7月5日は、すべての検査結果を告げられた日だった。
「骨に転移はしていません」と言われたときは、本当にホッとした。
がん細胞は胸にだけとどまっているので、そこを取り除けば生存の確率は高いですと言われた。
生き延びられると思った。
もちろん、手術に成功するまでは、手放しで喜べないが。
それから、私のがんは、2種類ともたちの悪いものではないらしく、そう難しくはないようなのだ。
不幸中の幸いとはこのことか。
更に、治療には抗がん剤は使わずに、ホルモン療法を行うという。それもいい知らせだった。
抗がん剤を使うと、頭髪をはじめ身体中の毛が抜けてしまうと聞いていた。それは、手術以外にもう一つ苦痛が重なる。それがないだけでも、私はラッキーだと思う。
でも、T先生はそれも乗り越えてこられた。本当に大変だったと思う。
T先生の経験談を聞いていなかったら、私は冷静に告知を聞いてはいられなかったと思う。決して前向きにはなれていなかったと思う。
ここまで分かってから初めて、父親には乳がんのことを話した。