脱皮型成長をする動物を見ると、たまには他の何かに皮を破ってもらって脱皮する動物があるかもしれないが、ほとんどは自分が脱皮して成長します。そうでないと自分は皮の中で死んでしまいます。
日本の政治の成長を見てみると、江戸幕府は明治維新で死んで、明治維新政府が誕生しました。德川家は脱皮に失敗しました。江戸幕府の皮はどんどん厚くなり、幕府は皮の中で弱り、自分で皮を破れないまま、薩長同盟に攻撃され、皮を破られ、中の幕府は滅びてしまいました。
明治維新政府は、アメリカ・ヨーロッパから成長の方法を学んでやっている間は成長路線を歩んでいたのですが、自分は強くなったと思うようになると、アメリカ・ヨーロッパから帝国主義という古くさい政治をまねるようになりました。日清戦争、日露戦争、太平洋戦争は帝国日本の戦争でした。
太平洋戦争時代の日本の皮は非常に厚く、その中で政府はどんどん弱っていました。皮はアメリカにどんどん破られ、政府は降参しました。アメリカは政府存続をゆるさず、新憲法の下、新政府をつくらせました。認められたのは皇室の存続で、その他の貴族階級は消滅しました。存続した皇室は政治権限を許されませんでした。降伏という方法でしたが、平和に貢献したということで平和を祈る機関として活動することになりました。
やはり新政府はアメリカ・ヨーロッパから成長の方法を学んでやっている間はめざましい成長路線を歩歩んでいたのですが、調子にのってアメリカへの輸出をどんどん増やしたら、恩をあだで返すのかと、1980年代、痛烈なジャパンバッシングを受けました。また日本は降伏してアメリカの下にいることを受け入れました。
日本の資本家は国内生産に投資できなくなり、不動産に投資しました。結果は悲惨で不動産バブル破裂です。銀行系資本は意気消沈、産業系資本は中国に投資先を求めました。
その後は日本は低迷です。生産の喜びがないので日本は元気がでません。産業系資本は肥え太ったのですが、資本は海外で活用するだけです。日本人の貧困化が始りました。
アメリカの下に甘んじるという皮を厚くしていった自民党政府は弱る一方です。皮は厚くする、自分は弱るだけですから、現状悲劇です。現在の政治家は総保守で皮を破る力はありません。つまり日本は脱皮できません。
それでは誰が皮を破るでしょうか。人々も総保守でしょう。自民党政府が偏って支援する産業ではない産業が自民党などの既存政党を捨て、新政治家を育てる確率はあります。しかしまだ情熱的な政治家は現われていません。産業界もそこまで決意しているようには見えません。苦悶が続くということでしょう。
今後誕生し、皮を破る政治家は、強大国から中立、防衛より国内生産重視、原子力利用を廃止、省エネルギー・自然エネルギー・蓄エネルギー技術重視、消費税廃止・消費抑制を狙った物品税強化、金持ちの協力をより大きく求める税制、無理無駄排除、省資源・省力重視、教育・科学・技術重視、生活生産環境重視、緑アップをうたうのではないでしょうか。意外に新興国に受け、永続的な共存共栄がはかれるのではないでしょうか。
隣国の脅威を煽る政治家は危険です。人々から生産する喜びを奪います。