to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

Dr.パルナサスの鏡

2010-02-03 23:58:34 | the cinema (タ行)
鏡の中は、わがままな願望でいっぱい
この迷宮から、
大切なひとを救えるのか──?

原題 THE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS
製作年度 2009年
製作国・地域 イギリス/カナダ
上映時間 124分
監督 テリー・ギリアム
脚本 テリー・ギリアム/チャールズ・マッケオン
出演 ヒース・レジャー/ジョニー・デップ/コリン・ファレル/ジュード・ロウ/クリストファー・プラマー/リリー・コール/トム・ウェイツ/ヴァーン・トロイヤー/アンドリュー・ガーフィールド

悪魔との契約で不死身を望んだ男を取り巻く人々の皮肉な運命を豪華キャストで描く。
 
鏡で人々を別世界に誘う見せものが売りの、パルナサス博士(クリストファー・プラマー)の移動式劇場はロンドンで大盛況だった。観客は博士の不思議な力で自分が思い描く、めくるめく世界を体験できるのだが、そこにはある秘密があった。トニー(ヒース・レジャー)はそのアシスタントとして観客を鏡の世界へと導く役目を担っていたが……。

舞台は2007年のロンドン。
パルナサス博士率いる怪しげな旅芸人一座がやって来る。
一座の出し物、摩訶不思議な装置“イマジナリウム”は実のところ今ひとつ人気が無い。
そんな時、博士の娘(リリー・コール)と彼女に想いを寄せるアントン( アンドリュー・ガーフィールド)は死にかけた謎の男を助けることになる…

驚いたことに舞台は現代のロンドンだったんですね~
謎の男・トニーの白尽くめのファッションからも時代は読み取れない怪しさがあり、
博士のこれまたどこぞの教祖を思い出させる白装束と、魔よけの為なのか白塗りのメイクに、
怪しさいっぱいの幕開けですが、
解りやすいストーリー運びに、鏡の中の世界に楽しく引き入れられました

トニーを4人で演じる不思議も、
鏡のこちら側を亡くなる前に全て撮り終えていたというヒースが一人で演じ、
鏡の中に飛び込んでいくたびに年齢も、骨格も違うジョニー、ジュード、コリンが演じて違和感が無い不思議も、
あの特徴的なマスクというアイテムが大いにプラスとなっていました

ブラザーズ・グリム」の方が私はワクワクしましたが、コチラも先の読めない面白さがあり楽しめました!
神の声を伝えていた博士が落ちてしまう、悪魔の甘いささやき。
1000歳の長い苦しみ。
そして―、幾つもの煩悩を抱えた人間の欲望が露わになる迷宮で、正しい選択をしていけるのか?
その案内役は、これが見納めのヒースです。。。

「チャリチョコ」にも通じるものがあった気がする、大人の童話的世界でした
悪魔は友人のような顔をして、案外私たちの傍らで、
愚かな私たちの下す選択を面白がってみているのかも・・と思ったことでした。


平日の夕方の上映に駆け込んだのですが、
公開されて日にちが経っていたこともあり皆さんはご存知だったのでしょうか、
劇中で使用されていたヒースの着信音が鳴り止んでも、場内で立ち上がる人はいませんでした。
ギリアム監督に信頼され、この作品を完成させるために彼の意思を引き継いでくれた映画界のスターに愛されたヒース。
突然の若過ぎる死は不幸でしたが、やはり映画人としての彼は幸せだったと思うし、
死後、2年も経って新作を観る事ができて、私も幸せでした。


この3人の出演料は、ヒースの娘(マチルダちゃん)に寄付されたという記事を思い出し、
忙しい自分の撮影のスケジュールを調整して集まった3人のスターが、より素敵に見えて温かな気持ちになれたのでした......