7月に見つけた野草の花(熊本県)
アソタイゲキ(阿蘇大戟)
Euphorbia pekinensis Rupr. subsp. asoensis T.Kuros. et H.Ohashi
トウダイグサ科 トウダイグサ属
花期 : 6~7月
生育地 : 山地の草原
分布 : 熊本県、宮崎県
RDB指定 : 環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類
アソタイゲキの花期は、タカトウダイより早いとの事なので、すでに2021年6月中旬に花の観察は済ませている
そろそろ果実ができているのではないかという事で、今回再び自生地を訪れてみる事にした
予想どおり、果実の存在が認められたが、子房のふくらんだ花もまだまだ沢山みられる
自生地にて、まず観察個体の果実のいぼ状突起を撮影(肉眼では識別困難)し、アソタイゲキである事を確認
阿蘇の草原では、アソタイゲキとタカトウダイ両者が自生しているので、確認が必要なのだ
全体の姿を撮影したが、周辺の草に紛れてはっきりと識別できない
よって、画像処理を行い、不要な部分をモノクロ化した
アソタイゲキの特徴は
①タカトウダイに似るが、花期がタカトウダイより早く、草丈が低い
②分枝が少ない
③果実のいぼ状突起が円錐形である
撮影した下図の個体は、草丈が私の膝程度で、47cm程
タカトウダイの草丈は、70~80cmなので、それより小さい事になる
御覧の通り分枝は少ないが、この点はタカトウダイとの区別にはならない
子房は膨らんでいるが、花はまだ健在
花自体はタカトウダイと同じで、4つの雄花の中心から1つの雌花が伸び、子房の先に雌蕊がある
雄花は、雄蕊と楕円形の腺体があり、蜜を分泌する
若い果実が発生しており、表面には特徴的ないぼ状突起が見られる
タカトウダイとの区別は、このいぼ状突起を確認すると確実だという事だ
タカトウダイのいぼ状突起が半球形なのに対してアソタイゲキは円錐形
画像左が今回観察した個体で、右は倉木山で撮影したタカトウダイのもの
絶滅の危機に瀕していても、アソタイゲキのように花が地味で目立たない植物には注目が集まらない
ヒメユリやウチョウランが盗掘されれば、声を上げて怒りを表す人も、アソタイゲキが盗掘されても無関心だろう
しかし、そんな地味な植物でも、大切に保護し、後世に引き継いでいく事が大切なのではないだろうか?