あなたはわたしの右の手を保たれる。 (詩篇七三・二三)
ひとりの旅行者が、案内人のあとに従って、アルプスの高所を進んでいた。
やがて、道が非常に狭くなっている所に来た。道の片側からは岩が突き出ており、
他の側は深い絶壁になっている。案内者はその難所を通り過ぎ、それから、一方の手で岩につかまり、
もう一方の手を絶壁の上に伸ばして、旅行者がそれを握って突き出ている岩を回って通過できるようにした。
旅行者はためらった。しかし、案内者は叫んだ。
「私のこの手は、これまでにただひとりの人命をも失ったことがないのです」。
旅行者は、その手を握って、すぐに、その危険な箇所を安全に通過することができたのであった。
私は主にすがりついたり
祝福を受けようと争ったりしない。
主が私の手を単純に
ご自身の御手の中に取って下さり、
私は自分の手をそこにいこわせる。
私はそのために
どんな小道も恐れない。
そしてねどんな荒海でもあえて行く。
私の手を握って下さるかたが
私の旅を安全にして下さるからだ。
愛する主よ、
私の手を握って下さい、
私の手を握って下さい。
L・B・カウマン著 「山頂をめざして」より