参照。
5.正しい。法52条6項:容積計算不算入(緩和)事項が規定されている。
・すべての建築物の昇降機の昇降路部分は、容積率算定用床面積の控除部分である。
・共用廊下、階段部分に関しては、住宅及び老人ホーム等が、控除部分である。
なお、法52条3項に規定する、住宅、老人ホーム、福祉ホーム等の天井が地盤面から1m以下にある地階部分の居室の床面積についても、1/3を限度として、容積率算定用床
面積控除ができる規定がある事にも注意する必要がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/45/3ea9330cb3091f26388f46b915417cca.jpg)
〔No.16〕図形計算問題で、許容延べ面積を求める問題です。
原則:計算に採用する容積率において、幅員12m未満の前面道路に接する場合は、問題にある都市計画による容積率との比較で、道路幅員に係数をかけた数値以下とする必
要がある。通称「道路容積率」と称しているが、住居系用途地域「4/10」、その他の用途地域「6/10」と規定されている。
なお、2面以上の道路に接する場合、広い道路幅に接しているとして算定できる。
また、2以上の用途地域に渡る場合は、各地域内で計算して合算する、通称「面積加重平均」で算定する。
◇法52条2項:前面道路が12m未満の場合、道路容積率以下であることを要求。
2つ以上の道路がある場合には最大幅で計算(広い道路幅で計算)。
⇒都市計画容積率(図に記載)と計算した道路容積率の厳しい方で算定する。
◇法52条2項一号、二号(住居系):道路幅に乗ずる係数は4/10(本問は共に住居系)
同三号(住居系以外) :道路幅に乗ずる係数は6/10
◇法52条7項:各部分の敷地面積の割合に乗じて得たものを合計する。(面積加重平均で算出)
◇法52条9項:特定道路は問題文で影響しないと定義。
◇令2条1項一号、法42条2項(みなし道路境界線による敷地算出)
(宅地との間の4m未満の道の場合は、道の中心線から2mの位置が道路境界線)
◇容積率算定
・第一種低層住居専用:(道路容積率)6m×4/10=24/10>20/10(都市計画容積率)
・第一種住居地域:(道路容積率)6m×4/10=24/10>30/10(都市計画容積率)
◇第一種低層住居専用の延べ面積の最高限度:(11-1)×15×20/10=300㎡
◇第一種住居地域の延べ面積の最高限度:10×15×24/10=360㎡
∴建築物の延べ面積の最高限度:300+360=660㎡・・・正答「2」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/a9/6fd3ce9849f9a241afe89d5a8dfba128.jpg)
【蚯蚓の戯言(建蔽率・容積率)】
◇少しずつ、改正法が導入されてきていることには、注意しています。
◇当然過去問にはないので、対面講座の演習では、オリジナル問題で演習します。
◇準備が一苦労なのですが、新しい問題を考えるのも、楽しいものです。
◇R3年試験でも、簡単な部分から少しずつ改正法が挿入されてきています。
◇中でも建蔽率計算で、準防火地域の1/10緩和に関する問題が未出題なのが気がかりです。
◇改正法ではないですが、防火地域内の準耐火建築物への緩和がない規定との関連問題には注意です。
◇一方で、防火地域内の耐火建築物への建蔽率適用なしの規定の出題率が高い。
◇注意事項は、用途地域(二号から四号までの地域)と建蔽率(8/10地域内)で制約されていることです。
◇容積率計算では、地階部分(地盤面下1m以下部分)の1/3不算入条項の図形計算問題が弱点かも?
◇法52条6項の昇降路部分と、住宅の共用部分の容積率面積不算入規定も、受講生の弱点部分。
◇容積率計算では、図形問題に注意が注がれがちですが、意外と、3項6項が落とし穴です。
◇出題傾向の表を参照して、重要であることを認識していただければと思います。
2022年3月23日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士