徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

差し込み研ぎ

2015-12-31 06:14:25 | 刀身研摩
日本刀の研磨が完了しました!



なんやかんやと時間がかかってしまいましたが、何とか今年中に仕上げることができました。



ご依頼時の状態は、所々に朽ち込みが見られました。
この手のサビは、一見表面だけのサビに見えますが、意外と刀身の内部にまで及んでいるケースが多いです。



当初、後刃を拾ったもののシックリ来なかったので、差し込んでみました。
前回の研ぎが作為的というか特殊な仕上がりであった為、どうもうまくいきません。



これにて、柄前の新規作成および刀身の修復を終了します。

本年も残すところ後1日です。一眠りして、次の研磨に取り掛かりたいと思います。お疲れ様でした!

職人男子

2015-12-24 01:53:12 | ブレイク
本日24日、辰巳出版さんより、若手伝統工芸職人の写真集が発売されます。



お恥ずかしながら、チラッと私もご紹介頂きました。
微力ながら伝統工芸の発展と知名度の向上に寄与できれば・・・というあさはかな活動です。

お目汚しとは存じますが、ご興味をお持ちくださった方は、書店にてお買い求めください!








拵えのアフターケアと用途変更

2015-12-21 01:28:42 | 拵工作
当工房でお作りした柄前の修理です。
以前の完成時の投稿はこちら(柄前新規作成(居合向け大刀編))



思う存分ご愛用頂き、修復で戻ってきた時のうれしさと言ったら言葉では表現できません!
アフターケアの都度、ご依頼者様の要望は増えていくのが当然ですが、私自身もご要望にお応えする度に、更新させて頂くような心持ちになります。



今回はただ修復を施すのではなく、私と持ち主にしか分からないような微妙な、それでいて重要な調整を施します。これは、使用用途が若干変更になったことに起因する些細な修正なのですが、この違いを補整できるかできないかがプロとアマチュアの境目だと思います。詳細はこちら(用途を想定した柄前の調整)

ちなみに、同時進行で白鞘の調整も実施しました。
詳細はこちら→白鞘の修復(その1)白鞘の修復(その2)



非常に短期間で、ここまで柄糸が劣化するほどの使用頻度というのは、武道家の鑑です。



過酷な条件下での使用により、鮫皮にも異変が現れていました。一度バラバラに分解して、理想のセッティングに再構成します。
修復時の鮫皮に関する投稿はこちら(鮫皮の厚み)



諸捻りから諸摘みへ。
修復中の投稿はこちら(用途変更に伴う柄前の調整)



納品時のご依頼者様の笑顔が忘れられません。
今年もあとわずか、妥協せずに最後の最後まで頑張ります!