晴天下の塩生湿地を散策していると、沢山のフクドが花を咲かせていた
花に近づいて観察していると、香りを感じる
強いメロンの香りと表現されているが、私には柑橘系の香りに感じた
ヨモギ系の植物の花は、地味で目立たない
フクドの花も地味な色の筒状花のみで、まるで華やかさがなく、人に好まれるものではない
しかし、海岸の開発等により生息地を奪われ、環境省のレッドリスト入りしている希少な植物なのだ
塩生湿地に自生する植物は、フクドの他にもウラギクやハマサジのようにレッドリスト入りしている植物が非常に多い
これらの植物が生育できる場所は極限られており、しかも年々減少しているのだ
すでに、ウラギクの項で述べたように、塩生植物は塩の蓄積による光合成の停止(塩害)に対応するため、様々な工夫を行っている
それにより、普通の植物が生育できない環境に適応し、競合の少ない場所に進出できたのだ
河口の汽水域に群生するハマサジ
フクドは汽水域の塩性湿地等に生育するヨモギ属の二年草、近畿以西~九州に分布する
一年目は、根本に集まる丈の低い葉の状態で過ごし、二年目に花茎を伸ばし、花を咲かせて更新する
発芽率に影響する環境水分中の塩分濃度は、ハマサジ等と比較して高い濃度においても影響が少ないようで、汽水域のより広い範囲に自生が可能であると推測される
学名:Artemisia fukudo Makino
和名:フクド 別名ハマヨモギ
キク科 ヨモギ属
環境省準絶滅危惧種
拡大して示したフクドの筒状花と一年目の葉の様子
初版 2021年11月12日
記事アップロード 2022年11月1日
画像アップロード 2022年10月29日