to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

こわれゆく世界の中で

2007-10-30 00:44:10 | the cinema (カ行)
  人はあやまちをくりかえす
      切ないほどに求めるものがあるから

アンソニー・ミンゲラ監督の描く、愛を求めてもがく3人の男女のラブストーリー。

原題 BREAKING AND ENTERING
製作年度 2006年
製作国・地域 イギリス/アメリカ
上映時間 119分
監督 アンソニー・ミンゲラ
出演 ジュード・ロウ/ジュリエット・ビノシュ/ロビン・ライト・ペン/マーティン・フリーマン/レイ・ウィンストン/ヴェラ・ファーミガ

治安の悪いロンドンのキングス・クロスで、都市の再開発計画を進める建築家ウィル(ジュード・ロウ)。美しい恋人リヴ(ロビン・ライト・ペン)と彼女の娘ビー(ポピー・ロジャース)とともに暮らす彼は、オフィスの窃盗事件をきっかけに出会ったボスニアの未亡人アミラ(ジュリエット・ビノシュ)に心引かれ始める。 (シネマトゥデイ)

治安が悪い事を承知で進出した割りにセキュリティーが甘いオフィス。
いくらガラス張りでも、あんな位置から何の障害物もなく?とか、
出だしからちょっと突っ込みたくなりましたが、
愛しているのに充たされない、大人になっても少し青臭い男を
ジュードが繊細に演じています。

窃盗事件をきっかけに知り合うも、ウィルはその事をアミラに隠す。
そのくせ息子の部屋で盗品をチェックする。
どうも、ここら辺のウィルの行動の目的が曖昧。
娘のジムの帰りに会った時に一目惚れしたとも思えないし、再会した時に一瞬で惹かれたとも思えず、
その後の展開にこの割り切れなさがずっと尾を引いていたので、
アミラとウィルには好い印象を持てなかった。

ヨーロッパの方の結婚観はどうも私には分からないが、婚姻届より実質婚というものなのだろうか、
恋人のリヴは、娘の病気のことで自分を責め、ウィルにも引け目を感じており、素直に向かい合えない。
ロビン・ライト・ペンの容貌もあるのだろうが、この二人、「バベル」の夫婦に似ている。
傍にいるのに、心が触れ合えない、向かい合えない。
10年も夫婦同様に暮らしながら、結婚しない。けど、同居の娘には「パパ」として接しているウィル。
スタイリッシュな3人の家庭には、どこかひ弱さと虚しさが漂う。

一方のアミラの家庭は雑然としていて力強く生活臭に満ちているが、どこか崩れた感じで対象的な設定。

物語はふらふらと足げく通うウィルと、女の顔を取り戻したアミラのありきたりな
不倫メロドラマの様相を呈してくるが・・・

終盤まで、ウィルの"苦悩"する様子は描かれずクライマックスへとなだれ込んだ感じ。
ジュリエット・ビノシュがイヤになるくらいねっとりとした女を見事に演じ、
ジュードは優しさに隠れた男の中にある孤独とエゴを、
ロビン・ライト・ペンは、甘えられない女を見事に演じて
クライマックスは流石だった。
ちょっと甘いかな?と思える結末も、私的にはあれしかない気がする。
・・それにしてもこれだけ離婚が多いのだから、これからウィルのような男性は増えていくだろう。
と、いうことで、男性の方が観ると感じるところが多いかも
コメント (14)
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