自分のものと誇れる“何か”をお前に残してやりたかった…
原題 LIFE AS A HOUSE
製作年度 2001年
上映時間 126分
脚本 マーク・アンドラス
監督 アーウィン・ウィンクラー
出演 ケヴィン・クライン/ヘイデン・クリステンセン/クリスティン・スコット・トーマス/ジェナ・マローン/メアリー・スティーンバージェン
自分の人生を見つめ直そうとする父と、息子の絆を描いたヒューマンドラマ。
建築事務所に勤めるジョージ・モンローは42歳の建築デザイナー。父親との確執が原因で、自分の息子ともうまくコミュニケーションがとれなかった。ついには妻にも逃げられ、上司との摩擦から会社もクビになる。挙げ句の果てに医者から余命3ヵ月との宣告を受けてしまう。再婚して幸せに暮らす妻。そしていまだに父を憎み続ける16歳になる息子。ジョージは初めて自分の人生に疑問を感じた。そして、昔からの夢だった自分の家を建て直すことを決意する。最後の夏、ジョージは反発する息子を無理やり手伝わせ、手造りの家を建て始めた……。(allcinema ONLINE)
近所付き合いもなくたった一人でイヌとのボロ家暮らしのジョージは、
CGが発達したこの時代にコンピューターを使わず、今だ手作りで家の模型を作っているアナログ人間。
しかしその仕事もクビになってしまったある日、突然倒れて図らずも癌の宣告を受ける。
その病院の付き添いの女性とのつかの間の触れ合いで、優しさを受けた彼は、
自分の孤独に過ぎた過去を思い知り、
残された僅かな時間で変えられる、変えなければならない一つの事に向かって行動を起こす―。
いい作品でした・・・。
冒頭、海辺の町の住人の紹介の仕方も、短く印象的に一枚の画に収められていく感じも、
みんながどこか傷ついたり、危ういバランスの上で生きているのを上手く映している。
だけど、そんなの何処にもにでもある風景でしょう~?みたいな。。。
仕事はしてきたものの、世捨て人みたいな覇気のない10年を送ってきたのは容易に想像できる42歳にしては老け過ぎなジョージ。
そのジョージと別れて、新たに子供2人にも恵まれて、何不自由なく幸せな生活を送っているはずのロビン。
二人の息子サムは16歳。新しい父にも馴染めず、本当にやりたい事を見つけられないで反抗期を迎えていた。
家族の想い出は、すなわち家の歴史―。
心の中にしこりとなっている古い、悲しい想い出を捨て去り、残された限りある時間で
自分の証となる「新しい家」を建てる。
それは自分の、これまで遣ってこなかった父親としての最良の選択だと信じて、嫌がるサムを強引に同居させ、たった一人で解体から始めるジョージ。
いままで無視していたくせに突然父親らしく振舞われても、「もう遅いよ」というあたり、
自分が足を踏み入れようとしていた道が、望んだものではない事に当然気づいていて、
罪悪感も持っている、ホントは不良ではないパンクなサム。
そんな彼を興味深くみつめる隣家の娘、アリッサとの触れ合いが少しクッションになり、
ランチを差し入れる口実でロビンまでが足繁く通ってきて…
古いものを取り壊し、新しいものをその手で立て直していく、元家族の肖像。
切羽詰らないと人間って、失ったものの大切さに気づかない。それは人であったり時間かも知れない。
それでも気づいたら、取り戻す努力はしよう!と思わせてくれる。
強いこころで。
涸れない愛情で―。
パンクな不良息子が、最初メイクの所為かヘイデンくんだと気がつきませんでしたが、
「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」のアナキンの前の作品。
この年頃のナイーブな表情がとってもいいです。「ジャンパー」などのアクション系じゃなく、こういうドラマの方が向いていると思うのですが。
ちょっと前に観た「モンタナの風に抱かれて」ではキツ過ぎて、綺麗なのに男性に見えてしまった
母親役のクリスティン・スコット・トーマス。このロビンも元夫にはきつかったけど(笑)
揺れながらも子供の手を離さない、悩める母親と妻の両方の顔をみせて、良かったです。
ちょっとした小さなすれ違いや不安が、取り返せない時間になる前に―
ふと立ち止まって、観て良かったと思える1本だと思います。