昨年ソナレノギクを見つけた海岸に行ってみると、今年も花を咲かせていた
大分県のレッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類に分類されている植物である
ソナレノギクは、ヤマジノギクの海岸型変異種で、茎や葉に毛が少なく、葉に厚みがあり光沢がある
草丈50~100cmの二年草で、茎はほぼ無毛で太く、基部から分枝し、直立する
下部の葉はさじ型両面無毛、葉縁にまばらに毛がある
ヤマジノギクの葉や茎に毛が多いのに対して、ソナレノギクは毛が少ない(下図参照)
総苞片の毛に関してもヤマジノギクより少なく、目立たない(下図参照)
尚、外側に見えているものは、総苞片ではなく、上部の茎葉で、ヤマジノギクおよびソナレノギクの総苞片は2列と言われている
ソナレ(磯馴)とは生態を表わす言葉で、磯に馴れるとの意味で、海岸の岩場に適応していることを示す
海岸の環境は潮風や強い紫外線、波しぶきなど、植物にとっては過酷であり、それらに対応すべく葉や体全体を、厚く、丈夫にしたのである
解剖学的解析の結果、ソナレノギクの葉は、横断面縦軸方向の細胞数の増大と、同方向に対する細胞間隙が大きくなることによって多肉化した事が判明した
ヤマジノギクとソナレノギクの集団遺伝学的解析を行った結果、異種間にほとんど変異は認められず、ソナレノギクが海岸地に適応した背景には、葉形成の際の細胞の肥大期間や細胞数の増加期間が延長することによる形態形成し、また、それらは近年分化したものという結論を得た
【キク科ハマベノギク属の形態的適応に関する研究】より抜粋
この論文を読んで、シマシャジンの事が頭に浮かんだ
ゲノム解析で、サイヨウシャジンと同一種とされたようだが、ひょとして、ソナレノギクと同様に細胞の肥大や細胞数の増加により形態の差が生じたのではないのか?
シマシャジンも海岸付近に自生しているので、サイヨウシャジンの海岸型だったりして
海岸に生息するサイヨウシャジンが、茎の伸長により、輪生であった葉が互生となり、花冠が巨大化し、シマシャジンに変化した
花冠は大きくなったが、花柱はあまり大きくならなかったので、花柱は花冠の中に隠れるようになった
下図をみると、花冠だけが大きくなり、花柱や萼片はあまり大きくなってないように見えませんか?
いつものように素人のたわごとなので、あまり真に受けないでくださいね
学名:Aster hispidus Thunb. var. insularis (Makino) Okuyama
和名:ソナレノギク(磯馴野菊)
キク科 シオン属
撮影 2022年11月 大分県
初版 2021年11月14日
記事アップロード 2022年11月29日
画像アップロード 2022年11月22日
以下 アーカイブ
記事アップロード 2021年11月14日
画像アップロード 2021年11月14日
11月に見つけた野草の花(大分県)
ソナレノギク(磯馴野菊)
Aster hispidus Thunb. var. insularis (Makino) Okuyama
キク科 シオン属
花 期 : 10~11月
生育地 : 海岸付近の岩場、林縁、草地
分 布 : 四国(西部)~九州(東部)
RL指定 : 環境省カテゴリ:なし 大分県:絶滅危惧Ⅱ類
大分県南部の海岸付近で、ソナレノギクを発見した
ヤマジノギクの海岸型変異種で、茎や葉に毛が少なく、葉に厚みがあり光沢がある
花はヤマジノギクと差異なく、薄いピンクの舌状花は、どこにでもある質素な野菊の様相であるが、分布各県でレッドリスト入りしている貴重な野菊なのである
観察個体は、葉の向軸面が茎に沿うように斜上していた
基本種のヤマジノギクは、茎や葉、総苞に毛が多いが、ソナレノギクにはほとんど毛が見られない
総苞片は2列との事だが、上部の細い茎葉が総苞片のように見えて紛らわしい
ヤマジノギクの総苞片には毛が多く生えているが、ソナレノギクにはほとんど見られない
頭花は、筒状花と舌状花からなる
ソナレノギクは、草丈50~100cmのキク科二年草
茎はほぼ無毛で太く、基部から分枝し、直立する
下部の葉はさじ型で、厚く、光沢があり、全縁、両面無毛だが、葉縁にはまばらに毛がある
頭花は径5cm程で、舌状花は淡紅紫色で2cm程、両性筒状花は黄色で長さ5mm程
キク科の花は、雄性先熟なので、ソナレノギクの筒状花も同様だろう
総苞片は2列で、披針形、先が尖る
太い主茎が崖から垂れ下がり、多数分枝している
海岸型の植物は葉が厚いものが多いが、水分を蓄える為の工夫だろうか?