12月初旬、大分県の海岸でノジギクの花を楽しむ
この花が咲き乱れる時期になると、いよいよ冬の到来
長崎の海岸では、シマカンギクが咲き乱れるが、大分県ではノジギク一色
九州の西と東では、ずいぶんと様子が異なるものだ
こちらは葉が白く縁どられるアシズリノジギク
分布は狭く、高知・愛媛・大分・宮崎
なんの目的もなく、長目半島の先端までバイクで行ってみると、道沿いにノジギクが見られた
長目半島泊ヶ内の飛潮鼻付近に、一部だけ樹木が生えていないところが見えたので、好奇心から登ってみる事に
断崖を木にしがみつきながら登ってみると、絶景が広がる
臼杵、津久見、佐伯付近の海は、そこで暮らす人、訪れる人は少なく、静かに大自然を満喫できるところが良い
ノジギクは、2倍体リュウノウギクと4倍体シマカンギクの交雑が起源となっているようだ
さらに6倍体のノジギクから高次倍数体が形成され、8倍体のサツマノギク、10倍体のオオシマノジギクが発生したとの説があるが、系統樹上での位置関係がどのようになっているのかは、私が調べた範囲では、よくわからなかった
現在では、すでに分子系統解析が行われているのかもしれないが、素人には知る由もない
これらのノジギク群を形態的に区別するのは難しいようで、葉裏の毛の疎密がポイントとなるようである
すなわち、ノジギクの毛は疎ら、サツマノギクの毛は蜜で白く見え、この中間的なものがオオシマノジギクだというのである
ちなみに前述したアシズリノジギクに関しては、2n=54の6倍体で、ノジギクと同様である
アシズリノジギクの葉裏の毛量は、下図のごとくノジギクより多くて白っぽく見える
長目半島では、道路沿いのコンクリート法面でノジギクが花を咲かせていた
コンクリートの小さなひび割れから茎をのばして花を咲かせている
水分はどのように得ているのだろうか?
学名:Chrysanthemum japonense (Makino) Nakai
和名:ノジギク(野路菊)
キク科 キク属
撮影 2022年12月 大分県
初版 2021年11月24日
記事アップロード 2022年12月21日
画像アップロード 2022年12月04日 2022年12月11日
以下アーカイブ
記事アップロード 2021年11月24日
画像アップロード 2021年11月24日
11月に見つけた野草の花(大分県)
アシズリノジギク(足摺野路菊)
Chrysanthemum japonense (Makino) Nakai var. ashizuriense Kitam.
キク科 キク属
花 期 : 10~12月
生育地 : 海岸付近の岩場、崖地、路傍
分 布 : 高知県、愛媛県、大分県、宮崎県
RL指定 : 環境省カテゴリ:なし 大分県:準絶滅危惧種
大分県の海岸に自生するアシズリノジギク
荒れた海が目前に迫る崖地で花を咲かせていた
分布が限られるノジギクより更に狭い範囲に自生するアシズリノジギクは、ノジギクの変種(var.)
大分県では、姫島、国東海岸、豊後水道域に分布する
花はノジギクと同じだが、葉の様子が異なっている
葉の表は、ノジギクと異なり、白く縁どられているように見える
拡大してみると、白く細かい毛が密生しているのがわかる
葉裏も毛が多い
アシズリノジギクは草丈40~80cm程のキク科多年草で、基準種のノジギクは小菊(栽培菊)の原種と言われている
根茎は匍匐して茎を叢生し、茎には灰白色の毛が密生し、斜上して上部は多く分枝する
葉は羽状で、3~5中裂し、縁は白く縁取られ、裏面には灰白色の毛が密生する
頭花は径3cm程で、中央に集まる黄色の筒状花の周りに、白い舌状花が並ぶ
筒状花と舌状花
ノジギクやアシズリノジギクの花は、大分に冬の訪れを告げる風物詩だろう