7月に見つけた野草の花
キバナノショウキラン(黄花の鐘馗蘭)
Yoania amagiensis Nakai et F.Maek.
ラン科 ショウキラン属
花 期 : 6~7月
生育地 : 落葉樹林内
分 布 : 本州(関東以西)、四国、九州
RL指定 : 環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 7月 大分県
ショウキランは鮮やかな花を咲かせる事で、蜜を出すことなくマルハナバチに餌の存在を示唆し、送粉を達成しているわけだが、キバナノショウキランの場合、その望みは薄い
光合成を止めた事で、競合の少ない暗い場所へ進出できたのだが、送粉者の獲得には苦労し、自殖の多い植物となってしまったのだ
キバナノショウキランは、カマドウマに種子を運んでもらっていることがわかっている
一般的にラン科の菌従属栄養植物は、発芽時から栄養を菌に頼っているため、種子は発芽のための栄養源である胚乳を持っておらず、ほこりのように小さくて軽い
よって、風により散布されると考えられてきたが、風通しが非常に悪い林内において、風散布は非効率的であるのだ
ラン科の菌従属栄養植物の中にはツチアケビのように糖度の高い液果をつけ、鳥に種子散布を託すものがあるが、キバナノショウキランの場合は、低質の果肉でも利用してくれるカマドウマを選んだのだろう
他には、ギンリョウソウやキヨスミウツボに関してもカマドウマが種子散布を行っている事が判明している
参考資料
Independent recruitment of a novel seed dispersal system by camel crickets in achlorophyllous plants
Kenji Suetsugu
初版 2021年7月22日
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