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宇宙の漆黒 地球の輝き

2021-11-14 09:44:45 | 日記
 12日の朝刊に宇宙飛行士野口聡一の宇宙滞在記が出ていた。宇宙に興味を抱いたきっかけやISSで半年間の滞在経験を豊富に語っている。例えば『青とはどんな青?』ではガガーリンの「地球は青かった」で有名ですが確かに地球は青かったですがそれ以上に『まぶしさ』が印象的でした。太陽の光を反射する地球の圧倒的なまぶしさに驚いたと言っておられます。そして光まばゆい地球と、真っ黒な世界である宇宙のコントラストに衝撃を受けたそうです。
 宇宙のその「黒」とはどんな黒さなのかの質問に「漆黒でしょうか。地上で見る物体の黒はあくまでそれに反射した光の色からの黒です。でも宇宙では、光は永遠に真っ暗な世界に吸い込まれたまま、戻ってきません。だから、漆黒と言っても色とは違う。何もない黒です。同時に地球のまぶしさに目が慣れて宇宙の天体の光がほとんど感知できないための黒でもあります。
 ISSでの感想では「船外活動で地球の『まぶしさ』と宇宙の『闇』を同時に見たとき、生命があふれる地球と完全なる死が満ちている宇宙とが、ごく薄い大気の層を挟んで向かい合っている。船外活動で身ひとつで宇宙空間に出てゆくのは、この世とあの世の間に流れる『三途の川』を渡るような感覚だった。
今回『心底、恐ろしい』と痛感したことは地球の昼の時の45分間、足元でまぶしく光る地球が見えますが頭を向けている宇宙の方は真っ暗なんですよ。ヘッドライトの光を何も反射しないので太陽の光があっても何も見えない空間が目の前にある。昼間の世界なのに暗い。『これはやばい』と思ったそうです。
 地上で最も心が安定するポーズが座禅を無重力状況では難しい。「上・下」や「縦・横」が消える世界で宇宙に人類が進出した将来、『上下関係』という規範も意味をなさなくなるかもしれません。「人に頼らず自分の足で立て」の表現も「将来的には失うかもしれません。『大地に根を下ろす』という言葉も地上ではそうでも宇宙では上下関係がないため光合成を行える場所ならばどこへでも根は伸びる。
 宇宙へ行くとは『引き算の世界』で「宇宙に飛び立つと何かが欠けてゆく。地球の家族友人との物理的な距離、ロケットの燃料が減り重力もなくなる。食べ物も制限される。宇宙は永遠に続く『引き算の世界』で地球は必要なものが全部あるパラダイスであるという意味をよく理解できます。
 以上が宇宙飛行士野口聡一さんのインタビューである。そしてご自身『モルモットからの脱却』を果たし自分自身で宇宙体験を研究したいと思っておられます。
 余談ながら野口聡一さんは1965年4月のお生まれで私のふた回り下の巳年生まれでなにか巳年という同じ干支で親近感を覚えた次第である。