福江港にて
島の子どもたちにとって、「先生」は目の前を通過していく存在であるようだ。
島に赴任してきたかと思うと、数年後には再び島から去っていく。
子どもたちにとって「先生」とはそんな一過性の存在なのだ。
にもかかわらず、子どもたちはお世話になった先生方の旅立ちを精一杯演出する。
港にはたくさんののぼりや手作りの看板が立ち並び、
ブラスバンドの演奏が流れ、それぞれの校歌を歌う子どもたちの声が響き合う。
フェリーの上からは虹色の紙テープが垂れ下がり、
旅立っていく先生と、それを見送る子どもたちとをつなぐ。
先生も子どもたちも目に涙を浮かべながら、互いにエールを送り合う。
出航を知らせる汽笛の音が鳴り響くと、船は次第に岸壁を離れていく。
小さくなっていく船の後ろ姿を、子どもたちは最後の最後まで追いかけていく。
この光景を、私は涙なしには見ることができない。
先日ニュースで道徳を徳育という教科に格上げしようとする動きがあることを知った。
こころを点数で評価することが一体どうやったらできるのか、私には分からない。
一番大切なことは、どれだけ子どもたちと正面から向き合ったか。
子どもたちのこころはおとなたちとの関わり合いの中で必ず成長するものだ。
島の旅立ちの儀式を眺めながら、そんなことを考えた。
明日から新年度が始まる。私も島に来てからはや1年。
一期一会の縁を大切にしながら、来年度も引き続き島の生活を楽しむぞ!
お世話になった先生方へ
先生方の新天地でのご活躍を心よりお祈りしています!
またどこかで会えますように