油屋種吉の独り言

日記や随筆をのせます。

いかに生きるか。

2020-07-10 02:07:01 | 随筆
 鹿沼の市街地に向かって車を走らせていて、
東武日光線の踏切近くでふいの嵐にあった。
 時間にすれば、十分くらい。
 道路はたちまち川のようになり、ゆっくり
動かすしか方法がない。
 さもないと、事故になる。
 ワイパーをすばやく動かそうが、上からも
下からもフロントガラスに水が大量にかかっ
てしまい、ほとんど前方が見えない。
 むりに速く走ると、いろんなところに水が
入ってしまう。
 ブレーキがきかなくなったり、エンジンが
ストップする。
 道幅が広くなったところで、わたしは車を
左に寄せ、様子をみることにした。
 風が強かった。
 瞬間風速十五メートル以上あったろう。
 道路わきの畑。
 一メートル以上に生育したひまわりの群れ
がいっせいに風下にしなだれた。
 宇都宮の北部の工業団地では、風に巻き上
げられたトタンが電線にひっかかった。
 そのことを翌日の地方紙で知った。
 ゲリラ豪雨である。
 こんな事態は、昔はなかった。
 あるとすれば、台風がやってきたときくら
いである。
 (温暖化が進んだせいか。まあ、これくら
いはしかたない。球磨川の氾濫をみよ。介護
施設で暮らすお年寄りが、いちどきに命をな
くす災難にあわれたではないか。土砂がくず
れ、家のしたじきになられた年配の男性も)
 この数年のことをふり返ると、日本はまさ
しく災害列島である。
 ご存じのように、人の世も大変な雲行き。
 コロナ禍である。
 経済を回していかないといけない。
 そんな思惑が、どうやら第二波を呼んでし
まうことになりそうである。
 米国の感染者が三百万を突破した。
 東京も昼間の人口が一千三百万をこえるほ
ど多い。
 三密にならぬように、と、声高に叫んでも、
隅から隅までとどくわけもない。
 いやはや、まったく困ったことになったわ
いと、わたしなど団塊の世代の生き残りは眼
を白黒させてしまう。
 社会を変えれば、住みやすくなる。
 そう信じて、多くが政治に関心をもった。
 だが、それはまぼろしのようなもので、社
会は人の集まりにすぎぬのだから、ひとりひ
とりが賢くなるほかに良くなる道がないのを
さとった。
 スペイン風邪から、およそ百年らしい。
 新型コロナウイルスの蔓延が、日本社会を
そして世界じゅうの国々の様相を、一挙に変
えてしまった。
 人類の具合のわるいところを、いっぺんに
さらけ出した。
 第一波を一番さきに乗り越えたかの国を見
るがいい。
 他国が苦しんでいる間に、ここぞとばかり
にやりたいことをやりだしたではないか。
 そんな気持ちじゃ仕方がない、と、ばかり
に、世界のどの国も我も我もと自国の都合だ
けを考え始めた。
 今こそ互いに協力し合い、少しでも暮らし
やすい国際社会を築かなくてはならない時に
である。
 主義主張を方便に使ってはならぬ。
 自分だけの利益だけじゃなく、人類の幸せ
のためになるよう、正しく使ってもらいたい
ものである。
 互いに助け合うことのできる、せっかくの
チャンスをのがしてしまった。
 まことに心残りである。 
 しかし、ここで考えを変えよう。
 他人は他人。他国は他国。
 それぞれの思惑がある。
 これで良しと思い、行動しておられるので
ある。
 世界を観て聴いて認識しているのは、わた
し自身である。
 世界があるから、自分があるのではない。
 自分があってこそ、世界があるのだ。
 いかに生きるべきか。
 もう一度、若い頃のように考えてみること
にしよう。
 
 
コメント (2)
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