徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

第70代横綱佩刀螺鈿糸巻太刀拵

2012-12-06 14:21:32 | 拵工作
最新作の太刀拵が完成しました!



当該太刀拵は、第70代横綱日馬富士関の佩刀です。
平成25年の初場所土俵入りより、ご愛用いただきます。
刀身は、刀剣界の横綱こと吉原國家刀匠の渾身の一振りです。



この度の横綱の太刀製作に関わった職人の皆様



目貫は、現代金工の手により、表に「全身」。



裏に「全霊」が彫りこまれました。



ベースとなった鞘は、幕末期の太刀拵を大胆にも用いました。



修復を伴う拵工作は、時として新規に制作するよりも大変な労力を要するものです。
この度の糸巻太刀拵工作では、まさに難関の大仕事と相成りました。



現在巡業中の日馬富士関に代わり、伊勢ヶ浜親方にお刀をお渡しすることが出来ました。



まとめ:この度の工作では、孝明天皇側近の公卿が愛用していた太刀拵を元に、柄前一式(柄下地・鮫皮・柄巻き・目貫と猿手を除く刀装具一式)を新たに作り、鞘の渡り巻きと鞘全体の修復を行ないました。

横綱の奥様やお母様に泣いて喜んでいただき、刀剣職人として感無量でした。
労力が報われた瞬間です。

大小拵(脇差し)

2012-12-04 22:21:11 | 拵工作
この拵は、大小拵の制作にてお預りしているお刀二振りのうちの脇差しです。

当工房では、同一のご依頼内容で、納期の定まったものと、期日を定めないものとに分けて金額的な設定を二極化し、ご提案しています。今年は納期の定まったご依頼が多く、価格を抑えたサービスの仕事が中々進みませんでした。

何とか脇差拵だけでも、今年中に終わらせることができました。



当該拵は、水戸と見える華やかな刀装具を用いて、柄前を新規で制作いたしました。



柄糸の色の選択は焦茶を用いて、実用と鑑賞を兼ね揃えた片摘み巻きを施しました。



鞘は古く、鯉口部内部の破損がひどいことから、修復を行ないました。



同一の形状にて、大刀の拵も製作中です。
こちらは刀身のみのため、拵一式の工作になります。