第60回なにわ臨床画像研究会が大阪道修町の第一三共の大阪支社でありました。
今回の特別講演は、大阪南医療センターの神納敏夫先生の、IVRに役立つ画像診断でした。
大阪市大から鳥取大学放射線科に行かれていた先生で最近大阪に戻られて来ました。僕の2年後輩にあたるミスターIVRの先生です。
出てくる鰻弁当は、関西には珍しい背開きの蒸したふっくら美味しい関東風です。
すごーく美味しかったです。
これでいつも元気モリモリになる感じがするんですよねー。
先立つクイズ症例は3題です。
1. ロゼット形成性グリア神経細胞腫瘍 RGNT
第4脳室(小脳虫部と脳幹背部)に多いので,第4脳室ロゼット形成性グリア神経細胞腫瘍と呼ばれます
略してRGNTです,2000年代になって認識された病理診断名です
とてもまれな腫瘍で,ゆっくり大きくなるWHOグレード1の良性腫瘍です
若い成人(30歳くらいが中央値)に多いです,小児でもまれにあります
第4脳室や中脳水道閉塞による水頭症を生じることがあります
小脳症状としてのフラツキ,水頭症による頭痛が初発症状です
無症状で偶然発見されるものもあります
症状のあるものでは無理しない程度に手術摘出します
発生部位
もちろん第4脳室に最も多いです
脳幹部や小脳歯状核に浸潤します,そのようなものは手術で摘出することができません
中脳水道から視床の方向へ伸展するものもあります
大脳のあちこちにもできたという報告例が増えています
ですから,単にRGNTと呼ばれ,RGNT of the fourth ventricle とは言われなくなってきました
画像所見
比較的境界明瞭な固形腫瘍です
T2強調画像で高信号,T1では低信号で,部分的にガドリニウム増強されます
小脳内の離れた部位に結節を作ることがあります
成人の毛様細胞性星細胞腫に似ている所見と言えます
2. 低悪性度の子宮内膜間質肉腫
筋腫と間違いやすい肉腫
肉腫にはいろいろ種類がありますが、子宮筋腫(Leiomyoma)との区別が問題となる肉腫は、主に次の二つです。
・子宮平滑筋肉腫 LeiomyoSarcoma(以下、LMS)
文字どおり、子宮平滑筋に発生する肉腫です。子宮筋腫のうち、筋層内筋腫、粘膜下筋腫との区別がよく問題になります。
閉経後の女性に多いといわれています。
・低悪性度の子宮内膜間質肉腫 Endometrial Stromal
Sarcoma(以下、ESS),low grade
子宮内膜は、腺細胞という粘液を分泌する細胞と、そのすきまを埋める内膜間質細胞でできています。この内膜間質細胞が悪性化したのが、ESSです。平滑筋肉腫よりもまれな肉腫です。
筋層内筋腫、粘膜下筋腫、子宮腺筋症との区別が問題になります。
低悪性度のESSは30~40代に多いといわれています。
3. コルドイド・グリオーマ
第3脳室脊索腫様膠腫
chordoid glioma of the third ventricle
画像所見
第3脳室前半部ほぼ中央に2から4 cmくらいの腫瘍で発見されます
境界は明瞭で,卵円形です
ガドリニウムで均一に増強されます
CTで高吸収です
T1強調像で等信号,T2強調でやや高信号です
のう胞形成はまれです
著明な腫瘍周辺脳浮腫を生じることがあります
視床下部,大脳基底核や視索の周囲の脳浮腫です
鞍上部構造に腫瘍が癒着することもあるとのことですが,下垂体とは分離できます
終板発生なので下垂体柄は後方へ変位します
PCNSL 脳リンパ腫との鑑別が必要です
毛様細胞性星細胞腫とは年齢層が違います