村はずれに小さな山寺がある。所属の集落は「中津原」、河内長野市との村界付近に位置する。標高は200~300メートル位だろうか。人通りも余り無く、通行する車両も少ない。深閑とした静けさだけが漂う集落だ。その集落の一番外れにあるのが、噂の「西恩寺」だ。かっては真言宗の寺院だったようだが、現在は融通念仏宗に属しておられる。鎌倉時代初期の創建のようだ。この小さな山寺、何を隠そう村一番の紅葉の名所なのだ。既述したかと思うが、村内は大半が常緑針葉樹の森で落葉広葉樹はいたって少ない。従って、村内で紅葉を愛でるのはかなり厳しく、探し歩かねばならないのだ。
お寺の山門から道路までの僅かな範囲だが、選び抜かれた樹木が植え込まれている。多くは紅葉の樹で、この時期、赤や黄色に染まり見事な景観を醸し出してくれる。木々達に心惹かれて、晩秋の時期になると毎年訪問するようにしている。農園からは車で10分~15分ぐらいの距離だろうか。そう遠くは無い。本日も立ち寄ってみたが、先着のカメラマン氏数名が撮影中であった。邪魔をしては申し訳無いので、車内でしばらく待機、立ち去られてから撮影にかかる。村内はそう寒暖の差があるわけでも無いが、この地は寒いのか色合いは鮮やかだ。
子狸の一番のお気に入りは、鐘楼奥のイチョウの樹。鮮やかな黄色に染まっていた。幹周りも大きく樹高も高い、恐らくだが樹齢数百年に達するのではなかろうか。巨樹を訪ねる旅を続けていたが、ここ1~2年は中断している。例の流行り病の武漢ウイルスに囚われたのが発端だったが、回復しても気力が萎えたままのようだ。近場で巨樹を眺められるのは実に嬉しい。
当地にも巨樹と呼ばれる樹木も少なからず存在する。多くは河内長野市だが、村内では西恩寺のイチョウも該当するのでは。イチョウの話だが、近隣の流谷八幡神社(河内長野市)にも見事なイチョウ樹が存在する。根回りが立派な樹木で、機会があれば是非にお訪ねを。
さて本論の西恩寺の紅葉だが、時期は遅めの方がベターだ。通常は10月頃の紅葉だが、画像でもお解りのように村内の紅葉は11月下旬から12月の初旬の頃、尚、公共交通の便は至って悪いです。マイカーでなければ、南海高野線の河内長野駅から金剛山行きのバスに乗車、鳩の原で下車、が便利でしょう。それでもバス停から徒歩30分は掛かります。