国際原子力機関(International Atomic Energy Agency)(IAEA)は、各国の平和的原子力利用を推進する国際機関です。原発が人類に有益か有害かまじめに研究している機関ではありません。IAEAの安全基準は決して原発を否定することはありません。原子力利用を続けるにはしょうがないと言って認めざるをえない基準が安全基準となります。立場は日本の原子力安全規制委員会に相似します。
日本はトリチウム汚染水を海洋に投棄しているが、絶対的な安全性のお墨付きを正当な国際機関からもらったと思っていることは非科学的です。トリチウム汚染水を海洋投棄することは不道徳です。少量でも糞尿海洋投棄が不道徳であることと同じです。
原発を利用し続けるという条件下で相対的な安全性を認められたと認識し、海洋投棄は最善ではないという考えで別のよりよい処理法の開発を続けることが正しい行動です。今の日本の行動は改善改革の精神を忘れた諦念思考です。
東京電力福島第一原発(事故原発)2号炉の燃料デブリ除去試験で予定を延期し続けていますが、除去計画が甘い状態で試行錯誤を続けている印象を受けます。青森県の六ケ所村の原子燃料サイクル施設がいつまでたっても完成しないパターンと同じパターンになる恐れを感じます。
若い人々は原子力の将来性に疑問を持っています。希望をもって原子力分野に就職する優秀な人はいないのではないでしょうか。若い人が原子力分野を避ける行動は必然です。
現存の原子力技術者は高齢化していきます。不安はつのり、疲れ、問題解決に取り組む姿勢は弱くなります。東京電力あるいは国は大金で原子力会社に技術開発を依頼するしかありません。しかし会社が大金を積んでもらってもできないという諦念思考になる恐れが生じるでしょう。
永遠に恐怖の福一になる恐れが大きくなっています。まずは巨大容器で福一を閉じこめ、いかなる地震津波にあっても臨界状態にならない状態を保つ工夫努力が安全確保に必要ではないでしょうか。巨大容器建設は通常の土建技術ででき、意欲をもって取り組む技術者は多いと思います。