10月に見つけた野草の花
フトボナギナタコウジュ(太穂薙刀香需)
Elsholtzia nipponica Ohwi
シソ科 ナギナタコウジュ属
花 期 : 9~11月
生育地 : 林縁、草地、路傍
分 布 : 宮城県以西~九州
RL指定 : なし
撮影 10月 大分県
ナギナタコウジュ属植物は、全世界で43種が知られており、その多くがヒマラヤ周辺に分布している
日本に産するナギナタコウジュ属の植物は、ナギナタコウジュ、フトボナギナタコウジュ、ニシキナギナタコウジュの3種である
フトボナギナタコウジュは、小花序数が多く花序が太いことから、ナギナタコウジュやニシキナギナタコウジュとは形態的に異なる
フトボナギナタコウジュの学名は、Elsholtzia Argyi var nipponicaとされ、中国原産の紫花香薷(zi hua xiang ru)の変種と扱われていたが、現在は、Elsholtzia nipponicaが標準となっており、独立種と考えられているようだ
ナギナタコウジュ(画像左)とフトボナギナタコウジュ(画像右)の花序の比較
長野県の美ヶ原において、既知の日本産ナギナタコウジュとは異なり、小型化した個体が多数発見された
核ITS領域に基づいた系統解析で、この小型化した個体は、日本産ナギナタコウジュ(長野)および大陸産ナギナタコウジュ(韓国)と遺伝的に区別された
また、長野産と韓国産のナギナタコウジュにおいても、遺伝的に大きく離れており、ナギナタコウジュ属の分類において再考の必要性が示唆された
参考資料)
日 本の中部山岳域におけるナギナタコウジュの分子系統 高山生態型の発見とユーラシア大陸産ナギナタコウジュとの遺伝的差異
田路翼 市野隆雄
初版 2023年11月01日
画像アップロード 20231025
記事アップロード 20231101